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我が腕で眠るのかまじで娘

 娘が2歳になった。もうとっくになっていて、1ヶ月以上前の話だ。

 うちの娘が2歳になったことは最強にめでたいことであり、誕生日を迎えた瞬間に無量大数のめでが光速を超えて全宇宙に伝播したせいで宇宙の膨張が一瞬止まったりしたけど、娘の成長や進化や可愛さは止まらないため全然書きとめることができなかった。
 実際には寝かしつけのときにぼくも同時に寝落ちしまくってただけなんですが、どっちも真実だ。

 最近の娘のお気に入りはYouTubeで一般のひとが上げてるアンパンマンミュージアム行ってきた動画をみることなんですが、ちょっと前まで「アンパンマンムジャ」って言ってたのに、最近では「こうべアンパンマンミュージャム」と言うのですごい。

 いろんなこと覚えており、うたや絵本もたくさん知っている。食事中にとつぜん「いーとーまきまき」と立ち上がって手をくるくるやりだしたりする。
 お散歩してるとき、雲一つ無い快晴だったのでぼくが「そらにはなにも見えません」と言うと、娘が、
「そらだけです」
 と言ったのでびっくりした。『キャベツくん』という絵本の一節だ。
『ノンタンはっくしょーん』も大好きで、おもちゃや人形を使ってお医者さんごっこをよくやる
 絵本の展開を真似て、体温計で人形の熱を計るまねをして「さんじゅうななど、ねつがありますねえ」と言ったり、聴診器を当てるまねをして「おなかを、もしもしもし」とやったりする。

 歩くのも上手になって、出かけた先でほとんどベビーカーに乗らないことも増えてきた。良い天気の日、娘と手をつないで川沿いの遊歩道を延々歩くのが好きだ。
 ときどきベンチをみかけては「ベンチさんすわる!」と言って、よじのぼってちょこんと座る。「とうちゃんも!」と言うのでぼくも座っていっしょにおやつを食べたりする。
 その幸せなワンシーンは、そのままカメラが上にパンして青しかない空に「fin…」と出てくるようである。

 自分で歩いたり座ったりお喋りしたり、もう赤ちゃんではなく完全にひとりの女の子である。

 この週末の関西は暖かかったので娘とピクニックをした。大きい広場でお弁当食べたり散歩したり。
 日差しもあって思いのほか疲れたのか、帰宅後いっしょにテレビをみていると、のそのそぼくの膝にのって抱きついてきた。指をちゅぱちゅぱやりだして頭をぼくにあずけてくる。
 ぼくは背中を、とん、とん、とん、とやる。だんだん娘の指を吸うリズムが緩慢になってきて、身体からちからが抜けていくのを腕の中に感じた。しばらく黙って続けていると、そのままスースーと眠ってしまった。よっぽど疲れたのかな。

 タイミング的にただの昼寝なんだけど、ぼくのだっこで眠るのは1年ぶりくらいだったのでびっくりした。腕に委ねられた娘の頭の重みが懐かしかった。
 やっぱりまだ子どもと赤ちゃんの間にいるんだなと思った。

 ……と今は冷静に振り返ることができるが、その瞬間は、

(う、う、う、うわああああ! 抱きついてきた! めずらしいいいい! えっえっ!? このまま眠るの!? まじで!?!? いやいや、ずっとだっこで眠るのはお母ちゃんの専売特許だったし……いや、落ち着け! 受け止めろ! ゆっくりだ! ゆーっくり、背中を、とん、とん、とん、だ! …………うわああああ! 寝たかわいい!!)

 と思っていた。
 まあこんな調子ですわ。

読んでいただきありがとうございます!!サポートいただければ、爆発するモチベーションで打鍵する指がソニックブームを生み出しますし、娘のおもちゃと笑顔が増えてしあわせに過ごすことができます。