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社長にしか言えない言葉の重みは何からできている

愛知県に本社を構える『株式会社イナック』様にて、8月・9月・10月と3回にわたって研修をさせていただきました。全体のテーマは『好印象の与え方』。これを3回に分けてコミュニケーションや話し方などを細分化しての研修です。

研修会場のすぐ裏が名鉄電車の線路で、ちょうど通りかかった電車を撮影する姿を撮影されるという楽しい一コマもありつつ・・・

イナックは、複雑な機械などの試作品を透明な素材で製作することで内部が可視化できるという、透明品の試作品製作などを主な業務としているクリエイティブな製造業です。本社は愛知県岡崎市にありますが、中国やアメリカなどの海外でも事業展開している企業です。

打ち合わせで初めて訪れた際には、工場内の精密機器やその工程に目を見張りましたが、それよりも驚いたのは社員さんたちの気持ちの良い挨拶。事務所、工場、全ての場所で出会う社員さん全てがきちんと挨拶をしてくださいます。これは社内で相当な教育を続けていないとできません。

・・・・・ちなみに「きちんと挨拶しろ!」と指導しても挨拶はできるようになりません。その「きちんと」を分解して行動レベルにして伝えなければ未来永劫こちらがイライラするだけです。行動レベルに分解するとは例えば「相手の顔を見て・相手に聞こえる声で」ということです。・・・・・

閑話休題・・・しかし経営者は「最近まともに挨拶ができないなど基本的なことができない社員がいる」とおっしゃる。目指すところが高いわけです。しかし、このように細かい部分を「ちょっとだけなら」と見逃すところから崩壊が始まります。神は細部に宿る。流石に大先輩経営者の小さなミスほど見逃さないという姿勢には、お話をお聴きしていくうちに私の背筋も自然と伸びていきます。

3回目の研修が全て終わった時に谷口社長が皆さんを集めて、講師である私に御礼のお言葉をくださり、その後社員さんに向けて少しだけお話をされました。
今回の研修を実施したいと思った経緯や社長が感じている危機感、会社の向かうべき方向など。全体的には叱咤の内容でしたが、これには痺れました。
創業し事業を拡大成長させ続け、現在は世界に100名近い社員を抱える地元の超優良中小企業です。どんな思いをしてここまでこられたのか、何を大切にしてこられたのかがその数分のお話で伝わってきました。

どんなことをおっしゃったのかその台詞の詳細はここでは書けませんが、相当に厳しいことをおっしゃいました。それでも胸に熱く深く響いたのは、社長が自分の言葉でお話されたからです。カッコいい言葉でも綺麗な言葉でもないですし、物分かりよく甘やかすような媚びへつらった言葉でもありません。
これを言えるのはやっぱり社長ひとりだけ。だからこそ重く厳しく、そしてあたたかい。

社是である『信頼』。この言葉は、社長の言動の全てが凝縮されて生まれた一滴だと感じ、久しぶりに本物の経営者に痺れた、そんな時間となりました。

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