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どれだけ時間が経っても見える景色は変わらない

自宅の前には公園がある。いや、公園の前に僕の自宅があるんだ。ここに引っ越して来たのは日韓ワールドカップが開催されていた2002年の頃だから、既に20年が経過していることになる。もう築20年かぁ。


休日の朝、天気が良いと知らず知らず公園に足が向かう。お砂場着を着た小さかった息子と手を繋ぎ、長い時間過ごした場所。実は公園の入り口付近には息子の足跡があるのです。まだコンクリートが乾かないうちに黙って忍び込んでついてしまった足跡。今となっては旧いアルバムを見ている様で、見る度に苦笑い。


砂場で1メートルくらいのデカイ山を作ったら、公園の管理者に注意されたことがある。息子と一緒に木登りをしていたら、これまた注意される。逆に、犬のフンを片付けない老人を注意したら口論になったこともある。トラブルを引き起こす常習親子だったかも知れない。


ある日、息子とシャボン玉を楽しんでいると、僕らの周りに沢山の子供達が集まって来た。自宅にストローを取りに戻り、皆に分け与えると、お母さん連中まで寄って来た。総勢20人くらいでシャボン玉を楽しんだこともある。随分後になって知ったことですが、”シャボン玉親子”と呼ばれていたようで、近所ではかなり有名になっていたのだとか。


お陰で僕たちは友達が多くできた。僕の場合は友達というか、所謂いわゆる公園デビューってやつなので、顔見知りという感じかな。少し前にデビューを果たしていた妻からは「恥ずかしいので何もしないで」と常に釘を刺されていた訳だが、そんな事は知ったことではなかった。お陰で近所では我が家の内情まで筒抜けだったらしい。



息子が楽しく遊んでいる姿を見ながら、僕はいつもの定位置で読書する。木で出来た簡素な青いベンチだ。草木に囲まれながら、鳥のさえずりと爽やかな風を感じて過ごす至極の時は、いつの間にか僕の生活の一部になっていた。


あれから20年。
今日も公園デビューをしている若い親子がいる。ペットボトルを脇に抱え新聞を読むサラリーマン。犬の散歩をする若い女性。公園で自転車を乗り回す子供を叱るお母さん。砂場には数名のちびっ子の姿も。


時間が経過しても見える景色は変わらない。
変わったのは僕の前に息子の姿がないことだけだ。
あいつ新天地で元気に過ごしているのかな。もう流石にお砂場着は着てないだろうなぁ。


最後まで読み進めて頂きありがとうございました。🌱


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