赤字を出し続けた名刺管理のSansanが、時価総額を跳ね上げた理由
名刺管理サービスSansanは、6年連続で市場シェアNo.1を獲得
クラウド型名刺管理サービスを提供するSansanは、2007年に創業した新進気鋭の企業。
ニッセイ・キャピタルやゴールドマン・サックスなどから計100億円以上の資金調達を得るなど、数あるベンチャー企業の中でも破竹の勢いを見せている業界注目のスタートアップです。
Sansanの主な事業ポートフォリオは2つ。
主軸の「Sansan」は企業の名刺をクラウド上で一括管理し共有するサービス。
2018年の段階で導入企業は7,000社、業界シェアの82%を占め、6年連続業界No.1を獲得しているといいます。
現在、名刺管理サービスの市場規模は100億円を超え、国内外にサービス展開されています。
名刺管理サービスは、業界業種関係なくビジネスにおける基礎インフラとなり得ます。そのことから今後も市場拡大の可能性が十分に見込めることが、大手ファンドが巨額の投資を行なっている理由の一つではないでしょうか。
さらに、Sansanの機能を発展させたのがもう一つの事業である名刺アプリ「Eight」。
このアプリは名刺を受け取った空いてに対してメッセージ交換が行えるなど、ビジネスにおけるSNSのような役割を持つサービス。新たなビジネスのプラットフォームとして注目を集め、すでに200万人以上が利用しています。
莫大な宣伝広告費により5期連続赤字の状態でIPOを実施
売上高は2014年が12億8900万円、2018年には73億1800万円に到達。
毎年50%以上の増益でビジネス拡大を続けてきました。
その一方、純利益を見ると2018年から過去5年を遡って一度も利益が出ていません。
その大きな理由はテレビCMなど大々的なプロモーションに力を注いでいるため、販売管理費が莫大な金額に上っていることが挙げられます。
そして2019年5月、同社は5期連続赤字の状態で東証マザーズへのIPOを成し遂げたのです。
その結果、なんと公開価格が4500円なのに対し、初値は4760円、終値は5460円のストップ高を記録。時価総額は1634億円にまで到達しました。
市場拡大後のインパクトと膨大なデータ活用への期待が後押し、終値ストップ高を記録
赤字続きの企業でありながらIPOで成功した背景には、彼らの莫大な宣伝広告費用が、名刺管理サービス市場のパイ自体を拡大することに貢献しているからではないでしょうか。
そして、市場規模が拡大すればするほど、シェアNo.01のSansanの市場インパクトは強力なものになっていきます。
また、ビジネスインフラとしての可能性のみならず、その先には膨大なユーザーデータを活用したマッチングビジネス事業などへの展開が期待できるでしょう。
CFOの橋本宗之さんが黒字転換について、「タイミングは近いところにきている」と述べたように、黒字化への道筋は見えてきたという同社。
そして、黒字転換した後の絶大すぎるポテンシャルが正しく評価されたことが、同社のIPOが成功した理由だと言えるでしょう。
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