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【ディスクレビュー】anewhite『恋人繋ぎ』鍵盤とボーカルで丁寧に織りなす新機軸

昨年末に1stフルアルバム『2000’s』をリリースしたばかりの anewhiteから、ピアノが舞い踊る極上のポップソングが届けられた。鍵盤の音色がキャッチーなイントロを経て、鍵盤に寄り添う形でさとう(Vo/Gt)のボーカルが加わる。そこから《そんな今だけをいつまでもしよう》と無垢な歌詞をきっかけに、ミニマルなベースとドラムが加勢。Bメロでキック音がシンセのバックビートへとすり替わり、サビに向けていよいよ感情の昂ぶりを増幅させる。サビに突入すると、鍵盤とバンドサウンドが再び一体となり、ボーカルの主張もより一層強くなる。…と、ここで2回目のAメロに突入するかと思いきや、展開されたのはCメロ。これまで滑らかに鳴っていた鍵盤がタイトに鳴らされ、キックの音圧も上昇。再び鍵盤とボーカルのみが絡み合うフレーズを経て、大サビでは《しわとしわになっても/ただの2人だけで居るのです》と歌い、本楽曲のテーマ"恋人繋ぎ"に帰結させていく。これほどまでに鍵盤の音が表立った楽曲は、バンド史上初ではないか。本作は一聴で分かる、明らかな新機軸だ。”思い合い”のダブルミーニングとなる《重い愛》という歌詞を置くセンスも流石である。

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