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トラック水没、安らかに【24.2.22】

2/21 memo ビーチラン6km、庭で使う材木のやすりがけ、ランチはサーモンのムニエル丼、仕事ではクライアントとジュラシックパークを見た

・朝にストーブに火をつけなくてもいいくらいの気温だ。素晴らしい。フレンチ・プレスでコーヒーを淹れ、いつも通りパンケーキを焼く。僕が玄関でラジオ体操しているのを聞きつけて隣の犬二匹が家にくる。

・エレーナをつれてルークもやってくる。
「30分ほど手を貸してくれないかい?いいレッドシダーが浜に流れ着いてて、運ぶのを手伝って欲しいんだ」
「もちろん。コーヒーを飲み切って、15分くらいに行くよ」

・ルークが新しくゲットした日産のピックアップ・トラックはモンスター級のデカさ。いわゆるフルサイズ・トラックといわれる種類。カナダでは普通に乗用車として使われているトラックだけれど、今でも慣れない。

・しかも、新しくゲットしたといっても相当年季の入ったトラックである。サスペンションのほとんどは錆び、後部バンパーは抜け落ちている。太めの角材がその代わりに据え付けられている。応急処置だよ、とルークは笑う。

・これもカナダの(田舎)あるあるなのだが、日本では考えられないほどのおんぼろ車が普通に使われている。ダクトテープでつぎはぎに修理され

・「20年ハイダグワイのビーチを走ってきたけど、今まで砂浜にスタックしたことはなかった。本当、参ったもんだ」
ルークは先日、自分が持っていたピックアップ・トラックを海に水没させてしまった。村から離れた東のビーチを運転していると砂利に車輪を取られ、抜け出せなくなってしまったのだという。不幸にも大潮の日であり、どんどんと潮が上がってくる。思い出のトラックが海に沈んでいくのを、なすすべもなく見守っていた。
「バイキングの葬式みたいだったよ。砂浜に焚き火を焚いて、死にゆく車を眺めてさ。沈む前に慌てていろんなギアや書類を車から出す時に、一本のビールが出てきたんだ。車に乾杯して、窓ガラスやタイヤにかけてやったよ」

・申し訳ないけれど、その光景を想像すると笑ってしまう。かわいそうなルーク。いいタイミングで新しいトラックを譲り受けられてよかったね、と話す。

・近場のビーチエントランスから浜辺に走り出る。大型トラックの馬力は凄まじい。ただその分重いため、砂に足を取られないようより注意深くなる必要がある。「一週間に2台トラックを沈めたなんて洒落にならないしね」と笑う。

・カナダ軍基地の近くの浜に、いい状態のレッドシダーが漂着していた。ルークはチェーンソーで試し切りし、匂いを嗅いで満足げににやりとする。14フィート分持って帰ろうと意気込んで丸太をカットする。

・トラックの荷台に乗せやすいように片側をてこの原理で持ち上げ、滑らせて押し込むようにする。なかなかうまくいかない。重すぎるのもあり、トラックの荷台が高すぎるのもある。
「前のトラックはもう少し車高が低くて、ひとりでも丸太を乗せられたんだ。困ったよ」とルーク。結局、12フィートまで短くし、トラックに苦労して載せきる。彼は惜しいことをしたなという顔をしている。

・家に戻って丸太をおろし、僕は自分の家の仕事に取り掛かる。庭の装飾に使う木片を加工する。レッドシダーを大出力バーナーで表面を焼きあげ、その後にオイルでコーティングする。そもそもレッドシダーの防腐性も強いが、このように加工することでさらに寿命が伸びるのだ。

・昼前までに庭仕事を片付け、米を浸水させて走りに出かける。今日はロング・スロー・ディスタンスのトレーニングだ。一時間半かけてゆっくり15キロ走る。走りながら「イラク水滸伝」高野秀行のオーディオブックを聞く。

・イラクというカオスの中の湿地地帯というさらなるカオスに入り込んでいくというノンフィクション。高野さんの本で好きなのはいつも「はじめに」の導入部分だ。取材テーマに興味を持ったきっかけやその下準備を面白おかしく書き上げ、これから始まる冒険にワクワクさせる。鳥肌が立つ。

・酷使した下半身を川に沈め、シャワーを浴びる。米を炊き、サーモンをバターで焼いてムニエルにし、ベーコンエッグを照り焼き風に作って米に全てを乗せる。腹持ちも良く、タンパク質も豊富にとれる。そしてうまい。新しい定番になりそうだ。

・出勤前に酒屋でヘイジーIPAの6パックを買い、職場に向かう。今日のクライアントたちも長い昼寝をしており、その間に色々と家の仕事を済ませ、本を読んだり文章を書いたりする時間があった。夜遅くにゆで卵サンドを作って一緒に食べる。

・家に帰り着くと猫のサミーが僕のベッドで丸くなっていた。いっしょに読書を少しして寝る。

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