8月に読んだ本 読書メーター
すっかり読書月間になった。マイ・ブームは「漂流、サバイバル」と「海外古典SF」。読書会の影響で小説の面白さに目覚めた。新しい世界を知る意味で「漂流」「羆嵐」「現実はいつも対話から生まれる」がお気に入り。
2023年8月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4412ページ
ナイス数:69ナイス
■10代から知っておきたい 女性を閉じこめる「ずるい言葉」
昭和を30年生きた男性から見て耳の痛い言葉ばかり。知らずに使ったり当たり前のように使っていたりする。非常に失礼な言葉が多いが、言葉足らずで火に油を注いでいるようだ。「あなたも悪い」で突き放す言葉はひどい。被害者を非難する「犠牲者非難」は日常溢れている気がする。自分の言葉に責任を持つことの難しさを痛感した。抜け出すための考え方を肝に銘じたい。10代からで読みやすいが中身は重量級。
読了日:08月26日 著者:森山 至貴
■iichiko design 2017
いいちこのポスターを見たのは1980年代の駅構内だった。商品が小さく、穏やかな風景を新鮮に感じていた記憶がある。
写真を作品として見て広告の持つ力強さや いいちこが寄り添う雰囲気の美しさ、ビジュアル以外の音や匂いや触感を感じさせる工夫があるように思う。浅井慎平はいい仕事をしている。僕の創作のヒントをもらった。
読了日:08月25日 著者:三和酒類
■ロビンソン・クルーソー (光文社古典新訳文庫)
漂流記の代名詞ながら初読。ロビンソンという人間について考察。漂流生活を規律正しいものにする几帳面さ。絶望することはあっても立ち直るタフさがあり 手先は不器用ながら創意工夫に優れている。安定より変化を好み衝動的に行動する一方で 思慮深さがあり判断に迷いがない。想像力が豊かで感受性が強いので不安や恐怖も大きい。自分と共通する点が多く親しみを覚えた。しかし無人島から生還する人は 人間社会では生きづらさを感じやすい。だから放浪するのだろうか?
読了日:08月21日 著者:ダニエル デフォー
■旅する小舟
読了日:08月20日 著者:ペーター・ヴァン・デン・エンデ
■新編 鳥島漂着物語 18世紀庶民の無人島体験
吉村昭「漂流」の流れで読了。鳥島に漂着した難破船の多さや長期の漂流生活など驚くことが多い。さらに船を作り脱出したのは長平らだけではなかったことや あとに漂着した者たちへの物資やノウハウの伝達、生還後の顛末など興味深い。海難事故に遭った人たちへの温情な配慮や親切心は胸に迫る。大海のケシ粒にすぎない人間だが、環境への順応能力と生存への執念は、人間を尊いものにしている。著者の漂流者への優しい眼差しが感じられる本。
読了日:08月15日 著者:小林 郁
■漂流 (新潮文庫)
漂流記がこんな身近にあった驚きと生還までの壮絶なサバイバル物語。「エンデュアランス号の遭難」「十五少年漂流記」「夜と霧」など読んできて 生き残る人には共通のスキルがある。「思慮深さ」「自制心」「利他の心」「冷静な判断」「直感的」「行動力」など。船乗りという「板子一枚下は地獄」を身をもって知っているからこその精神力の強さもあるだろう。人生で生死を分ける経験はそうそうないが、「生きる意欲」が最後の砦になるはず。生きることは、人であれ動物であれ他の生命を殺すことで成り立っている事実を改めて突きつけられた。
読了日:08月13日 著者:吉村 昭
■羆嵐 (新潮文庫)
大正時代に北海道の開拓村で発生したヒグマの襲撃事件を題材にした物語。開拓村での自然の厳しさや生活の苦労が忍ばれる一方、クマから見れば、邪魔者で人間はエサにしかすぎない。淡々と記録していく簡潔な描写は、すごい臨場感が迫ってくる。漆黒の闇や奥深い山中、貧しい暮らしや襲撃の現場など興味が尽きない。警察組織や村落の集団の脆さが浮き彫りになるなど夢中になって読了。クマの知識は矢口高雄の「マタギ」しかなかったが、ヒグマは想像を絶する巨体と凶暴さがある。綿密な取材で歴史を掘り起こす著者の本を読みたくなった。
読了日:08月10日 著者:吉村 昭
■カッコいいスナップ写真の撮り方 (玄光社MOOK)
野寺治孝の三冊目。撮り方&仕上げ方、NOTE、データが揃ったレシピスタイルは理解しやすい。被写体のアップの
