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野良猫を撮ってみる・前編。今すぐできる野生動物撮影のノウハウ実践 #12

ご無沙汰してしまいました。前回までは"設定編"と題して機材系のお話をしてきましたが、今回はちょっとした実践のお話をしてみようと思います。
被写体は野良猫。どこにでもいる身近な動物写真の被写体ですが、実は野生動物を追う上でヒントになる要素がたくさんあります。機材も、長いレンズが無くても撮影可能。いますぐ取り掛かることができますよ。

上の写真は10年前に撮ったもの。実は、私、野生動物を追うようになる前は、ひたすら野良猫をカメラ片手に追いかけていた時期がありました。もちろん、厳密に言うと野良猫は野生動物とは言えないでしょう。しかし野良猫の撮影には、ペットや動物園で撮る動物撮影にはない、撮影における大切な要素がいくつかあります。その時に得た経験は、現在の私の野生動物撮影における基礎となっていると思います。今日はそんなお話をしてみます。(もちろん、動物園での撮影やペットの撮影も好きですよ)

■ 被写体を『探す』ノウハウを組み立てる

 デジタル化が進み、写真撮影が身近になり、撮る人が増えました。その波は野生動物撮影の世界においても例外ではなく、餌付けされた場所や有名スポットに多くの撮影者が押し寄せるようになりました。動物の生態やその地域への影響など、多くの問題を孕みながらも、行ってすぐに被写体に出会えるという場所があることは、撮り手にとって手っ取り早く幸せなことだと言えるのかもしれません。しかしそこでどうしても欠けてしまいがちなのは『被写体を探す』という行為です。極端に言えば、餌付けされてそこにいるとわかりきっている動物を行ってすぐに撮影するだけでは、何も見えてこない。被写体である動物を理解しようと努め、その姿を探してフィールドを歩き回って、様々なものを感じ取ってこその野生動物撮影・自然写真と言えます。

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…いきなり話が重くなってしまいましたが、まぁもっと手軽に考えていただいて、野良猫を撮影する場合はどの場所に猫がいるか探しながらの撮影になる場合がほとんどです。「あの路地を曲がれば猫いるかな…?」と心中呟きながらカメラ片手にテクテク歩くわけです。これはやっぱりワクワクするし、一枚撮るまでに時間はかかるけど、とても楽しい要素の一つなんですよね。
例えば上の写真はとある漁港での一場面ですが、覗き込んでみると、船の陰でごろごろしてました。笑)普通に漁港を歩いていては見逃してしまっていたかもしれません。
猫がいつもいる場所を見つけて何度も通っていると、こんな風に猫の居場所が予想できるようになったり、顔見知りの猫が出来たり、餌をあげているなど地元の人間との暖かい関わりがわかったり、猫除けのペットボトルが並んでいて、地域的にちょっと猫が多いのが問題になっているかもしれないとネガティブな発見をしてしまったり…。まぁ、色々な"気づき”があるわけです。そうすることによって猫っていう動物に親近感がわいて、彼等の性格とか習性が少しわかってきたような嬉しさも得られます。野生動物の撮影も同様で、その小さな発見の繰り返しが、自分独自の視点での動物や自然の見方、つまりはオリジナルな写真に繋がっていくのだと私は思っています。

上の写真は瀬戸内海のとある島での撮影。野良猫は人の生活に関わって生きています。その在り方は多種多様。例えば人が住まなくなった島でも、畑仕事などで通っている人がいるのでそこに猫が生活していることもあります。普段生活している場所はもちろんですが、訪れた旅先を野良猫視点で眺めてみるのもなかなか面白いです。普段猫を見ていれば、初めて訪れた場所での猫たちと、あなたがいつも見ている猫たちと違う生活をしている所に気が付くでしょう。野生動物にあてはめると、習性や食生活の地域差を発見するというのに近い面白さでしょうか…。どうです?撮ってみたくなりませんか?野良猫はとても魅力的な被写体なんです。

■ 野良猫撮影用の機材

この写真は、たぶん私が動物のポートレイトを初めて意識した一枚です。都内での撮影です。レンズは35mm、APS-Cなので50mm前後だと考えていただいて構いません。そう、野良猫撮影を始めるにあたって、特別長いレンズって必要ないと思うんです。24mmから200mmくらいまで(35mm換算)ならどれでもOK。カメラを持っていて、その間の焦点距離のレンズを持っていない方って逆に少ないと思うんです。今お持ちの機材で、ぜひまずは近所の野良猫撮影にトライしてみてください。
後日詳しく述べますが、野良猫も近付ける個体と、そうでない個体がいます。その辺り、相手の性格や警戒心に合わせて写真の構図や撮影法を変えるというやり方も大切で、それは欲張らずに今あるレンズで対応する(撮影適応力を育てる)というのが、撮影のウデを上げるための、ひとつのカギにもなってきます。近づけない被写体が、写真の構図力を鍛えてくれる。これ、後日述べます。

■ 近所の野良猫スポットの探し方

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野良猫はほんとうに色々なところにいます。路地だったり港だったり、公園だったり…。まずは猫がいそうな場所を散歩してみてください。エサも重要な要素です。食べ物が手に入りそうな場所ってどんなところかな…?
天候も猫の気持ちになって考えてみるのもありですよ。例えば春先の暖かい日なら、日当たりのいい墓石の上で昼寝をしているバチ当たりな(?)猫さんがいるかもしれません。長い雨が上がったら、散歩に出かける猫がいるかもしれませんね。

そうして野良猫がよくいる場所を一つ見つけたら、次はその場所を散歩ルートの経由地点に入れて、他の場所を含めて歩いてみましょう。二つ目の猫の場所を見つけたら二つを経由地点に設定。いないなと思う場所は外していく。そうやって経由地点が増えて行けば、近所のお散歩だけでも、けっこうな数の野良猫に出会えるようになってきます。是非やってみてくださいね。

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思わぬところに隠れていることもありますので、注意深く…。
宝さがしみたいに、猫を探して歩けば、普段の散歩も楽しくなりますよ。

※ 注意点 ※
野良猫は人間の生活地域に密接する形で生息しています。撮影に夢中になって、道をふさいでしまうなど、人の通行の流れや生活そのものの
妨げにならないよう注意しましょう。もちろん餌やりも厳禁です。

今回はこの辺で。最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回は、野良猫と野生動物の写真を比較しながら、もう少し具体的な撮影の内容をお話できればと思っています。よろしくお願い申し上げます。

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二神慎之介 / 東京/道東。写真撮り。映画『草原の椅子』から写真の途に。 現在はヒグマを中心とする野生動物を被写体に活動中。 http://www.sinh11.com/

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