見出し画像

なんとなんと来たる3月12日、日曜日に扇太さんと黒酒さんの二人会「黒船来航」があります。そこで「黒船来航に寄せて」を書きました。

「黒船来航」に寄せて  千一亭志ん諒

 お二人は前座修行を一緒にされて仲良くなったのだと聞きました。
 落語の中の争いは仲良しの争いです。喧嘩も諍いもお互いに相手の腹は解っています。だって争っている二人はどちらも落語家一人がやっているんですから。
 落語には現実ではあり得ない他者を完全に理解した仲良し関係があります。それを表現できるのは落語だけと言っていいでしょう。また、仲の良さを表現し味わうのが落語の目的と言っても良いかもしれません。
 落語には相手を自分の一部として認める意識を感じさせます。
 似て非なる芸に一人芝居がありますが、こちらは登場人物になりきるという芝居の原則から、別人格を表現し味わうものです。芝居で表現される仲良しは現実の仲良しと同じでささやかなことから猜疑心を生み崩壊するような人間関係といえます。芝居は他人を表現し、落語は自分を表現するものと言っても良いでしょう。
 険しい人間関係の中にあっては優しい気持ちになりにくいように、身を置く環境で心持ちは大きく変わります。
 今回の二人会は前座修行という過酷な苦労を共にした中で培われた仲良し達の落語会です。
 究極の仲良しを表現する落語というファンタジーの世界を仲良しの二人が案内してくれます。こんな環境で聴ける落語はなかなかありません。仲良しさんが語る仲良しの話に包まれればあなたも仲良しの仲間です。
 短い時間ですが暖かい記憶はいつまでも暖かくしてくれるでしょう。
 どんなお話をしていただけるのかと、とても楽しみにしています。

 
 

落語を考える事は限りなく深い森の姿を探求する旅のようなものです。森の中にいる私には、森の外から見ての意見で、見えないものが見えてくると思います。そして、一人より二人、二人より三人と、誰かと一緒に考えて行きたいです。スキ、コメント、サポート、みんな大歓迎です。よろしくお願いします。