見出し画像

14歳トイプ女子、ようやくほんとに旅慣れたという話

生後2ヶ月の子犬の頃にやってきたジジは、先月で14歳になった。
犬も14年も生きるとこの世によく馴染んで落ち着き払っている。

私達は4年前にキャンピング仕様のハイエースを買ってから年に一度、車で少し長めの旅に出る。最初の年は夏休みに出掛けたが暑すぎて、GWの旅が家族の恒例だ。今年はいま、出雲に向かっている。

いつも一緒に車で旅しているので旅慣れた犬だと思う。車酔いしたのは一歳の頃に三重で山道を走った一回だけで、二回目以降相変わらず山道は苦手そうにしているがなんとか乗り切れている。

車には進んで乗り込むし嫌いなようには見えないのだが、何回乗せても道中落ち着かないことこの上ないのが不思議だった。距離に関係なくいつも行きの道中だけ、ずっとハァハァとスパッタリングしている。大抵もうあと少しで到着という頃にようやく収まって寝そべったりしはじめるのだ。旅行の最中も一緒に車から降りられるのか留守番なのか気が気でなく落ち着かず、帰る頃には疲れてしまうのか帰途は大人しく伏せてウトウトしている。
というのが、旅行といえば定番の流れだったのだけれど、いま、14歳にして彼女は新境地を迎えてしまったのだ。

今朝は家を出て給油や朝食の買い物を済ませ高速につながるバイパスに乗った途端、安全ベルトの着いた専用シートに潜り込んでちょこんと座っていたかと思うと自ずから伏せてまったりと落ち着いてしまった。
今回はいままでで一番長い旅路になるのでなるべく早く落ち着けるといいな、でも最近は娘のミニバスの都合で以前より旅行の回数が減っていて久々の車旅だからなかなか落ち着けないかな、などというこちらの思惑は完全にスルーされた。
あれ?ハァハァしないの??立ち上がってキャンピングカーのテーブルに足を乗せて落ち着きなく車内を見渡したりしないの???

達観した瞳でクッションに頬を埋め車に揺られている。プフーッという吐息、さては寝る気だな。家にいるかのようにリラックスしている。ジジさん仙人になったみたい、と言うとちろりとこちらを見上げる。

14年間なだめてすかしてあれこれ工夫を凝らしても変わらなかったのに、ある日突然変わるんだ。不思議だなぁ。拍子抜けだなぁ。

かく言う私も、毎回旅の前は大騒ぎしてリサーチとシュミレーションを繰り返してバタバタしているのに今回は清々しいほどのノープラン。出雲大社と鳥取砂丘に行くこと以外何も決まっていない旅を無防備に楽しんでいて、いままでとずいぶん違う自分に驚いているところ。

無防備を覚え始めた私たち。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?