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モモ ミヒャエル・エンデ 読書感想文

児童文学を超えて大人が読むべき物語。私達が、いかに時間に縛られて、流されてしかも浪費しているかを痛烈に批判している。
コンピュータからパソコンになりスマホ社会をたどってきた世代には、エピソードは耳が痛い。効率化や省力化で人間の仕事が楽になった実感はなく、絶えず追い立てられる社会構造。

私達が、うつむいて言葉をかわすことなく、孤独を深める先には何が待っているのだろう。時間の花をどうやって取り戻せばいい?
(ここまで読書メーターの投稿記事)

来週の読書会の課題本になっているので購入。モモの冒険に目が離せず、一日で読了した。

カメのカシオペイア カメの30分先の未来を予知できる、しかも喋らないというアイデアは、面白い。謎めいた言葉はかなり意味深だ。予知できるということは、未来は決定しているという決定論かな。自由な意志はない?ひょっとしてマイスターホラを超える存在なのかと 想像が膨らむ。

モモ 黙って人の話を聞く。いや聞くではなく聴くだね。僕もそうだが、しゃべりたくてウズウズ、自分のことを喋りたいのが私たち。聴くことの大切さは、ヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」の河に聴くエピソードでも同じ。自分との対話や内省ができる人は、賢者だと思う。なんか人物像がイメージしにくい?

道路掃除夫のベッポ 年の功を感じる内向型人間。慎重、自制、思慮深さは、内向型の強み。ありありと人物像がイメージできた。

観光案内のジジ 夢見る外向型人間。理想に燃えるが 夢を叶えることで犠牲になることは、大きい。すべてを手に入れることはできない。やっぱりこうなるよねえと同情してしまう。人間の弱さもろだしだ。大きな成功の陰には犠牲がつきもの。人間の手の大きさには限りがある。アニメ魔女の宅急便のジジを思い出した。

マイスター・ゼクンドゥス・ミヌティウス・ホラ(通称マイスター・ホラ)
時間を司る最高神だろうか。登場する時計はすべてアナログ時計のはず。デジタル時計の登場前だから。

灰色の男たち
灰色の女たちは いないのだろうか。灰色は、はっきりしない、白黒の中間イメージで嫌われるのかな。写真用語でニュートラルグレイは、明るさと色彩の基準となる重要な色彩。

時間についての本や名言は、それこそ星の数ほどある。
「時間は存在しない」カルロ・ロヴェッリ 物理学の知見?読む予定。
「過去 現在 未来は幻想に過ぎない アルベルト・アインシュタイン」と言う言葉もある。確かに実感できるのは、今だけ、瞬間だけ。過去は頭の中だし 未来はない。
人間が作り出した虚構である国、宗教、貨幣など(サピエンス全史)とならんで「時間」もその一つだ。時間という道具にがんじがらめな人類。

僕は数年前から 時間が経つのがゆっくりしてきた感覚がある。一週間が8日間あるようだし 季節を長く感じるようになった。人生ってやっぱり長い?

読書メーターの登録者数が20000以上の注目本。時代を超えて愛されるまたは問いかける物語は古典だ。


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