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「はぐ」と言う絵本をご存知ですか?

絵本は子供の知育を目的としているだけではありません。大人向けの絵本もあるのです。


その昔「大人の絵本」と言うTV番組がありましたが、それとは違いますよ。ドキッっとしたあなた、恐らく私と同年代ですね。親の目を盗んでテレビにかじりついた深夜番組ではございません。😄


今回紹介する「はぐ」は子供も大人も楽しめる最高傑作の絵本だと思います。オリラジの中田さんも絶賛しており、僕の息子も「学童」のアルバイト教材として使っているようです。


作者の佐々木マキさんは、村上春樹さんのデビュー作「風の歌を聴け」の表紙デザインを担当された有名な方で、村上さんご自身も大ファンだとか。そんな絵本の中身を覗いてみましょう。


シンプルな構成の背後に潜む情景を、どの程度読み解くことが出来るか。また、時間の流れや人間観察など極めて勉強になります。子供の知育としても、大人の思考トレーニングとしてももぴったりの教材です。



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内容は実にシンプル。4組の再会です。

✅ しまうまさんとラクダくん
✅ ワニくんとペンギンさん
✅ おじさんとタコくん
✅ ぶたさんときのこちゃん(女の子)


静かな海辺で上記4組の再会があります。
「会いたかったよ、ハグして良い?」


既にお気づきかも知れません。「さん」「くん」の存在。
ここには明らかに上下関係があります。どんな関係なのか?


生きる場所、共通点、家族なのか友人なのか、意味不明な関係性。これを観察すると実に複雑なのです。


しまうまとラクダ、共に陸上生物ですが、種族は全く違う。
なのに「はぐ」をする。


ペンギンとワニも水と言うキーワードは同じですが、生息する場所が違う。おじさんとタコはつるっとした感触は同じかも知れませんが、なぜハグする関係なのか。最後のぶたさんときのこちゃんは全く共通点がない。でもハグをする関係。しかも最後は夕焼けなのです。


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もう一つ忘れてはいけないのが時間描写です。
初めに出会ったしまうまさんとラクダくんの時は、右の沖に船が浮かんでいる。そして、次に再会したワニくんとペンギンさんの時は船が左に移動している。明らかに時間が経過している。それ以降に再会したおじさんやきのこちゃんの時は船がいない。去ってしまった後に再会しているのです。


会話にもご注目ください。


✅ ワニくんとペンギンさん:「元気してた?」
✅ おじさんとたこくん:「どこ行ってた?」
✅ ぶたさんときのこちゃん:「久しぶりね」


「会いたかったよ」と言うことは久々の再会ですね。会いたかったと意思表示しているので、きっと親密な関係だと分かります。「元気してた」も久しぶりの再会なのでしょう。「どこ行ってた?」は別れ際が曖昧だったことを暗示している。恐らく探したのであろう。「久しぶりね」も同じように再会を喜んでいる。そして最後に「会いたかったよ」と夕暮れの海岸で結んでいる。


この絵本が発刊された年は2013年です。東日本震災のあとを描写していると言う話もありますし、今読めばコロナ禍でなかなか会えない環境を嘆いている様にも考えられます。


「生きている喜び」や「再会できた幸せ」を「会えてよかった」と描写している。住んでいる場所も、身分も、人種も超えた「幸福感」を勉強する素晴らしい教材なのだと思います。



最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
引き続き、ご支援よろしくお願い申し上げます。🌱


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