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高校を退学になりVtuberに救われ、嫌いになる話

高校を退学になってから何度無駄な日々を過ごしただろう
暗い部屋の中ボーっとしている時間が増えていた

引きこもりになってからは朝が怖くて仕方なかった
親は引きこもりなんて許してはくれなかった
半狂乱状態で僕の部屋を荒らしたり時には暴力を受けていた

当然だ…今の僕は壊れてるんだ
なら普通に戻したいと思うのも当然の意見である

上辺の友達は多い方だったと思う…でも毎日がつらかった
やさしさだけがアイデンティティな僕は人との距離感がつかめなかった
夜は半グレみたいな連中と集まりサイファーをしていた

夜の町は16の僕を自由にしてくれた

いつからだろう
夜遊べる人がいなくなったのは
いつからだろう
学校に行くことを考えるとベットを降りられなくなったのは

11時くらいになると親は治療をあきらめ仕事に向かう
ここからはやっと自由な時間である

しかし
元々ゲームや漫画が好きではなかった僕はただ、することもなくネットの海を潜って 浮かんでいた

そんな時Vtuberに出会った

太陽ほど明るくはないが程よい明るさの届きそうな月だった

初めは光に集まる虫のようにいろんな切り抜きを見ていた
なぜこんなにこの人たちに惹かれるのだろう
正直彼らは普通ではないと思うどこか壊れてる
そんな人たちが愛され支援され生きている

彼らを調べると「挫折した人たちの集まりということが分かった」
歌い手になれなかった人、実況者になれなかった人、
アイドルになれなかった人、普通になれなかった人
だから好きなのかもしれない

そんな彼らの中でも卯月コウは格別だった
「生きなくて良い、死ななければ」
「やさしさがアイデンティティになっている人間は悲しい」
刺さる言葉が多かった

彼を見ている人たちは僕のような人間が多かった

だから心地よかった

救われた

それからアーカイブを漁り彼の配信を聞きながら過ごした
夜に家から抜け出し散歩していた時も彼の配信を聞いていた

卯月コウの誕生日と僕の誕生日は一緒だった、いつの日か僕もこんな風に
祝われたいと思った

これを僕もやりたい

初めはごっこ遊びだったと思う

アプリで配信したり、オーディションを年齢を偽って受けたり

でもいつしか界隈のノリは変わった

〇〇〇ちゃんかわいい
〇〇〇ちゃん好き
〇〇〇ちゃんに告白しようと思う

スパチャは応援資金から貢物に
日陰者の配信者はアイドルに

もやもやしていた

商業的にはこっちの方が正解だ
でも僕には明るすぎた
いつしかVtuberが嫌いになっていた

初めからそんなものだったのかもしれない
でもやっぱり僕もなってみたいといまだに未練がましく思う


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