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恐怖と知的好奇心② 〜プリオン病の話〜

続きです。



今回の投稿は
逆に知りたくなかった知識と
思われてしまうような内容もあるかと思いますのでご注意ください。

前回の話で
脳の病気が恐ろしいと 
恐怖した時期があったものの

その事実は変わらないのですが
成長して様々な
脳の病気の人と会っていく中で
脳卒中など日本3大死因にも数えられるよな
割とありふれた事象よりも
人はゼロリスクにほど近いような稀な事象ほど恐怖心が強いのかと感じたという
話をしました。

では具体的に言うとその
ゼロリスクにほど近いような稀な事象とは
何なのかというと
一つの例として「プリオン病」を
挙げたいと思います。

プリオン病はBPE(狂牛病)騒ぎの時に
名前を聞いたことがある方がいると
思いますが

そもそも狂牛病と狂犬病って 
全く病原体が違う病気だと知っていましたか?

狂犬病はウイルス感染です。
狂犬病を患う犬に噛まれたりすることで
感染する病気で
別名恐水病(hydrophobia)とも言われる
ギネスにも世界で最も致死率が高い病気と
言われています。

日本ではこのウイルスは
ほとんど断絶されていて日本にいる限りは
ゼロリスクと考えていいでしょう。

ただギネスに載るこの病気以外にも
致死率100パーセントの病気はあります。

その多くが先程お伝えしたプリオン病です。

感染症というと
菌かウイルス
狂犬病はウイルスでしたが
その二つしか一般的には聞かないと思います。

私たちの細胞と最も近い菌はDNAを持ち
夏場に繁殖し
それよりも最も小さいウイルスは
DNAのない核酸を持たず
宿主をみつけて冬に猛威を振るいます。

プリオンとは
そんなウイルスよりさらに小さく
核酸を持たず遺伝情報を持つことがなく
変異したタンパク質とされています。

その何かに変異したタンパク質が
突然強い毒性を持ち
主に神経細胞を宿主として
繁殖して破壊していくのです。

つまりプリオンは一般的に知られていない
感染症の病原体なのです。

みなさんは感染症のこの第3の病原体を
知っていましたか?
私は知りませんでした。

それはプリオン病自体がかなり稀な病気で
あったからかと思います。

今までの歴史の中でこのプリオン病が
頻発されたケースといえば
パプアニューギニアの一部の食人部族の間に
クールー病というのが流行ったというくらいです。

カニバリズム(食人文化)は
合理的や社会的な視点だけではなく
遺伝子的視点でもリスクが大きく
極限状態以外ではあまり行われることが
ありませんが
この部族では死者を弔う儀式の中で
男性が肉を女性が脳や臓器を食す
文化があったそうです。

なので脳を食すことの多かった女性がより
このクールー病に罹患していたようです。

プリオン病は一般的に
発症してから1年〜2年で概ね
死亡していまい
現在の医学では対処法がありません。

しかもプリオンというのは
先程伝えたように核酸を持たないので
熱で組織が壊れることがなく
汚染が続くので
ひとたびこういった病気が発症した場合では
徹底的にプリオンの感染を防いできたのでしょう。

ただプリオン病に関しては
感染して発症するまでの時間軸が
非常に長く
若くても40代以上の方からしか
その症例は起こってこないので
実は若くして別件で亡くなったけど
実は感染していたということもあり
ゼロリスクではないそうです。

むしろ今後高齢化を迎えていくにつれ
プリオン病の発症例は増えるのではないかと
考えられています。

ちょっと恐い話でしたよね。

ただこういった恐い話って
知的好奇心も刺激されてしまうのです。

気がつけば医療と全く関係ない業界の私が
ここまで調べていました。

また先程載せたYouTubeのコメント欄にも
非常に興味深いコメントがありました。

(前略)哺乳類より鳥類、鳥類より魚類の方が良質なタンパク質だが、順にカロリー摂取がしにくくなる。魚類より植物、植物より菌類の方が一般的にヘルシー。人に近いほど病気になりやすい。」

なるほどなぁと考えさせられました。

その下のコメントも興味深いです。

カニバリズムが合理的でもないように
今世界的なムーブメントであるベジタリアンも
宗教的に禁止されている牛肉や豚肉も
ひょっとしたら
合理的判断なのかもしれないと
考えてしまいます。


感染症の話ひとつでこうやって
医学や文化や宗教や社会情勢など
様々な方面に興味が枝分かれしていきます。

恐い話でしたが
とても面白いと私は感じてしまいました。

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