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全体食がフードロスを減らし、栄養がある

若い時に、健康のためには部分食よりは全体食が良いということを学んだ。生き物の全体を食べるには、大きな生き物より小さな生き物が適している。大魚を食べるよりは小魚をまるごと食べる方が全体食である。大魚は肉だけ食べて骨や内臓は捨てられてしまう。最近はやりの昆虫食も全体食である。昆虫は無駄なく丸ごと食べられる。米も精製された白米よりは玄米の方が全体食である。

全体食には二つの効用がある。一つは、全体を食べるため、多くの栄養素に恵まれているということである。健康のために不可欠な食事行動である。二つ目は、与えられた命のすべてを無駄なく食べるということである。それは自分の身を犠牲にして人間のための食料となった生き物たちへの最大の感謝である。

徳川将軍には代々脚気の病が多かったそうだが、その原因が白米食によるビタミンB1の欠乏にあった。玄米や雑穀を食した農村部の庶民の方が健康だったわけである。

ある人は、子どもの頃のトラウマから鶏肉が苦手だ。特に鶏の皮は食べられないが、形が分からなくなった鶏つくねは食べられるという。鶏の骨までミンチにして丸めた鶏つくねは命全部を食べる全体食である。本人も気がつかないうちに健康食を行っていたことになる。

しかし、われわれは、あえて栄養分を捨て去った白米、白砂糖、白小麦粉といった白いものが好きである。見た目の綺麗さに動かされる人間のあさはかな習癖ということだろうか。

すべての生き物は、他の生き物の命をもらわない限り生きていけない。それだからこそ、不必要な動物の殺戮と食べ物の無駄(フードロス)を避けることが大切だと思える。そのためには、料理される前の食材を無駄なく活用するというフードロス対策が必要だ。折角の命を無駄にしない食べ方・活用をしたいものである。もったいない思想は、食料のロスだけでなく、生き物の命のロスをも「もったいない」と思う考え方でありたい。

2023.1.22


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