「アラサー」と自称することは自分を貶めることになるのか、を考えた

「アラサー」という呼称は卑下する気持ちが入っている」というコメントを以前別の記事で見掛けて、スクロールする手を止めてしまった。

私はこれまでのnoteのタイトルに「アラサー女の漫画スクラップ」と、シリーズ名のように入れている。

もしかして、自称でアラサーを使うと、「アラサー≒オバサンと自認していますよ」、というアピールになるのか?と急にそわそわし始めた。

年齢が上がるにつれて価値が下がるという女性観は支持したくないので、もし卑下する意味合いがあるなら、noteのタイトル変えなきゃなと思った。

初めは同世代を意識しただけのワードチョイス

アラサーと入れてるのは、ただ同世代の人に繋がればいいなと期待して、毎回「32歳」と具体数字入れるのも読みにくいだろうと思ったからアラサーを採用した。

それならば「ミレニアル世代」とか「ジェネレーションY」とか使ってみようかと思ったけど、響きがかっこよすぎて中身と釣り合わなさすぎる。「ゆとり世代」も別の意味を含めることになるのでしっくりこない。

そもそもnote始めたときから、「アラサー女」と、あえて年齢や性別を強調することに迷いもあった。だけど、アラサーであり女である人たちだから共感できる思いとか悩みとかあるのは事実なので、あえて付けてみた。

そこで立ち返って、アラサー≒オバサンという意味を含んで使われているのかという問題を考えてみる。ここでいう「オバサン」は前述の女性観を内包した呼称とする。

生みの親はファッション誌

まず、「アラサー」とは、

和製英語の「around thirty」(アラウンド・サーティー)の略で、30歳前後の人のこと。2006年頃に生まれた和製英語で2005年11月に創刊した女性雑誌『GISELe』(ジゼル・主婦の友社)が具体的な年齢を出さずに年齢を伝えるために使い始めたのが始まりといわれ、正確に英語で伝える場合は“around the age of 30”となる。(ウィキペディア「アラサー」より)

つまり、ファッションや美容を語る上で、20代30代とかの世代別ではなく、もう少しぼやっとした集団を表したかったのだと思う。

ちなみに、アラサーから派生した「アラフォー」が広まったきっかけは、天海祐希主演のドラマ「Around40〜注文の多いオンナたち〜」で(ウィキより)、副題はどうなんと思うけど、見てみたい。

たしかに、分類にはしっくりくる。生き方が多様化してきているとはいえ今の日本では、20代でも前半は学生だし、後半くらいから社会人になる人が多い。30代は前半が社会人中堅で、後半から管理職に向かっていくなど、立場の変わり目は半ばにやってくることが多い。女性はその辺りで出産する人が増える。

個人的には何を着るかは年齢ではなく好きな服を着たらいいと思うけど(と言いながらコメダ行ったら必ずファッション誌見てる)、そのターゲットに向けて発信するには、ちょうど良い分類呼称だったのだろう。

単なるターゲットの分類呼称から変化

今も「アラサー」と検索すると、やっぱり美容系の記事が多い。

その一方で、検索上位に出てくる記事を読んでいると、ただの分類呼称として使われているわけではないことも感じてくる。

ある記事にはこんな年齢ごとの「アラサーにまつわるあるある」が書かれていた。

「25~26歳のあるある」では、「自分がアラサーなのか悩みだす」、「アラサーではないと言い張る」。
「31歳〜33歳あるある」だと、「自分をアラサーと呼んでいいのか悩みだす」。定義的にははまってるけど、「世間には”30歳を超えたらもはやアラサーじゃない!”なんて思っている人も多い。自分をアラサーと呼んでいたら図々しいと思われそう」だそう。

そんな「あるある」あったか?と思いながらも、ここではアラサーはマイナスイメージで捉えられてることがわかる。年をとること、特に30代の仲間入りすることへのちょっとした嫌悪感。私は深い考え無しに32歳でアラサーって言ってたけど、世間的にはアラサーを自称しては図々しいらしい。新しい言葉が市民権を得たことで使われ方が変わってくることはよくある。

要するに、「アラサー」の生みの親である雑誌を読んでないので真相は分からないけど、単にターゲットを表すために作られた呼称が、前述の女性観をもとに卑下する意味を含んで使用されるようになってきたようだ。

「アラサーだけど○○」とネガティブな使用が多い

たしかに、20代後半とか30代前半ではなくて、あえて「アラサー」って使う場面を思い返すと、「アラサーだけど若く見える」「アラサーでスタイルを保ってる」など、「年いってるわりに○○(見た目的なこと)」と言いたいときに使われてることが多い

「30代で年商1億円に!」とは言うけど、「アラサーで年商1億円に!」とは聞いたことない。「アラサーで両親の介護をしてる」とかも言わない。

ファッション誌からの出発で、あえて「30歳前後」を強調する場面って他にない。だいたい「20代」「30代」でいける。

ならば、やはり「アラサー」をあえて自称することは、「私はオバサンと自認していますよ」というアピールに結びついてしまうのかもしれない。

単純に同世代と繋がればいいなと思っただけで含めた「アラサー」というワードチョイスは、自分を貶めていることになるのか?前述の女性観に加担したくないので、変更しようかと考えた。


そして考えた末、

やっぱりこのままでいくことにした。


いつか同世代をポジティブに表すワードに

自分の働き方や悩み事は、「30代」の括りより、「30歳前後」のほうが近い気がするし、仲のいい先輩と話していても、30代後半からは別のステージな感じがする。社会人としての立場だったり、生活環境の変化だったり、節目は30代半ばにある気がする。ミレニアル世代(こちらのほうがもっと年齢幅広そうだけど)とかその層を表す意味で使っていこうと思う。

「アラサー」がこの世に出てきて、もう14年たっている。価値観は少しずつ変わってきてる。アラサーはいろいろあるけど、楽しいし、20代前半のときより強くなれている感じがする。同世代で世の中にもの申す人も増えてる。自虐じゃなくてリスペクトを込めた分類呼称として使われていってほしい。

ということで、改題を考えた結果、一周回ってこのまま「アラサー」をしばらく続けようと決めた。〝しばらく〟というのは、いつかアラフォーになるからではなく、ありきたりすぎるという別の悩みを解消したいから。

追記)働き方や悩み事と言いながら、「アラサー女の漫画スクラップ」にはそんなこと一切書いてなかった…。いつか漫画を読んだ感想を通して、共感してくれた方にこの漫画読んでみようと思ってもらえるようなそんなことを書いていきたいという気持ちでいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?