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ヤギ語り

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2022年5月 我が家にお迎えしたヤギ、「ふぶき」。 ふぶきと 17歳息子と 私の つれづれ日記。 不定期で更新します。
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ヤギ語り                              #11

 冬になって、ふぶきの 食べるものが、減った。 緑の草が、ほとんどなくなってしまった。見渡す一面、茶色の世界。それでも、常緑の木々は、ある。それから、蔦類がある。冬の初めはそれらを取って来てなんとか凌いでいた。近所で、庭木や畑の周辺の樹を剪定したものから、ふぶきの 好むものを分けて頂くこともあった。あとは、干し草や、秋に、柿の葉がたくさん落ちた時、拾って干しておいたものとか、頂いたミカンとか、少し前までは、まあまあ凌げていた。  けれど、最近は、どんぐりの葉っぱと干し草ばかり

ヤギ語り                              #10

 先日の寒波到来から、ふぶきは 家の玄関に引っ越してきて、そのままここで暮らしている。  山の冬は寒い。特に「寒波が…」と騒いでなくても、夜は、普通に、0℃とか1℃とかになる。昼間でも 家の坪にも、ふぶきの 居た場所にも、ほとんど陽当たりがない。一度 家に入れてしまったら、元の場所に戻すのが忍びなくなってしまった。家族会議でも、お互い顔色を探りながら、結局は3人とも同じ意見だった。「暖かくなるまで、このままでいいんじゃない?」  玄関の土間を占領されているので、何かと不便は

ヤギ語り                         #9

 最強寒波到来で、ふぶきは 今、我が家に緊急避難している。 最低気温-5℃という予報で、山の小さな小屋では、さすがに心配なので、玄関の土間に急ごしらえのゲージを用意した。  雪は、それほど積もらなかったが、とにかく風が強くて、台風並みに吹き荒れていたので、準備しておいてよかった。備えあれば患いなし、だ。  ふぶきが 我が家の土間で過ごすのは2度目になる。最初は夏の台風の時。高床に小屋をのせ、雨しのぎはタープだけ、という簡単な家なので、酷い悪天候の時には、屋根と壁のある場所で

ヤギ語り                              #8

ふぶきの 食欲が 本格的に旺盛になったのは 梅雨が明けてからだった。 梅雨入り前から 好んで食べたのは、桜や柿の葉っぱだった。 まだ 身体も小さかったので 木の葉には届かない。葉っぱをちぎって与えると、いくらでも欲しがった。 そして、この顔。 欲しい木の下で 上を向いて…。ずっと動かず、ただ木の葉を見つめる。 こうなったら、我々には 葉を取って与える、以外の選択肢がなくなる。   桜は、我が家にはなかったし、柿は5,6本、大きいのがあるのだが、大きすぎて我々の手も届かない

ヤギ語り                                 #7

 少し前に息子が撮った写真。  まるでクリムトの絵のようだ…  縦位置で取られた写真の為、タイトル画像に取り込むとき、全体が表示できないのが残念だ。  散歩のときに息子が撮る ふぶきの 写真は なかなか面白い。 構図やアングルも面白いのだが、なんといっても ふぶきの 表情がいい。  私の 見たこともないような表情が ふんだんに見られる。  昨年 ヤギをお迎えすることが決まって、準備をしながら待っていた期間に、息子は 「YouTube やろうかな…ヤギ生活をテーマにして…

ヤギ語り                                   #6

ふぶきに 攻撃されている わたし。    ヤギの習性なのだろうか 他所の動画でもこのポーズというか、行動をするヤギさんを見かけたことがある。  数歩 後ずさってそこから立ち上がり 私の太腿か脛のあたりに向けて 角の付け根を打ち付けてくる。  ‟打ち付ける”と言っても 全力で来るわけではなく、インパクトの瞬間 力を逃がしているのか 当たりは思ったよりソフト。  この行動を 何度も繰り返す。しつこい時は10回以上も。  この行動が見られるようになったのは ふぶきが うちに来て、

ヤギ語り                             #5

前回記事の続き  車でのドライブは 我が家にやってきた日以来の ふぶきは 藁の敷き詰めてある車内に乗り込むところまでは順調だったけれど、車が発車すると、不安げにきょろきょろ。夫が 極力穏やかな運転に努めてくれたが、車が揺れるたびによろけ、座ってくれたらいいのだけど、落ち着かないのか 終始、立ちっぱなしで 足が小刻みに震えていた。  ふぶきは その内慣れてくるだろうと思っていたが、息子がナーバスになるのではないかと、そちらの方が気になった。  ふぶきと 息子の様子を見るため

ヤギ語り                                #4

2023.1.2 ふぶきを 伴い、家族で 私の実家に出掛けた。 私の実家は自宅から車で2時間ほどの距離にある。 ふぶきが この家に来て はじめてのドライブだ。 ふぶきの お世話担当の息子は ふぶきが この家に来て以来、精神的に「家」に縛られている。  動物を飼うということは その動物を「人間の家」に縛ることであり、 同時に飼う人間も その家に縛ることになる。  息子は動物に対してとても愛情が深い。それだけに強く束縛し、彼自身もそれに比例して強く束縛されている。 我が家

ヤギ語り                                       #3

ふぶきを お迎えするにあたり、ふぶきの 居場所を準備した。 ヤギは 夏の暑さと多湿に弱いとのことで、裏山に 高床を作って、その上に小屋を作ろうと計画した。 まずは 場所の選定。 柿の古木が、いい感じに影を作っているこの場所に決めた。 雨を避けるために タープを張ることにした。 大きな屋根を作るのは きっと私達の手に余ると判断したから… こんなかんじ。 この下に高床を作ろう。DIYだ! 3人家族がワイワイ言いながら、山での作業が始まった。 2m×2mの床を作る。 ゆ

ヤギ語り                              #2

ふぶきが 我が家に来ることが決まって、それを待つ2か月の間 我が家では 色々な妄想が飛び交っていた。 その一つに 「ヤギさんが 家の草をキレイに食べてくれる」 というのがあった。 「足りなくなったらどうする?」「いっぱいあるから大丈夫!」 なんて話していた。 けれど 実際にお迎えしてみると、 ふぶきは びっくりするほど 食べる草を えり好みした。 匂いを嗅いだり、ちょっとかじって「プイッ」としたり、 少し食べても すぐに飽きてしまう。 数えきれないほどある雑草の中で 

ヤギ語り                         #1

生後2か月、今年の5月に我が家の一員になった日の ふぶき。 マシュマロの様だ・・・ あれから6ヶ月以上経って 今ではすっかりオス山羊の風格が出てきた 今の ふぶき に眼が慣れているので、写真を見返して 衝撃をおぼえる。 我が家に来た日は 何もかもが怖くて、 小屋に籠ってなかなか顔を見せてくれなかった。 何時間か経って、ようやく小屋から出てきた時の写真だ。 この後は 人がいなくなると淋しがって鳴き続けるので 息子は日が暮れるまで ふぶき に付き添っていた。 初めてのヤギ