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もう逃げられない。|人新世の資本論

「脱成長」に向け具体的な行動を起こさなければ、世界は終わってしまう。

「脱成長」とは、貧困を意味するものではない、むしろ持続可能な経済へと推し進める。一言では説明しきれない言葉だが、本書からわかることは、
その「脱成長」は資本主義下では不可能だということだ。今までの政策、取り組みは資本主義という根本的原因を維持しながら世界を良くしようとしてきたが、この本でそれは無意味であると証明している。SDGsもグリーン・ニューディールも欺瞞であると。

資本主義しかないじゃないかと考える我々も、考え直してしまうと思う。例えば、資本主義では人々が求めるものがもつ「使用価値」を利用して、金銭的な「価値」を生み出す。水は、人が生きていく上で必要なものだから「使用価値」を持つ、資本主義はそれを利用して、地球にあふれる水を商品化して「価値」を生み出す。さらに、希少性を高めて「価値」を増加させる。つまり、井戸など皆が無償で利用していた水も、資本主義においては金銭を要求できてしまう。

著者はこういった問題を提示しながら、解決策を提示していく。それが「脱成長」(著書ではより詳しく、問題と解決策について書かれている。ここではその一部を提示しているにすぎない)なのだという。

いや、そんなのできるわけない。私はグレタではないんだ。なんてことを思ってしまうが、本書のあとがきでドキッとした。

ハーヴァード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究によると、「三・五%」の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わるというのである。(中略)
もちろん、その未来は、本書を読んだあなたが、三・五%のひとりとして加わる決断をするかどうかにかかっている。

斎藤幸平『人新世の資本論』集英社、2020年、362-365頁

行動すれば変革できる。行動するかは自分次第。
もはや、逃げられない。我々が生きる世界を変えられるかは本当に我々自身の行動にかかっている。

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