薔薇が憎い
母親が部屋にこもる私のために置いていく薔薇。綺麗に育ったのよと自慢げに置いていく薔薇。心から美しいと思えるし感謝してる。
でも、少し触れただけでパラパラと崩れていくそれが憎い。惜しげも無く花びらを撒き散らすそれが憎い。その弱さが許されるのが憎い。
人間は崩れたら罵倒されるだけなのに花は惜しまれつつ「だからこそ儚くて美しいんだよ」なんてしたり顔で語られる。憎い。
できることなら薔薇のようにゆっくりと静かにしなびて、でも確かな"形"という花びらは残ったまま終わりたい。
私の死が曲解されて行くのはどうしても嫌だ。
死んだら「なんで死んだんだろう」とか「若いんだから…」とか「きっと受験に悩んで……」とか言われる。それが嫌だ。
花はそれがないから羨ましい。
ただ枯れた事実だけをみて風情だけを感じてもらえるから。それが憎い。
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