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羆嵐(くまあらし) 吉村 昭

大正時代に北海道の開拓村で発生したヒグマの襲撃事件を題材にした物語。開拓村での自然の厳しさや生活の苦労が忍ばれる一方、クマから見れば、邪魔者で人間はエサにしかすぎない。淡々と記録していく簡潔な描写は、すごい臨場感が迫ってくる。漆黒の闇や奥深い山中、貧しい暮らしや襲撃の現場など興味が尽きない。警察組織や村落の集団の脆さが浮き彫りになるなど夢中になって読了。クマの知識は矢口高雄の「マタギ」しかなかったが、ヒグマは想像を絶する巨体と凶暴さがある。綿密な取材で歴史を掘り起こす著者の本を読みたくなった。

読書会の紹介本。凄惨な現場の状況描写がすごいですと紹介してくれた。新しい歴史を知ることができた驚きの一冊だ。


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