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噂のあの子

昨日の出来事である。

看護師の人から、差し入れをもらった。

それは本であった。

だいぶ前にあの子に頼んでいたものだ。

と、言う事は、あの子が病院に来たのか?

どうして、
オレが病院にいるとわかったんだ?

メールが何通かきてたっけ。

それでも、入院したのは、隠していたはず。

謎だな…。

今は面会も許されない。

なんだ?…寂しい気持ちになった…。

あの子に会えないと思うと、
心が落ち込んで、寂しいと感じる…。

私の中で、
あの子の存在は思ってたより大きい様だ。

あの子が産まれた時、
すごく感動したのを覚えている。

ミルクの匂いのする、
小さくて、儚くて、愛おしいと感じた。

沐浴を初めてやった。
おどおどしながら、ガーゼで拭いてやると、
気持ちよさそうにしている顔に癒された。

それから、
いつの間にか、歩いてて、
一丁前にご飯をもりもり食べていた。

言葉も、いつの間に、
一言から、二言、と数が増えていく。

次第に、
ちゃんと言葉を理解していたのは驚いた。

そして、
想像力を作り上げて、一人で遊んでいた。

たまにしか、
会いに来ない私を見つけると、
走って抱きついてくれていた。

あの子の中で、
私を認識してるのだと嬉しくなってた。

会う度に、あの子は成長していく。

それでも、
こんな私を未だに慕ってくれるのだ。

あの子にとって、
私はどんな存在なのだろう。

あの子の祖父母とは、
あまり話さない。

どう、私の事を説明しているのだろうか…。

父親代わりになっているのかもしれない。

決して、そんな事言わないが…。

それか、年の離れた友人なのか?

あの子と話すと対等に話している。

と言うか、最近になると、あの子の方が、
賢くなって、色々教えてくれる。

その方が、私もありがたい。

私は、何もしてあげれないのに、
あの子は、私に温かい言葉をくれる。

今は思春期に、
なっていて恥じらう姿をチラつかせる。

それが、とても新鮮でどこか懐かしい。

あの子は、祖父母のおかげで、
優しくまっすぐ素直な子に育っていく。

あの子には、両親がいない。

祖父母に育てられている。

学校で、嫌な思いはしてないだろうか。

自分の生い立ちを不思議がるだろう。

だけど、
一度も祖父母には聞いた事ないと言う。

その代わりに、私にnoteをすすめてきた。

そこで、自分の生い立ちを書いて欲しい。

そう言うのである。

いつか、あの子がどうしても気になって、
心の準備が出来たら、私のnoteを探し出し、
真実を受け入れようと思うと言うのだ。

私は、その使命を受け、
SNS嫌いの中、このnoteをはじめた。

いつか、
このnoteを見るであろう。

だから、あの子に伝言します。

お前が、いてくれて本当に嬉しかった。

このnoteを見て、どう思ったかな?

お前は、人の気持ちがわかる、
とても優しい心を持っている。

誰が何を言おうが、
オレはお前の味方であり続けるからな。

このnoteを見ている時は、
もしかしたら、私はいないかもしれない。

だが、
これだけは言わしてくれ。

お前は、愛おしくて、可愛くて、
何よりもかけがえのない存在であった。

お前は、色んな苦労をしてきた、
だから、お前は強い人間だ。

オレなんかより、ずっと頭がいい。

いかん…涙が出てきた。

それほど、お前の事をおもっている。

オレみたいには、なるなよ。

お前は、自分を信じて生きろよ。

そして、親友を作れ。

共に添い遂げる人を大切にしろ。

わかったか?

これ以上、言うとウザがれるな。

うん。それだけだ。

じゃぁ、無理しない程度に頑張れ。

おせっかいなおじさんですまんな…。


病室で、これを書いて泣けてきて、
ごまかすように窓の外をのぞいたら、

あの子が手を振っていた…。

おいおい、いつから、そこにいたんだ…。

お前ってヤツは…本当に…優しいな。

オレが窓の外見なかったらどうするだよ…。

不覚にも泣いてる所を、
あの子に見られてしまったではないか。

私は、小さく手を振る。

あの子は、笑顔で思いっきり、
手を振っている…。
こうゆうの恥ずかしがってしないはず。

オレの為に、恥ずかしいのを我慢して、
エールをおくってくれている。

わかったよ…
お前の気持ちを受け取った。

オレの安否確認したかったんだな。

オレは、早く行けと手で追い払う。

すると、あの子は手を大きく丸く作り、
オーケーと叫んでいた。

そして、走って帰って行った。

なんか…勇気づけられてしまった…。

お前は…オレの生きる希望だ。


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