作品が多く、写真家の心情や感情が手に取るようにわかる。スナップは「切り取る」スタイルが基本と改めて感じた。作品は光があるし 画面構成の巧みさ、明快なメッセージがあり楽しい作品ばかり。どちらかというと中級者向きの本。
読了日:08月08日 著者:野寺治孝
■エンデュアランス号漂流記 (中公文庫BIBLIO)
初の南極大陸横断に挑戦したシャクルトン隊の冒険記。気づき・淡々と任務に徹したなかの痛切な叫び「頼む、頼む、静まってくれ、お願いだ」・「海は誰にも胸を開いてくれるが 誰にも慈悲をかけない」・「死」という言葉が登場しないのは、探検日記だから?「生」への執念か?・探検船の最後の雄叫びと極地の過酷さ・フランクルの「夜と霧」とも共通する人間の精神力の偉大さと環境への順応性の高さ・4度目の救出に成功するまでの苦悩・優れたリーダーと部下が一体となることでリーダーシップが生まれること。熱く胸がいっぱいになった。
読了日:08月07日 著者:アーネスト シャクルトン
■十五少年漂流記 (創元SF文庫)
50年ぶりに再読。物語は忘れたが偕成社版の表紙のイラストを覚えていた。三カ国の少年たちの波乱万丈の冒険物語。寄宿学校の生徒だけあって たくましく大人顔負けのサバイバル術。各自の知恵や勇気が役立つ一方価値観や性格から対立もする。でも最後には乗り越えて生還へとつながる。大人でも夢中になって3日間で読了。弟ジャックの告白は涙を誘う。それぞれのお国柄が個人に反映されていて面白い。
読了日:08月04日 著者:ジュール ヴェルヌ
■猫的な、あまりに猫的な 人間たちの心を猫にする“哲学猫"120の言葉
読了日:08月03日 著者:白取 春彦
■生きるための哲学
古今東西の哲学者の思想や言葉から読み解いて考察した本。哲学書の原著を読まなくても その一端に触れることができるし 簡潔で理解しやすい考察は親しみやすい。小さいことでいい。気づいたことを日常に生かしてみる、反省してみる、新しい知見を学ぶの繰り返しで 哲学を学ぶ意義がある。あくまでも著者の理解であって 自分なりの読み解き方を探るのも楽しみの一つだ。
読了日:08月02日 著者:白取 春彦
■地底旅行 (光文社古典新訳文庫)
初めてのヴェルヌ。合理的な科学者とは思えないリーデンブロック教授と語り手のアクセルの不甲斐なさと黙して語らずのハンス。サイエンス・フィクションは空想科学物語なので 科学的(と思われる)な要素と空想がうまく溶け合っていることを実感としてわかった。発表当時の科学の知見や政治社会を知ることができるのもSFの面白さと気づいた。解説にある教授をドン・キホーテになぞらえ 旅行を太古世界へのタイムトラベルという視点は、面白く納得できる。SFの始祖と言われる他の著作を読みたくなった。
読了日:08月01日 著者:ジュール ヴェルヌ
■現実はいつも対話から生まれる
社会構成主義とは、対話を通して新しい現実を創造する(監訳者)。まとめれば、自分の見方や考え方で世界を作っているので 人間の数だけ異なった世界があること。他者の視点や価値観を対話によってコミュニケーションする。コラムの著者夫妻の体験談が最もわかりやすい。夕食に遅れた夫に対して 夫「どんな物語を望んでいる?」妻 傷ついた妻の役割を演じられなくなる。現実を構成する方法は一つではない 仲直りする構成。不機嫌な夫に対して妻「しばらく外を歩いてきたら?」二度目の帰宅で状況がすっかり変わり一度目の経験を脱構成した。
読了日:08月01日 著者:ケネス・J・ガーゲン,メアリー・ガーゲン
■失われた世界 (古典新訳文庫)
いわゆる秘境冒険ものの原点がここにあり!破天荒な教授を始め明確な個性の人物たちと 手に汗握る物語に夢中になって読んだ。語り手の記者の冒険の動機や巻き込まれていく人物たちの思惑が面白い。秘境の豊かな自然と生き残っていた太古の恐竜や動植物の遭遇は、リアルで説得感がある。無事に英国に生還してからの隠し玉や記者の失恋など 最後まで目が離せない。名探偵ホームズを創造したドイルだけに色褪せない面白さがある。新潮文庫からドイル傑作集があるので読んでみたい。
読了日:08月01日 著者:コナン・ドイル
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