「黒船来航」に寄せて 千一亭志ん諒 お二人は前座修行を一緒にされて仲良くなったのだと聞きました。 落語の中の争いは仲良しの争いです。喧嘩も諍いもお互いに相手の腹は解っています。だって争っている二人はどちらも落語家一人がやっているんですから。 落語には現実ではあり得ない他者を完全に理解した仲良し関係があります。それを表現できるのは落語だけと言っていいでしょう。また、仲の良さを表現し味わうのが落語の目的と言っても良いかもしれません。 落語には相手を自分の一部として認め
【落語】 千一亭志ん諒「 船徳 」(フナトク)【 第128回志ん諒の会(千一亭志ん諒独演会)2022年6月26日 】 https://youtu.be/kXeQX6FolaE
【落語】 千一亭志ん諒 自作「 引越祝い 」(ヒッコシイワイ)【 第128回志ん諒の会(千一亭志ん諒独演会)2022年6月26日 】 https://youtu.be/tNGxc_dsnjE
私は以前より、自分の腕を上げるには自分より達者な人から学び取ることだと思っていました。 しかしながら、今回、見回より一回り多い四回りも歳の違う人を相手にし、一緒に時間を過ごしたところ、すぐにも、明らかに自分の芸に変化が見られたのです。 どうやら、のびのび、ハツラツとしたその芸と佇まいに反応したようです。私は「船徳」を掛けたのですが、徳三郎を、私の思う突っ転ばしの若旦那として無理なくできたのは初めてのことです。 よく、「人は自分自身では自分のことは分からない。相手を
自作の「佐助」は今回で2回目です。前回、曖昧になっていた所を整理しました。 近頃、海外ドラマ「ザ・アメリカンズ」を観ています。これが潜伏しているスパイのお話で、隠密と被る所がありそうです。 ですが、シリアスドラマですから、マヌケな聞き違いでボケるなんてことはありませんが、緊張感だけは同じものと思い、勉強させていただいています。 「お茶くみ」は軽いお話でホップ、ステップ、ジャンプのホップにはちょうどいいお話です。しっかり踏み板を外さないで力いっぱい跳び出しますが、軽く
なぜ、あんなに堅い番頭さんになったんだろう。その疑問への答えの一つを「百年目」に加えました。 周りでしくじっては家へ帰される仲間を見て、番頭さんは自らの帰る家の無い心細さを感じていたことでしょう。それに加えて親代わりと思っている旦那からの心無い言葉にどれほど傷ついていたことでしょう。 大きな孤独感から、頼るのは自分だけと、きっと番頭になったときに堅く決意したことでしょう。そして、別の世界で本来の自分を取り戻していたのかもしれません。 今回、柳亭こみち師匠の素晴ら
只今発売中の雑誌「クインテッセンス3月号」144ページに私のコラムが掲載されています。 以下は全文と掲載された写真とその説明です。 -------- 落語家・干一亭志ん諒をつくり り続けるものたち -------- 「今日も元気,明日も元気,今月いっぱ い元気だ」 これは1964年に放映されたテレビ人形劇 「ひょっこりひょうたん島」に登場するトラ ヒゲの台詞である. 私は小学3年から6年まで,ほぼ毎日の ようにワクワクしながら放送時間を待って いた.おそ
以前「花見蔵」の名で作った話を、今回「花見の蔵」と名を変えて掛けました。 どこが変わったのかというと、古い女中のおキヨさんの想いを変えました。前回は待ってましたとばかり喜んでしまうおキヨさんでしたが、今回はためらいながらもしぶしぶ頷くおキヨさんにしました。そして、おしまいの部分を、前回は有り得ないようなフォンタジーとして描きましたが、今回はそれより少し現実的なものとして描いて見ました。また、今回は極力地の語りを少なくしました。でも、やってみて、どちらが良いのかは正直決めか
柳亭こみち師匠の一席目はなんと「愛宕山」。奇跡を見た瞬間です。大ネタ中の大ネタ。古今亭志ん朝さんを代表するネタでもある「愛宕山」です。有難い。実に有り得ないこと。 艶やかな舞子さん達が桜の花のように咲き乱れる「愛宕山」です。「おみごと」と頭が下がりました。 落語は歌と同じように心を揺さぶることが話の本質です。それはもう、私はガンガンと揺さぶられました。熱いものがしっかりと伝わってきたのを感じました。 古今亭志ん朝さんに感じたものと同じものを感じ思わず頭がさがりました