小石岡なつ海

作った短歌の記録

小石岡なつ海

作った短歌の記録

マガジン

最近の記事

#2024年自分が選ぶ今年上半期の4首

隠すべき心があるが泡盛の濃い透明に怯んでしまう 誕生日おめでとう もう親ですか苦手なトマトどうしてますか 食パンの柔いところを食べさせて素描のヴィーナスに光さす 訊くことがこわい気もしている母のこどもの頃の将来の夢 表題のTwitterハッシュタグにおいて、まとめた4首です。 なお、これまでの自選まとめはnoteのマガジンにも格納しています。

    • 自選短歌:2024年6月

      ひととして至らぬ夜に虫の息ほどのラジオを枕に溢す 経験は選べたはずだあたらしいシャンプーに酔う朝方の雨 向こう見ずにだけ備わるかがやきは川面を切ってさよならもなく 我々の初夏はふたつの意味を持つファーストサマー的ニュアンスの 境目は意識するほど溶けやすく夏至の真昼に知る花呼吸

      • 私家版歌集『好きな季節がない』通販開始のおしらせ

        私家版歌集『好きな季節がない』の通販受付を開始いたしました。 BOOTHの匿名配送システムを利用します。 ご購入者さまと送り主、双方の個人情報が渡らない方法でお求めいただけます。 不慣れなためタイミングによっては少しお待たせしてしまうかもしれませんが、お手元に置いていただけましたら嬉しいです! 歌集『好きな季節がない』 A6/86頁/250首収録 通販価格:630円 2023年までに発表した短歌のまとめ本です。 まとめるにあたり、手直しした歌もあります。 好きなよ

        • 自選短歌:2024年5月

          やっと手に入れた機械のからだでも雨には弱いままだ、ルーシー 世界より自分のために返り血を正義の対は正義しかない 生き急ぐことは彩度を伴って躑躅がガードレールを包む 人生のどこで貼るかもわからない薔薇のトーンの備えだけある 転調ののち繰り返すサビに沸く何の話でそうなったっけ

        #2024年自分が選ぶ今年上半期の4首

        マガジン

        • 参加企画・イベントの記録
          0本
        • 自選短歌
          22本
        • 発行物の記録
          6本
        • まとめ・連作
          9本
        • このnoteと作者について
          1本

        記事

          私家版歌集『好きな季節がない』

          きたる5/26(日)、COMITIAに出店いたします。 私家版歌集の販売を行いますので、ぜひお立ち寄りいただけましたら幸いです! 以下、出店および販売予定のお品のご案内をまとめます。 COMITIA出店のご案内2024/05/26(日) COMITIA148 東京ビッグサイト 東2ホール【し40b】 サークル名:小石岡なつ海 販売品のご案内歌集『好きな季節がない』 A6/86頁/250首収録 会場価格:600円 通販価格:630円予定 2023年までに発表した短歌

          私家版歌集『好きな季節がない』

          #サンリオ短歌

          またねって言って数歩で振り向けばまだポチャッコの肉球ゆれる (ポチャッコ) 引きずった毛布のなかはあたたかく好きに遠慮は要らなかったね (まるもふびより) どの岐路も能動的でいるように赤いリボンを心に飾る (ハローキティ) 焼きたてをつまみ食いして運ぶからきみと共有できるおいしさ (ポムポムプリン@館のレストラン) 寺嶋由芙さんによるRadiotalkでの「サンリオ短歌会」へ投稿した歌です。 サンリオ、そしてポムポムプリンを深く愛するゆっふぃーの企画に、同じくサンリ

          #サンリオ短歌

          自選短歌:2024年4月

          コーポって感じのきみの部屋いつか忘れたい日がくると知りつつ 去り際で分かる わたしは原作にいない劇場版のキャラだな 久方の酒にとろけて月面に憧れすぎているかもしれず はりぼてのはりぼてだった交際も楽しかったな今しかなくて レンタカー返すときまでふたりだよ眠くなったら眠っていいよ

          自選短歌:2024年4月

          自選短歌:2024年3月

          横切った明治通りで見る雨の夜は地面がずっと明るい 長雨を済ませた空のあざやかに慣れないものをこわいと思う お日様のようだと百合を飾るひと花言葉など知らなくていい 満開を逃してきみは謝ったここが何処でもよかったけれど あすよりも先を思っている春のきみの海馬と仲良くしたい

