窮屈そうと批判されたZARAの新ロゴが、ソーシャルディスタンスでいい感じになった
少し前になりますが、ZARAがソーシャルディスタンスを啓蒙するキャンペーンを発表しました。ロゴの文字間隔を空けることで、ソーシャルディスタンスを表現しています。
ファッション業界ではZARAの他にも、FABRIC TOKYOやbeautful people、airClosetなどのブランドが、従来の文字やモチーフの間隔を開けたロゴを発表しています。
このニュースを見て、昨年ZARAのロゴがリニューアルされた時のことを思い出しました。上が旧ロゴ、下が新ロゴです。
欧米を中心とした海外では、新たなロゴに関して物議を醸し出しました。評判はあまりよくないようで、ドイツのタイポグラファーでありブレーメン美術大学教授のエリック・シュピーカーマンには「私がここ数年で見た中で最悪のタイプの作品」と酷評されていました。
twitterなどのSNSでも、「カーニングがきつくなっただけじゃないか」「なんだか窮屈そう」「将来は4つのアルファベットがくっついて一つの黒い塊になるんじゃないか?」なんて声も出ていたのです。
かつてGAPは大胆なロゴ変更を行うも消費者から批判の声が噴出し、発表からわずか数日で旧ロゴマークに戻すハメになりました。GAPのような例にならないといいが…と心配しましたが、なんとか新ロゴが定着したようでひと安心です。
ロゴを手がけたのはフランスの大御所アートディレクターであるファビアン・バロンが率いるBaron&Baron。これまでDiorからCoach、Bottega Venetaと幅広いファッションブランドのタイポグラフィのデザインを手がけてきました。
Baron&BaronのウェブサイトではZARAのロゴリニューアルの目的として、「小売業をコンテンポラリー・ラグジュアリーの域まで引き上げる」と述べています。ロゴ変更の背景にはZARAを高級ファッションブランドの中にポジショニングさせるという狙いがあるのかもしれません。
2018年はサンセリフロゴが最大のデザイントレンドでした。エディ・スリマンがクリエイティブ・ディレクターになってすぐ変更したSAINT LAURENTに続いて、CELINEもサンセリフ体のフォントを使用。
デムナ・ヴァザリアによるBALENCIAGA、リカルド・ティッシが参画したBURBERRY、オリヴィエ・ルスタンのBALMAIN、そしてBERLUTIまでサンセリフ体へ変更しています。ZARAもこの業界の流れにうまく乗ったと言えるのかもしれません。
それにしても、ZARAは世界に7000店舗以上を展開している訳で、7000の店のロゴを変えるのに一体いくらかかるのでしょうか?
1店舗あたり300万円の外壁看板施工費がかかったとしても210億円です。
この規模の会社のロゴリニューアルプロジェクト予算は途方もない額になるのでしょう。また、ファビアン・バロンが手にした報酬はいかほどなのか。クリエイターにとって夢のある話のようにも思えます。
それはさておき、「なんだか窮屈そう」と揶揄されたロゴが、ソーシャルディスタンスを表現するために文字間隔が広がり、皮肉にも旧ロゴに近くなりました。
ファビアン・バロンには少し気の毒ですが、これはこれでバランスは悪くない気もします。みなさんはどう思いますか?
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最後まで読んでいただきありがとうございます。もしよかったら、こちらのロゴデザインに関する記事も読んでいただけたら嬉しいです!
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