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ASDの観ている世界は美しい

こんにちは、sinraです

わたしはASD(自閉スペクトラム症)の特性を持ってます

そのせいで、いろんな生きづらさや挫折を経験してきました

集団生活が苦手
刺激に過敏でストレスを感じやすい
コミュニケーションがうまくできない
環境の変化に対応できない
不安や緊張に呑まれやすい
興味の対象が狭くて特殊

などなど

なんで自分はこうなんだろう
どうして他の人みたいにできないんだろう
なんでこんなに生きづらいんだろう

と、何度思ったかわかりません


若い頃は、逃走、ドタキャン、バックレ、遅刻
その場しのぎの嘘に、人間関係リセット癖
0か100か思考でダメだと思い込んだら全部やめてしまう
極端で自分中心
人に迷惑ばかりかけてしまう

そんな人間だったと思います



でも、ASDじゃなかったらよかったかといえば、そうともいいきれない自分がいます

なぜなら、ASDという特性が魅せてくれる世界はとても美しいから

ASDというのは、極端なんです

そして、とてもシンプルで微細な世界


よく、ASDにはこだわりがあるといわれます

有名なのは、数字や電車などでしょうか

興味のある分野において特殊な能力を発揮するいわゆるアスペルガーっぽいキャラもたくさん登場します

決してASD=特殊な才能というわけではないですが(というか、わたしも含めて平凡な人間が大半だと思います)
ごくごく個人的なこだわりや、狭く深い興味をもっているASDは多いと思います

このこだわりという感覚、
好きとか好ましいとかいう感覚とは全然違うものなんです

それは、ある種の不快感焦燥感と表裏一体のもので、
それをしなければどうにかなってしまいそうというくらい切迫した、なんとも狂おしい感覚なんです

そして、それが満たされたときのなんともいえない恍惚とした安心感があります

そのものに対して執着が強いともいえます


わたしの場合は
ある種の身体感覚や、言語に対してこだわりがあります

言葉に対するこだわりは幼少期からで
幼稚園時代は絵本を一言一句違わず暗記して悦に入っていました

学生時代、わたしは学校の勉強が得意でしたが
これも頭がいいというよりは、
言葉に対する敏感さゆえだと思います
(特に国語や英語は突出して得意でした)

社会人になった今も、書類関係の仕事ではそのこだわりが良い方に役立っています


ASDの場合、新しいことに取り組むよりは、
同じことを繰り返すことに安心と喜びを感じます
(クリエイティブさとか、創意工夫とかはあんまりないです)

わたしも、言葉に対する感覚の微細さをもっていますが
創作などの新しいものを生み出す能力は特になく

たとえば、すでにある文章を何度も読んでまるまる暗記する
既存の文章の誤りや違和感に気づく
文章を読んで要点をすばやく把握する

など、すでにある文章に対しての感度の高さという形でこだわりがあらわれます

細かい違いがわかる、という感じです


身体感覚についていえば
わたしは学生時代、テニスの活動に打ち込んでいました

ASDと運動部というのは、そんなに相性がいいものではないです

わたし自身も、いわゆる体育会のノリや礼儀には結局ついていけないことが多かったです
(でも多少なりとも耐性がついたのは、社会で生きる上で後々よかったと思います)

それなのになぜわたしがテニスを続けていたかといえば
単純にラケットでボールを打つときの微細な感覚の喜びにやみつきになってしまったからです

わたしは、単純な練習を何度も繰り返すことにまったく苦痛を感じませんでした

むしろ、同じ単調な練習を繰り返せば繰り返すほど、どんどん細かい違いがわかるようになっていき、その微細な感覚の違いにのめり込むようになったのです


ASDからみると、定型の世界は、氾濫した川のように、良いものと悪いもの、きれいなものと汚いものが混在して混濁しており、
猥雑な雑踏のように混乱していて、無秩序で、楽しいものも、何かよくわからない判別不能なものも、悪も、すべてが渾然一体となって存在しています

その圧倒されるようなエネルギー、理解不能な法則、ギラギラと光るネオン、大音量の音楽、ひとびとの笑い声のさざめき、そういったものが溢れています



それに比して、ASDの世界は極めてシンプルです

そして、とても微細で、美しい

万華鏡のような、整然とした、ミクロの世界が広がっているのです



わたしは不器用で、幼稚で、自己中心的で
コミュニケーション不全で、ストレス耐性がなく、先のことをうまく想像できない
キャパが狭く、すぐ疲れてしまって、不安をコントロールできない

それでも、ASDの魅せてくれる世界は美しいから
わたしはASDである自分を否定しきれないのです



今日は、わたしがASDでよかったなと思うところの話でした

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