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「子どもを持つ=受験」理論

私がいかに育児をしたくないかという話をするにつけ、「育児はしたくないけど、子どもはほしかったんだ?」と聞かれることが多い。

結論から述べると、子どもがほしかったのかと聞かれれば、感情論ベースで子どもがほしくてたまらなかったというわけでもない。

私は、子どもを持つことは受験とよく似ているように思う。

高校生の頃、大学に行くとなんの良いことがあるのかはあまりわかっていない。ただ、一般的な人は大学に行った方が幸せになっているようだということはなんとなくわかる。なので大学に行く。行った後になって、「大学に行っておいて良かったなあ」と思う。

この時、「〇〇先生の本を読んでとても感銘を受けたから、絶対にこの〇〇先生のもとで〇〇学を学びたい!だから自分は〇〇大学に行きたい!」というような信念を持って「大学に行きたい」と言う学生は、いるにはいると思うが、相対的にとても少ないと思う。「一般的に大学って行った方が良いっぽいよなあ、自分も年齢的に大学行くタイミングだし」ということで「大学に行きたい」と言う高校生がほとんどだろうと思う。

同じように、子どもがいると何が良いのかは正直まだよくわからない。しかし、周りを見渡すと子どもがいる人の方が一般的に幸せそうなので、一般的な価値観の自分は子どもがいた方が幸せになれる確率が高そうだと思うに至った。

私がもし、一般的な価値観とは完全に異なる価値観を持っている場合、話はべつだ。私の友人でアセクシャル(異性・同性に関わらず、他者に対して性的欲求や恋愛感情を抱かないセクシャルマイノリティ)の友達がいる。彼女は芸能人の〇〇に似ているとよく言われるくらい美人だが、今までの人生で、同性異性に関わらず、「人に触れたい」と思ったことがないそうだ。触れたいと思っていない人と子づくりをするのは幸せとは逆行すると思う。しかし私はごく一般的な価値観を持っていて、好意を持った相手には普通に触れたいと思っている。

30歳になってから急に「やっぱり大学に行きたい!」と思っても多くの場合、時すでに遅しなのと同様に、40歳、50歳になってから「やっぱり子どもがほしい!」と思っても、時すでに遅しになる可能性もある。これも、受験と似たところだと思う。

子孫を残すということは人間の本能としての生理現象なので、「子どもがほしいけど年齢的に難しい」という状況は、トイレに行きたいけど行けない、眠いのに眠れないくらいに辛いことなのかもしれないという懸念もあった。自ら起業して上場に成功した資産100億円以上のオーナー経営者が、「妻と2人の暮らしも楽しいが、子どもをつくらなかったことだけを後悔している」と話していたことも心に残っている。

私は25歳くらいの時にはすでに「子どもを持つ=受験」だなと考えていたので、もし自分が34歳までに結婚できなかったら、その時点で一人で子どもをつくるかどうかを決断しようと元々決めていた。海外の精子バンクを中心に情報を集めて、ハーバード大学の白人、碧眼、身長180cmの精子が8万円ほどで購入できることを知り、その時の自分と向き合って検討しようと考えていた。運良く今の夫と出会い、人生最高の伴侶に恵まれたと思っている。

以上のように、受験と考えれば、受験には相応しいタイミングがあり、32歳を迎えた時、そのタイミングだと考えたので、子どもをつくるに至ったが、本音を言えばもっと夫と2人で過ごしたかった。夫と行きたいところや一緒にしたいことがまだまだたくさんあるからだ。25歳くらいの時は、30歳くらいになったら自然と子どもが欲しくなるのだろうなと予想していたが、30歳を迎えても子どもがほしいという強い感情は特にわいてこなかった。夫は普通に子どもをほしがっていたし、妊娠したときはとても喜んでいた。

特に、学歴や収入が高い女性はそれまで築いてきたキャリアを大切に思っているから、キャリアを捨ててまで子どもをつくる決断をするかどうか悩んでいる人が多いように思う。妊娠したときや出産したときにキャリア女性からは「やっぱり、子どもほしい~(>_<)ってなったの?いつからなった?」とよく聞かれた。なっていない。私のような“母性がない”らしい人に伝えたいのは、感情ベースで「子どもほしい~(>_<)」となっていなくても、「母性がない」と他人に言われても、気にする必要はない。あなたの人生はあなただけのものである。

私はキャリアを大切にしている優秀な女性にこそ、日本の未来を背負う子どもをぜひ産んでもらいたい。女性が育児の面倒さで子どもを諦めることが減るといいなと思っている。

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