価値観という名のパスタ

先日のランチで、大変思慮深い出来事がありました。

平日の12:30頃、たまに行くパスタ屋さんにて。
私は1人で店に入りました。1名掛けと2名掛けテーブルは満席で、4名掛けテーブルが2テーブル空いていました。

店員さんは私に「少しお待ちください」と言い店の奥に行ってメニューを持って来られました。「1名掛け席がもう少しで空くと思うので、メニュー見ながらお待ちください」と言ってまた店の奥に戻って行かれました。待つこと数分。あまり時間に余裕がなかった私は店員さんに「あのぉ、テーブル空いていますけど、待つのでしょうか?」と、2つの空いている4名掛けテーブルを見て尋ねました。店員さんは明らかに困った顔で「ああ・・・相席になるかもしれないですけど・・・まあ、じゃあ、どうぞ」と私を4人掛けテーブルに座らせてくれました。

私が注文して料理を待っていると、隣の2名掛けテーブルのお客さんが帰っていきました。店員さんは私のところに来られて「すみませんが、こちらに移動していただけますか?」と、2名掛けテーブルへの移動をお願いしてきたので、私はそちらに移動して食事をしました。

果たして・・・

私が店に滞在している間、2つの4名掛けテーブルは空いたままで、新しくお客さんは誰も来ませんでした。

ここまでが起きた事実。

ここからは私の頭の中です。

 予約席でもないのに席が空いているのに座らせてくれないんだ・・・
 でも確かに1人で4名席を使っちゃったら複数名のお客さんが来た時に
 座れないもんね・・・
 1人分の売り上げより2名以上の売上げの方が高いんだから、お店から
 見たらそりゃそうだよ・・・
 でも4名席は2テーブル空いてるんだけど・・・
 モヤモヤ・・・モヤモヤ・・・

このモヤモヤの正体は『大切にされていない感』です。

さて、こういうケースで私が店員だったら、あるいはこの店のオーナーだったらどうするかなあ・・・と考えながら食事をしました。
正解はないと思うので、私の感情はあくまで個人的なものです。こんな風に思わない人もいて当然です。そんなんいいじゃん心が狭いなあ、と思われても結構です。

私は決して怒っているわけでも、クレーマーでもありません。もちろんこのお店も何も悪くありません。飲食業に限らず、自分が経営者だったらどうだろうと考えたわけです。こういう場合はどちらを取るのか、それが経営者の考え方や価値観であり、それが経営理念になっていくと思います。だから、何通りもの考え方があっていいです。そのお店(会社)の理念やそれに伴う行動指針などを決めるのはそこのトップですから、好きにすればよろしいでしょう。店側にはお客を選ぶ権利があります。
この店は、売上を上げるために来るか来ないかわからない複数名のお客を優先して、目の前にいる1人のお客は待たせる、という価値観でしょう。そりゃそうですよね、だって売り上げが欲しいですもん。商売をやっていれば誰もがそうでしょう。

この日はたまたま私が食事している間、4名掛けテーブルは空いたままでしたが、もしかしたら8名のお客さんが来ていたかもしれません。これは誰にもわからない。

しかし確実なのは、私はこの店から『大切にされていない感』を覚え、好きな店ランキング順位は降下しました。個人的にも、自分のことを大事にしてくれない人からはそっと離れます。

パスタを食べながら、私ならどちらを選ぶだろうと考えました。来るか来ないかわからない複数名客の高い売上金額への期待と、今目の前にいるお客さんと。

正解はない。あるのは価値観だけ。

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