衝撃のスイーツ
宮崎市の南、車で一時間、飫肥という街を訪れてきました。
飫肥はとても歴史のある街で、江戸時代から質の高い飫肥杉を出荷してかなり栄えた地域でした。
ここ飫肥に特殊なスイーツがあります。
和菓子と言わず、スイーツという言葉を選んだのは、こちらのほうが相応しいと感じるからです。
一般的には飫肥の「厚焼き玉子」という名称で紹介されています。
私は全国をぶらぶらと旅するとき、一般的な旅好きの人たちと同様に、その地の特徴的な産物を食します。そうすることでその地の文化をより深く理解することができるからです。
日本文化を語るとき、日本の食文化は外せません。
日本の食文化は世界で最も複雑多彩かつ繊細に発達した文化であり、その地の食を知らずしてその地の文化を語ることなどできません。
この飫肥の厚焼き玉子に出会ったのは、今から15年ほど前、岡山から南九州へと旅していた時です。
私がこれまでに食したものの中で、最も衝撃を受けた食べ物です。
厚焼き玉子という名前を見ると、当然のことながら普通の玉子焼きを想像します。
しかしこの厚焼き玉子は全く別物であり、いわゆるスイーツなのです。
本来であれば和菓子に分類されるのでしょうが、どうにも和菓子とは呼べない。やはりスイーツなのです。
砂糖と卵を使って作られたそれは、和風プリン。
玉子焼きだという認識でいきなりこのスイーツを食べると、脳内イメージと実際の味との混乱が起きてしまって、「うわっ!なにこれ!!」となってしまいます。
でもスイーツであることを知ったうえで食すれば、まさにプリン。
和風プリンです。
かつて江戸時代に、飫肥のお殿様への献上品として作られていたとのことです。なんと300年以上も前に日本にプリンが存在していたわけです。
日本文化恐るべし。
しかしこの厚焼き玉子、保存期間が非常に短くて要冷蔵、保存が効かないこともあり、ほとんどその存在が知られていません。
初めて食べたときから、いつかは全国に紹介したいと思っていたので、今回飫肥を訪れて厚焼き玉子を買ってきました。
自宅に帰ってきて撮影を済ませ、さてひと口。
いやぁスバラシイ。
ほんのりと出汁の風味があり、そこに砂糖と卵の甘みと、少し硬めのプリンの触感。
日本の食らしく、本当にシンプルかつ奥の深い味がします。
飫肥を訪れた際には、ぜひ皆さんも、この厚焼き玉子を食してみてください。きっと衝撃を受けるはずです。
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