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[書評]売上・利益アップに直結する「ウリ」の作り方と伝え方

売上・利益アップに直結する心理マーケティング

本書は、選ばれる理由=売上と利益が増える秘訣を、心理マーケティングの視点から紐解いた本です。

著者は武井則夫さん。三菱レイヨンの海外営業部門、日本経営合理化協会のセミナー企画担当を経て、主に中小企業のマーケティング支援を行っているマーケティングコンサルタントの方です。

テーマはずばり、『人は理由があれば行動する。そして理由が伝われば選ばれる。だから「選ばれる理由」をこちらが用意する。』というもの。非常にシンプルですが、実際に読んでみると説得力があり、本当にその通りだなと思わず頷いてしまうメソッドが満載です。

私たち人間が何かの行動を起こすとき、そこには必ず「理由」があると著者は述べます。動物が何か行動を起こすときに理由はなく、そこにあるのは本能だけ。なので、行動を起こす人間にとっての「理由」を考えることが、売上・利益の向上に直結するということ。

確かに私たちは購入するものを決めるとき、大なり小なりそれを選ぶための情報を得ようとします。つまり複数の選択肢から情報を集めて比較し、買うに値する「理由」が見つかったときに、購入を決定するのです。


選ばれる理由のつくり方

あなたの会社の「ウリ」を30秒で述べてください。

そのように問われて、会社や商品・サービスのウリをすぐに答えられないようだと、お客様からは選ばれないと著者は言います。売る側が「ウリ」を一言ではっきりと伝えられないのであれば、当然ながら選ぶ側も買う理由が見つかりません。

「ウリ」とは簡単にいえば、他の候補よりも優れている点を選ぶ側に伝えること。他社と比べて何が良いのかを示す、それも数字の裏付けや第三者からの評価など信憑性のある伝え方をすることが重要です。

ウリをつくる方法は本書でいくつかの観点から述べられているのですが、その中でも、どこの会社にもない「No.1」「オンリーワン」「日本初」「世界初」を見つける、というのがとてもわかりやすかったです。

世界的な大企業でなくても、洗い出せばNo.1やオンリーワンが見つかる可能性はあります。世界や日本という規模の中では難しい場合も、ある地域に絞ったり、カテゴリーを限定すれば一番になっていることもあるのだとか。

No.1というウリは、5つの切り口で探すのが良いと著者は言っています。

(1)売上、シェア
(2)上手い、美味い、巧い
(3)速い
(4)安い
(5)条件をいくつか重ね合わせ、その中でNo.1

この中でも特に便利なのが、(5)の「条件をいくつか重ね合わせ、その中でNo.1」。たとえば「〇〇県、40代向け美白エステ」とか、「〇〇地方・贈答用のお菓子」といった感じで、条件をいくつか重ね合わせてNo.1をつくってしまうのです。「No.1」「オンリーワン」というワードは強力な武器になり得ます。とにかく、他にはない強いウリを見つけ出す、作り出すことが重要なのです。


選ばれる理由の伝え方

次に大切なのが、「選ばれる理由」の伝え方。ウリを見つけるだけでは十分ではなく、そのウリをどのように伝えるかが重要だと著者は述べます。

ポイントは以下の8つ。

(1)伝えたいお客様は誰か
(2)お客様を「プロファイリング」
(3)さとらせ系アプローチ
(4)姿や状況を思い浮かべられる表現
(5)お客様は必ず「二度評価する」
(6)性別による好き嫌いの違い
(7)見せる数字の原則
(8)必然的に勝つ「教えるマーケティング」

たとえば「(1)伝えたいお客様は誰か」は、つまるところターゲット設定です。「私たちのお客様は30代の女性です」では十分ではありません。30代未婚の女性で、渋谷のIT企業に勤めていて、目黒区の田園都市線沿いに住んでいて、猫を2匹飼っていて、Netflixに加入していて、趣味はホームベーカリーで、、、といったように、よりペルソナを具体的に、細かくセグメントしていくことが大切です。「もうこれ以上は不可能」と言えるほど、極端に絞り込んでみることを著者はお勧めしています。

他にも、「これは私のための商品だ」とお客様に「さとらせる」方法や、お客様に「物質」ではなく「将来像」を期待させる方法など、ウリを伝えるための表現テクニックが本書ではわかりやすくまとめられています。


お客様の期待感にマッチした「ウリ」を磨き続ける!

選ばれるために大切なことは、お客様にまずは「良さそう」と感じていただくこと。良さそうというのは「期待感」のことです。私たちは初めて商品を買うとき、その商品が本当に良いものかどうかを確かめることができないので、期待感が最も高いものを選ぶのです。この期待感を醸成できるウリを持つことが、新しいお客様を増やすための大きな武器となります。

お客様から最も選ばれ続ける会社とは、お客様が選ぶ基準が何かを知り尽くしていて、自社の「ウリ」をその基準に合わせることができていると言います。さらに、その「ウリ」を磨き続けることが社風にまで昇華されている会社であることが、選ばれ続ける秘訣だと述べます。

つまり、会社が持っている素晴らしい価値に気付き、それを欲しがるお客様に価値を正しく伝えることができれば、より多く、より高価格で買っていただける、ということです。

ウリを生み出すだけでなく、消費者側の心理からウリを選んでもらうテクニックを伝授してくれる本書。売上・利益アップの方法を模索している全ての方におすすめです!


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