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Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第四回 中島聡 x 増井雄一郎 書き起こし その5

2018年11月26日(月)に開催された「Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第四回 中島聡 x 増井雄一郎」の書き起こしです。
ソフトウェアエンジニアである中島聡と、高校在学中からプログラミングをはじめ大学時代に起業、現在でも第一線で続ける有名エンジニアの増井雄一郎氏がエンジニアの未来に関して議論します。

司会: 増井様ありがとうございました。この先ですね、中島さんも入っていただきまして、対談の形式に移らせていただきたいと思います。

中島: どうもありがとうございます。

増井: ありがとうございます。

中島: この前のが元伊藤忠でソフトバンクモバイルをやっていて松本徹三さんは、全然違うタイプでした。

とても働き方の話は、結構いい話だったんじゃないかなと思います。普通のサラリーマンと違うので。ここに来てる人は大半は、やはり割と大きな会社にいる人。まぁ、独立している人もいるけど。大きな会社にいて、どうしようかなって様子を見ている人が多いので、いい参考になるんじゃないかなと。その大きな会社に中にいる人を引き剥がして無理やり起業しろとかいうのが、シンギュラリティソサエティの目的じゃないんだけど。ひとつ、僕もその大きな会社に対してのコンサルティングとかを何回かやってるうちに、だんだん気がついたのは、ああいう会社の上の人達は一口で言うとダメなんだなと。一言で言うと。ダメだからじゃあ会社を辞めてって言うじゃなくて、でも中にはいい人はいる。若い人たちは、その人たちに上の人達は駄目だってことちゃんと伝えたいし、だから辞めろじゃなくて、辞めるって大変じゃないですか、自分でお金作んなきゃなんないし。

増井:ちなみに、何が一番ダメなんですか?

中島:見えてないんですよ。極端にパソコンを入れてないと言うレベルの、どうしようもない人もいるけど、当事者意識がない。サラリーマンですよ、みんな。増井さんはまさにサラリーマンををやってなかったからこそ、いざ自分で生きてかなきゃいけないとか、いうそういう危機感があるんじゃないですか。

増井:そうですね、明日仕事なくなるかもしれないですからね。

中島:ああいう大きい会社の上の人達は全然ない。そもそも会社が潰れるわけがないと思っているし、ひょっとすると、本当にその表面的にはね、会社は株主のものって言うだろうけど、心の奥底では会社は自分たちのものと思っているですよ。

増井:多分ほとんどの社長は思ってるでしょね。

中島:だから、そういう発想、且つ色々苦しいことあるけど潰れるわけがない。政府が潰すわけがない、人は切れない。だからもう何かそこに、こう、すごく安心感がある。そこで多分冒険もできなくなって、とにかく自分が引退するまで会社は潰れなきゃいい、という気持ちで、結局は仕事しちゃっている。

根本がもう間違ってるから、それでかつITが弱いという、そもそもITが弱い理由が、危機感がないからから勉強してないと言う。根本の理由は、当事者意識の欠如であり、そうするとやっぱりサラリーマン経営者ってのは難しいのかなってのは、僕はすごく思います。何を言いたかったのかというと、まあそういう会社に入っちゃってる人達がいて、でも、僕は大きい会社っていろいろと有利だと思うんですよ。やっぱりお金もあるし、リソースもあるし。お客様もいるしマーケティングチームもあるし。僕も自分で会社をMicrosoftを出てやって思ったのは、いいも作っても売れないんですよ。Microsoftにいるといいものさえ作りさえすれば、ぼんぼん売ってくれる。まぁ良くないものも売ってくれる。それはちょっと失敗したなと思いましたけど、そういうのもあるので大きい会社にいるメリットもあるので、まずは大きい会社の中で僕は暴れて欲しいと思います。そこでひょっとすると日本の会社も変わるかもしれない。まずは刺激を与えつつ、でもそうは言っても、やっぱり会社人間になっちゃうと、その、さっきのグラフいいですね、会社に必要とされる人になっちゃうと、べったり合っちゃうと、会社人間になっちゃうわけです。そうすると、会社がなくなった時に、全く世の中に通じたない、ただの人になってしまうので、そうのを避けるためにも、例えばこういうところでネットワークを作るとか、もしくはその仕事以外の知り合いを作って、まぁ増井さんみたいに外にプロジェクトを作るというのはなかなかできないと思うけど、それに近いことをしつつ、いざという時には自分がピボットできるみたいな体制を作った方がいいんじゃないかと言う風には思っているので、それが一つの目標なんです。シンギュラリティソサエティの、そういう場を提供すると言うのが。だからすごくいい話でした。ありがとうございます。

増井:スキルポータビリティって大事なんですけど、みんなあんまり意識しないんですよね。ポータビリティを持って会社を持って歩けるスキルをどう身につけるかって

中島:なんでなんだろうね。日本て、別に昔からそうじゃなくて、これって高度成長期にできただけなのに、なぜか大昔からそうみたいになってるよね。

増井:こっから転職をするっていう意識もあまりなくて、どっちかっていうと会社に属してる意識も、帰属意識も、自分で作った会社に対しても低いので、どちらかと言うとエンジニアっていう組織に属しているイメージ。その中でポータビリテをどう高くするかってになってるんですけど。