          自選短歌:2024年3月

          【連作】croquis:往路・復路

          朝方にわたしは細い一本の頭痛の芯の容れ物となる 占いを信じたせいで牛乳が二本同時に開けられている 職場までドアtoドアで一時間 to鵠沼をふいに検索 休日の街に消えたピアスどうか烏の巣でも輝いていて ひとりだけ晴れた午前に傘を持つ想像、そして置き傘を取る 迷い子がわたしの窓に訪れてそっと帰してやるAirPods 家に着くなり雨音は白熱し思い浮かんだ駅前のゲロ

          【連作】croquis:往路・復路

          自選短歌:2024年2月

          陽が透ける梅の香りを吸って、吐く 冬の未練は一昨年のもの 凍星が出会った頃に重なれど二度の居留守でわかってほしい 別れ際みたいな顔のおはようだ残り三泊四日あるのに 偶数はたぶん寒色だと思う眠い夕方だから話すと 独白を歩みにのせて往く夜のロールアップの裾から桜

          自選短歌:2024年2月

          自選短歌:2024年1月

          象として役目を終えてなだらかに油粘土はケースへ還る 東京と夢と私を捨ててまで選んだ地元の女とはどう 透明のネイルは落とすことにしてあなたの恋を叶えてあげる たのしいと借り物だからこわくなるお猪口の底の輪っかが歪む もうここで大丈夫です彼のこと誰も知らない銀河ですから

          自選短歌:2024年1月

          【画像配布】短歌いちごつみ募集テンプレート

          Twitterでの募集を見ていて、140字では希望をあらかじめ提示できない・始めるまで時間がかかるのでは?と思い、作りました。 加工も含め、ご自由にどうぞ。 報告不要です。 各条件・希望を、チェックや記入で示して発信してください。 ※使用後にトラブルが生じた際の責任は負いません

          【画像配布】短歌いちごつみ募集テンプレート

          自選短歌:2023年12月

          傷口を撫でる言葉が浮かばずに新玉ねぎを丸ごと煮込む 海になるシーンはカットされていてきみの中から雪は見えない 記憶では冬の歌だけ口ずさむ彼女の息は白くなかった 飴ほしい・見て海王星・寒いかも 帰り支度に時間をかけて 偶然をうんと懐かせ必然と言い聞かせつつ恋を続ける

          自選短歌:2023年12月

          #2023年の自選五首を呟く

          鼓膜から歌を伝って来れるよう夜は心を満たさずにおく 摘みながら束ねる花のように脱ぐ海に適していないサンダル 飲みやすい一口分の悲しみは比べたがりを幸せにする 「噂では僕はあなたが好きらしい」掌で靴擦れに触れつつ 二回目のラストライブを見届けた帰路は十五のわたしと語る 表題のTwitterハッシュタグ企画に参加させていただきました。 上半期にも自選をしたので、今回は下半期に作った歌を中心にしました。 月毎の自選ではあまり対象としていないのですが、連作からも選んでいま

          #2023年の自選五首を呟く

          短歌ネットプリント「temperature」

          夢子さんとのいちごつみでの短歌を、それぞれ10首ずつ、全20首収録 A4/1枚/白黒/20円 【PDF版】アーカイブとして、私の短歌のみを収録したデータを公開します。 【ネットプリント】配信終了しました。 出力くださいましたみなさま、誠にありがとうございました! ◾️セブンイレブン◾️ 2024/1/10(水) 23:59まで ※延長しました ◾️ローソン、ファミマ、ポプラ◾️ 2024/1/10(水) 19:00まで わたしにとって初めてのいちごつみ、夢子さんにご

          短歌ネットプリント「temperature」

          【連作】ing

          車庫にゆくバスを見送りテザリング相乗りしても手は繋がない カンニング竹山さんへ 夢で身代金払ってくれてありがとう 右耳に2、左耳に2で4つ、ピアッシングにおいては素数 ローディング画面で深く抱きしめるきみの仇を取ると誓って きみの眼に涎を垂らしその星の地下水脈をダウジングする フライングタイガーコペンハーゲンの皿よ憎悪をまろやかにせよ 望まない命で臨むジャイアントキリングだった総じて損だ 野良猫のコーナリングのあざやかに彫刻刀の傷がこわばる