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外来看護師のひとりごと41 ロールプレイ研修の奥深さ

みなさんこんにちは。
紅里です。

今日は看護師の研修について綴らせていただきます。
さて、ここで問題です。


あなたは看護師です。
たった今、医師から患者に
「あなたの病名はがんです。すでに全身に転移しています。余命は3か月くらいです。」と告知されました。
患者、家族は取り乱しています。
あなたならどんな言葉をかけますか?


なかなかに難しい問題ですよね。
正直言ってかける言葉なんて見当たりませんよね。
しかし医療現場ではよくある場面です。

安易なことを話したら患者はさらに傷ついてしまいます。
怒りだしてしまう患者もいるかもしれません。
そんな中受け止めを確認し、思いを共有し、気持ちをいたわる言葉をかけ、さらには今後どうしていきたいのかまで話し合い、気持ちを支える言葉をかけなくてはなりません。

おそらく看護師一年生でこの場面に対応できる方はいないと思います。
それなりの経験と研修を受けてこないと難しいのです。

研修は私も何度か受けてきました。
座学とロールプレイの2本立てが多かったです。
ロールプレイについて少し説明しましょう。

ちなみにロールプレイの定義ですが「ロール」が役割、「プレイ」が演じるです。
ケース型ロールプレイが一般的で、ある特定の場面を想定し、患者や医師、看護師などの役割を決め、最後にフィードバックし、自身の課題などを明確にして今後の看護に生かすというものです。
患者役をやることで患者の状況や気持ちも理解できます。

数年前に私がでた研修ではバッドニュースを伝えるときの場面設定でした。
バッドニュースとは「悪い知らせを伝えること」です。
そしてまずは医師役が当たりました。

医師役が当たったとき、普段から聞いている医師の真似をしてバッドニュースを伝えればいいやと思っていました。
この中では医師役が一番楽だと思っていたのです。

ところが実際患者役にバッドニュースを伝えようとすると
言葉が上手く出てこないんです。
やはり、「傷つけてしまう」「ショックを受けるだろうな」「なんとかショックを和らげるように説明しないと・・」など思っていると、どもってしまったり逆に淡々とした感じになってしまったり・・。

医師ってすごいんだとこの時改めて思いました。
患者役からはやはり「義務的に感じた。」「寄り添ってくれていないと感じた」など散々なフィードバックをいただきました。

そして次に患者役が当たりました。
医師役が緊張しているのはすぐにわかりましたが、しどろもどろで
「さっぱり何言ってんのかわからない・・。」という感じでした。
少なくても今の患者の状況がどうであるのか、患者自身がはっきり理解できる説明でないとならないと思いました。
看護師役からはどこにでもあるような上っ面の言葉をかけられたような気がしました。
「あなたに何がわかるの?」という感じでした。

私と関わってきた患者もこう思っていたのかもしれないなと思いました。
そして、「こんなんじゃ患者に信頼してもらえるような言葉がけはできない」と思いました。

この時、たまたま私は看護師役が当たらなかったんですが、きっと大したことも言えず終わっていたと思います。

同じ言葉でもその時の状況や患者の受け止め方や感じ方によって全く違う印象を与えます。
その患者に信頼される看護師じゃないとならないというのはかなり難しいです。
医療に正解はないというのはこういうところからきているのでしょう。

その後数年がたち、さらに私の経験値も知識も増えましたが、どれが正解なのか未だにわからずにいます。
きっと、わからないのをわかった気になるのが、一番の不正解なのだと思います。

いかがでしたか。

では今日はこれで失礼します。

また読んでいただけると嬉しいです。

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