中島:増井君の場合ちょっと特殊なんだよね。一番最先端では最先端だけど、うちの親父なんていうと、人間の価値は会社で決まるみたいな感じだったから。僕は小学校の時に友達を呼んでくると、まず最初の一言は「何してるの?」なんだよほんとに。それがお父さんが一部上場企業だと、「聡、いい。友達になりなさい」それがただの近所の八百屋だと、なんかもう見下した、みたいな。日本はそういう文化が出来ちゃって、少なくとも70年代ぐらいに、それがまだ惰性持って文化としても残ってるし、それを握ってる人達が生きている。っていう中で、まあそのさっきみたいな生き方をしている人が生まれつつある状況で、割りと不思議な状況ですよね。その終身雇用制が壊れたとか10年くらい前から言ってるけど、実は壊れてなかったり。

増井:そうですね。でも、終身雇用の前に大抵会社がなくなるんですけどね。

中島:でもなかなか会社が潰れなかったりね。会社の具体名を出すとね、そこで働いてますいう人がいるとうっかりだけど、でも、どうみても潰れそうな、お前は死んているみたいな会社がけっこういっぱいあるじゃないですか。でも辛うじて、その政府からの IT 投資で生き残れた NTT とか NHK から降りてくる仕事で生きてたりというのは起こってるので、それがまた健全な企業の新陳代謝を起こさないから、人の新陳代謝も起こさなくて、そのせいでパソコンを使えない人が平気で。

増井:そうですね、上に立てる、みたいな。

中島:で、それでダメって言ったんですよ。だから別にその人たちが悪いっていうより、システムそのものが悪い。そのテーマはすごく重要だと思います。あともう一つ、その結果としての終身雇用制は、なんか専門職嫌うんですよ。やっぱり。使い回しが効かないから。だからなるだけジェネラリストになって管理職になってもらいたいから、そういう人の養成の仕方をしていくと、どんどん会社人間になっていく。会社としては辞めて欲しくないから会社人間になってもらいたいんだけど、本人にとっては実はマイナス、マクロにみると、という状況は起こっていると思いますよね。

増井:本当に、でも終身雇用と解雇規制がなくなると、随分良くなるんですけど、あれがある故に人が採れないとかってのは、やっぱり考えますね。スタートアップアップをやっていても考えます。

中島:人採れないってのがすごい問題で、僕もそれ思ったけど、会社がやって、自分でやって大変だった、金を集めなきゃいけない、売ってくれる人がいないとなるけど、やっぱ人を取るのはものすごく大変で、僕の場合アメリカで始めたからそれは良かったんだけど、やっぱ日本はけっこう苦労して、僕の場合、ブログあったから採用できたけど、ブログなかったらなかったら人とるのは大変だったけど、そういうなんかちょっと特殊なものを持ってないとすごい大変ですよね。

増井:そうですね

中島:トレタは百何十人までいったの?

増井:エンジニア、開発だけで20人いなくらいくらいなので、少ないですね。セールスが半分以上なので。

中島:けっこう人海戦戦術な

増井:そうですね、飲食はなかなか人海戦術では売れないので。

中島:ちょうどタイミングででたNTTから転職した人の話が面白いよね。

増井:あの最後オチがGoogleです、ってあたりが抜群に面白いですよね。

中島:受けましたね。あれ、読んだ人・・・けっこういますね。彼自身も出世するにはマネージャーになるしかないって悩んでるそうっていう、マネージャーになったところでたかだか800万だそうで。

増井:今650万で、上いっても1000万行く行かないぐらいな感じでしたね。

中島:で、僕も良く覚えてるけど、 NTTを辞めるって言った時にもう反対されて、その教授もそうだけど、隣の研究室の教授とかそれからその研究室の隣の研究室の所長さんとか、言われたけど、みんなが言ったのは、いやNTTに入ると年金も出るし給料高いんだぞととか言われて、確かに、でもそんなに物価も変わってなから多分高いって言っても1000万くらいだったのなかって

増井:そうでしょうね。その頃の日本にしては、高かったでしょうね。今650万とかって普通にスタートアップでも全然普通に出るので、給料が高いとかいうのは全く成り立たないですよね。

中島:どうやっていい人を留めとくんだろうねって思っちゃうね

増井:僕らも思うんですけど、自分で会社やってて、社員とか業務委託とかってどう風に区分けをすればいいんだろうってやっぱり思います。僕ら社員でとりたい、長く働いてほしいって思うことはあるんですけど、じゃその人たちをつなぎとめるために僕たちは何が提供できるのか、会社側として、自分が採用した時すごく考えました、やっぱり。採用する側として、何がその働いてくれる人に提供できるのかっていうのは会社が提供できることは年々減ってるなあと思いますね。

中島:そうだよね。そういう意味でいうと、そのもっとプロジェクト単位で人が集まって、働いて解散するというのをもっともっと簡単にできないかなと思いますよね。シンギュラリティソサエティの中で一個立ち上がっている、プロジェクトラブっていう、有本くんって人がやりたがっている、漠然としたイメージなんだけど多分そこはWeb servicesでそこに登録しておくと、人が集めやすくなる、そこで仕事をするたびにキャリアが蓄積されていてそれが本当の意味のレジュメになってくみたいなサービスを立ち上げたいって言っていてその相談してるけど、そういうのは、今こそ必要とされてるんじゃないかと。会社組織そのものがひょっとしたらいらなくなるじゃん。

その6へ続く

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