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自分のルーツに想いを馳せる

私の友達や知り合いには、ちょっと変わった子が多い。

物に宿る声だとか、人間のオーラだとか、“どこかから”のメッセージとか、そういうものが見えたり聞こえたりする。私はそんな彼女たちをファンタジーのフィルターを掛けて見ている部分がある。が、信じていないわけではなくて、うまくいえないけれど、自分が見えていないからと言って見えている人を否定するのはあまりにも乱暴だと思って生きている。

さて、私が生まれてきたのはご先祖様のおかげである。というのは百も承知で、私はこれまで供養の気持ちを持ったのはせいぜい、面識のある自分のおじいちゃんおばあちゃんぐらいまでだった。


数日前のことだ。
ちょっと変わったお友達のひとりから、メールではなく電話がきた。時間をおいて不在着信が2つ。何かあったのではないかと思い掛け直した。

その子は、いわゆる『神様系の声』が聞こえる子だ。
ぱっと、降りてきた言葉を対象者に伝えるまでその声が止まない、というなんとも不憫な体質を持っていた。

私は、彼女が何を言いたくて電話をくれたのかわからないまま、しばらく楽しくお喋りをしていた。何度か「じゃーまたねー」と切るタイミングがあったが、なんとなく雑談が続いていた。そうして伝えられたのだ。先祖の供養、できたらしてみてねと。


私の家系は少し複雑だ。
祖父母は当初、祖父の姓を名乗っていたが、祖母の親族が皆亡くなったとき、家が途絶えてしまうと祖母の姓に変えていた。
祖母の亡き父は神主である。血筋にこだわったのかどうか、本妻さんに跡継ぎができずお妾さんを数人作ったらしく、祖母も育ての親と生みの親が違う、そういう時代だった。――という思い出話を、私は生前の祖母から聞いたことがあった。

祖母も亡くなり、私たち孫世代の長男長女が結婚し数年が経った頃、親たちの間で、いつまでたっても孫が出来ないことが度々話題にあがるようになった。
これはなにかへんじゃないか、と誰が言い出したのかは定かではないが、父たちは家系が途絶えてしまう危機感を持ったのだ。そうしてふと、自分たちは先祖の墓参りをしたことがないと(今更)気づいた。


父たちは福島県で生まれ育ったが、祖父は静岡県、祖母は山梨県の出身であった。だが子供たちの誰ひとり、両親の実家や親戚の家へ連れて行ってもらったことがなかった。そのため家系図を作るにあたり相当苦労したようだ。特に祖母の家系については、生前の思い出話を辿るしかなかった。


祖母が繰り返し話したのは、

・父親は神主である
・親が子供たちに国の名前を付けたから兄弟姉妹は自分以外みんな若くして死んでしまった
・自分は本妻の子供である
・晩年、お妾さん(育ての親)の面倒を自分がみた

だった。

先祖の墓はどこにあるのか、『お妾さん』の墓はどうなっているのか、そのあたりに、自分たちに孫が出来ない理由があるのではないかと、父たちは考えた。

そうして判明したのが、本妻さんには子供がおらず、祖母が『お妾さん』と呼んでいた人が本妻さんであり、祖母はお妾さんの子供であったという事実だ。

皆、ざわざわした。
子供ができなかったという本妻さんを供養しなければマズいのではないか、という話になるのは自然な流れだった。
父たち兄弟姉妹の家族と私を含めた孫、総勢15、6名(ちょっと忘れてしまったが大人数だった)で祖母の生まれ育った山梨県の、今は消滅してしまった町へ、自分たちのルーツを探しに向かった。
結論から言うと、当時祖母が住んでいた場所は宅地整理されたらしく、結局よくわからずじまいだった。だが本妻さんの墓じまいをして、祖父母が眠る同じ墓に移すことはできた。――――そんな事情を友人につらつらと話すと、『闇が深い』と言われた。

闇、か。

なるほど。
(感覚的に、なるほど、と思った)

「どうすればいい?」と聞くと、供養の仕方を教えてくれた。
とても簡単なものだった。そして〇〇宗だと思うから、そこのお寺を回ってみて、とも言われた。(なぜわかる?)それと気になった神社でもいいよと。(気になる神社って、みんなそういうのあるもんなの?)

ひとまず21日間、自宅で供養することにした。
いざ、手を合わせてみると心が静まって、いい時間が持てた。コロナだけでもしんどいのに、先の福島沖地震で3.11と同程度の被害が出てしまった我が家。でも不安や恐怖心はひとまずほっとこう。そんな感覚になれた。

遡ったら気が遠くなるような自分のルーツに想いを馳せて、感謝。これまでの私に欠けていたことを、今年からは大切にしていこうと思った。
先祖の守りが入ると、精神的に強くいられるのだそうだ。

※私がやっている供養は『ガラスのコップにお水を入れてお饅頭など一緒にお供えをして手を合わせる。10分ほどたったら下げる』です。南か東の方角にスペース作ってそちらで。あまり難しく考えず、気持ちが大事、とのことでした。

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