春を迎える前に

春を迎える前に書いておこう。春を迎えるといっても明後日にはまた大寒波がやってくるそうで、おそらくこれをもって冬は死んでいくのだろう。

冬は嫌いだ。冬に生まれたにも関わらず、僕は冬が嫌いだ。学生時代に冬にいい思い出が全く無いのが一番の理由だと考えている。しかしそれ以前に寒いのが大の苦手なのだ。寒がり、冷え症なのでとにかく冬は外に出たくない。かと言って夏が一番好きなわけではない。花火は好きだけど。あの生命力がひしひしと伝わってくる季節は生命力が全くない自分にとってとてもミスマッチだと思うから。秋も悪くはないが、冬が近づいていると感じさせられるのでまぁ平均点くらいの印象だ。

僕は春が一番好きだ。気温が暖かくなると精神も安定する。逆に少しテンションが上がりすぎて、狂ってしまうこともある。春は急激に幸福感を与えてくるのだ。それに身体がついていけない人がいる。あとは桜だ。桜が好きだ。桜の木には毒があるため、桜の木の下には何も生えないらしいがそんなのどうでもいい。関係ない。美しいものを綺麗なものを見たい。それが花火にしろ桜にしろ、その季節の思い出になればそれでいい。大人は人生の中の春と夏が終わっている。もう子供の頃のような春と夏のイベントがくることはない。入学式や夏休みなどほとんどの子どもにとっては神聖なイベントであり今でも記憶に残っているはずだ。そして思い出すたびに感傷に浸ったりする。

もうすぐ春がくる。死にたい季節だと思う人もいれば夢と希望に満ち溢れた季節だと思う人もいるだろう。僕は前者でも後者でもなく、今年もきっとただ春が死ぬのを冬が死ぬのと同じようにじっと遠いところから観てるようなそんな感じになると思う。

夏は嫌いと書いたけれど、夏が来る前の夏をインストールしているようなそんな気分になる時期は好きだ。例えるなら学園祭の本番より準備が楽しい感覚に似てる。

梅雨は冬より嫌いだけれども。


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