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"試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。" 感想 -服装はその人を表す


女性のことを知りたいと思って昨日読んだ"対岸の彼女"が思いのほか人間関係の闇の部分に触れていたので、明るい本が読みたくなった。

そこで手に取ったのが尾形真理子さんの「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」



ルミネ広告から生まれた女性向けのタイトルとフェミニンな表紙に気後れしたが、読み始めたらトキメキっぱなしだった。これでいいのか27歳男性。

短編集なんだけど登場人物みんながキラキラしてて、ちょっとしたすれ違いはあれど最終的に前を向ける話ばかり。こういう本が読みたかった。

「あなたといたい」と「ひとりで平気」をいったりきたりするところは"対岸の彼女"と似た部分があったけど。


どの物語も構成は同じで、"自分の仕事"と"付き合ってる男性"について葛藤があって、渋谷のセレクトショップに服を買いに行く。オーナーの女性から似合う服のアドバイスをもらう事で、今まで自分が抱えていた執着に気付いて新しい自分の良さを発見する。

この渋谷のセレクトショップ"Closet"のオーナーが本当に素敵な方で…。服とお客さんに真摯に向き合って、お客さん自身が気付いてない良さを服という形で提案する姿はかっこいい。

読めばお気に入りのセレクトショップを探しに行きたくなるはずだ。


服って意識しないと同じ系統ものを選んでしまいがちで、だんだん年齢と生活スタイルに合わなくなってくる。自分もまだ学生の時の服を着たりする。

しかしある日、これまで着なかった服を試着してみた時の、「あれ意外と似合うじゃん、なんか変わったな」っていう瞬間は、昔の自分から脱皮したようでとても気持ちが良い。美容室でもたまに同じようなことがある。

そういう瞬間って狙って起こせるものではなく、小さな成長が積み重なった時に、突然、必然的な出会いとして起こるのかもしれない。

近藤麻理恵さんじゃないけど、ときめかない服とはさよならして、ときめく物だけ置いておきたい。そういう気持ちにもなった。


それから、登場する女性たちはみんな試着室で「これは彼氏が好きそうだ」って服を選んでるんだけど、他の男性は知らないが自分は全く思ったことがない。

少なからず女性は好きな人にかわいいって言ってほしいんだよなと強く胸に刻み込んだ。笑

登場する彼氏役の男性たちは、余裕があって優しくて、仕事に向き合ってる素敵な人たちばかりだった。憧れる。

でもやっぱりこの本で一番かっこよくて素敵に思ったのは「Closet」のオーナーのカナメさんで、自分も物と人に真摯に向き合うような仕事をしていきたいと思いました。


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