「美味しく食べる」のが大事
今は亡き祖父は、90歳を迎えた時に長生きの秘訣を尋ねられ「なんでも美味しく食べること」と答えていた。
美味しいものを食べるんじゃなく、なんでも美味しく食べること。
そんな祖父の言葉と、その隣でニコニコ笑っていた祖母の姿を、今も覚えている。
仕事で帰宅が少し遅くなった昨夜は、スーパーで値引きシールの恩恵にあずかり、気仙沼産のカツオのたたきと北海道産の秋鮭を買ってきた。野菜は、青森県産のカブと宮城・南三陸町産のシイタケ、矢本町産のオクラを購入。
帰宅して、まずは野菜から調理。
オクラは胡麻和えに。すりごま大さじ2,砂糖大さじ1、醤油小さじ1をさっと合わせたところに、軽く塩茹でしてから1センチほどの長さに輪切りにしたオクラを合わせる。
1袋5本入りのオクラで、晩酌の小鉢と翌日のお弁当のおかずが一度に出来る便利な一品。
矢本のオクラは味が濃い上に独特の粘り気も強く、そのおかげで胡麻がよくからみ、プチプチとしたオクラの食感も楽しく美味しかった。
カブは、四つ切にして下茹でしてから、シイタケと冷凍してあった鶏むね肉と煮物に。味付けは、市販のほんだしに、ほんの少量の醤油とみりんだけ。カブの甘さを味わいたくて、昨夜は薄めの味付けにしてみた。
トロトロのカブは、ほんのりとした甘みに嬉しくなるような美味しさ。
そして、南三陸のシイタケの美味しさにビックリ。傘の開いた薄い椎茸は、煮込むとちゅるんと口あたりの優しい食感が楽しい。噛めば、干し椎茸のようなしっかりとした旨味が口の中にじゅわっと広がる。南三陸といえば海の幸のイメージだったけれど、シイタケもこんなに美味しいとは。これから南三陸に行ったときは野菜コーナーも要チェック。
気仙沼産のカツオのたたきは、刻みネギをたっぷりのせてポン酢で。今年は気仙沼の美味しいカツオをたくさん食べることが出来て、本当にありがたい。
今回買ってきたものは、炙りは控えめ。パッケージに「生かつお」と大きく書いてあったとおり、新鮮なカツオならではのもちもちとした食感。しゃきしゃきのネギを、もちもちジューシーなカツオで包んで食べれば、口の中は旨味天国。たまらない美味しさだった。
初物の北海道産の秋鮭は、少しだけ塩を振って休ませてから、グリルで焼いていただいた。
紅鮭や養殖サーモンの濃厚な美味しさとは一味違う、控えめだけれど味わい深い、慣れ親しんだ美味しさ。
あー、もう、これだよこれ。
どんな鮭も美味しいし大好きだけれど、この時期の秋鮭は懐かしさや思い入れもあって、美味しさもひとしお。宮城でも北海道の新鮮な秋鮭を食べられるのが嬉しい。
美味しい地元食材や故郷のお魚のおかげで、昨夜も幸せな晩酌を楽しむことが出来た。
「美味しいもの」を食べることではなく、なんでも「美味しく食べる」ことが大事。
ささやかながら美味しいものばかりの晩酌を楽しみながら、昨夜は何故か、あの日の祖父の言葉が思い出された。
どんなに美味しいものでも、美味しいと感じられないこともある。
美味しいものを美味しいと感じられること、それを一緒に楽しんでくれる人がいるのは、ありがたくて幸せだ。
そんなことを、あらためてしみじみと思った夜だった。
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