質疑応答を侮るなかれ・・・話下手な人は質問も下手

研修やセミナー・講演会などでは質疑応答の時間があったりしますが、私はこの質疑応答という時間をとても興味深く感じています。

質疑応答とは、質問や疑問に答えるということですが、この時間を有意義なものにするか無駄な時間にするかは質問する側に依るところが大きいと思います。
私は仕事柄自分が質疑を受ける立場になることがあるのですが、図らずもつまらない無駄な質疑応答の時間を過ごしてしまうことがたまにあります。

その最たるものが『サクラ』。「質問が1つも出なかったら失礼だ」とお考えになる主催者側の気持ちはよくよくわかるのですが、質疑応答のための質疑応答としてなんとか体裁を整えるためなら時間がもったいないので私が喋ります。

講演会などで聴講することは『インプット』ですが、その後の質問は『アウトプット』です。アウトプット前提でインプットしないと質問もなかなか出ない。人は、アウトプットすることで初めて身に付きます。得た知識は行動しなければ自分のものになりません。どんなに素晴らしい話を講演会で聴いたとしても、それをアウトプットしなければその知識は流れ去っていくだけ。アウトプットの方法としては、誰かに話す、文章に書く、行動するなど、その一つが『質問する』です。

質問する時のポイントは私は以下の3つだと思っています。※あくまでも菱田流です。

①まず持ってのお礼は要らない
時間の無駄。「本日は素晴らしいお話を聴かせていただき有難うございました」って要らない。本題に入る前のエクスキューズは時間の浪費。

②一問一答
一回の発言で質問は一個。ダラダラいくつも訊かない。質問が複数あるならその数だけ挙手する。
キャッシュコーナーにも「5件以上は並び直してください」って書いてあるでしょが。

③自分の話はしない
これが一番罪深い。質問者の体験談を聴きに来た人は会場内に一人もいません。
私も研修の場などでよく遭遇します。これを仕掛けてくるのはほとんどが私よりも年上の管理職の男性が多いです。
おそらく研修で私が話したことの中に、ご自分の考えとは違って受け容れ難いことがあったのでしょうね。『こんな小娘の言うことなんざぁ』という匂いをぷんぷんさせてご自身の武勇伝を語られます。どんなお考えがあっても結構ですがそれは貴方の講演会でお話しなさってください。
もちろん、違う意見や考えを聴くことは有益ですので「私はこう思います」という発言は大歓迎なのですが、ダラダラと話さず簡潔に話しましょう。
ご自分が質問者として発言している時、周りの方々の反応を見てみてください。その反応が理解できる人はきっと話すことも上手です。周りがうんざりしていることも気付かず延々と話してしまう人はきっと話し下手。

先日お話していたとある経営者の方は、研修やセミナー・講演会などで質疑応答の時間があると必ず一番に手を挙げるようにしているとおっしゃっていました。
誰よりも早く挙手すると決めてそれを実行するには、初めからアウトプット前提でインプットする必要があります。その分っしっかりと聴き何か一つだけでも持って帰ろうという姿勢がうかがえます。

日本ではあまり質問をする人は多くないと聞きます。恥ずかしいという気持ちが一番大きいのだと思いますが、せっかくの学びを身に付けるために「質問する」前提で聴いてみると新しい発見があるかもしれません。

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