見出し画像

レイオフで考える日米でのキャリア感の違い

米国では大手IT企業で、大規模なレイオフが実施されており、私が勤めている会社も例外ではなかった。自分が失業するかもしれないという体験は日本では味わったことがなかったので、これを機会に自分の感じたこと、考えたことを記録しておきたい。

レイオフされるかもしれないときに思ったこと

今の会社にJoinした後も、自分の周りの人がレイオフされるのを見てきた。ただ、「エンジニアリング」の人員削減でかなりの大規模だから本当にレイオフされるかもしれない。自分が該当するかもしれないという場面は今まではなかった。
 もし、明日自分がレイオフを通告されたらどうなるだろう?正直気が気ではなかったが、悩んでも仕方がないことなので、自分の気持ちを抑えて考えてみた。

米国でプログラマになったことに後悔はない


自分がアメリカでプログラマの職にチャレンジしたことに後悔はないか?これは無いと言い切れる。今レイオフされて、再就職が出来ずに日本に帰ることになったら後悔はないか?それは、正直ある。まだ全然道半ばで何も達成していない。自分はキャリアを変えて、しかもアメリカでプログラマになったので自分でも無茶をしている感覚はある。

現在の中途半端な状態には後悔が絶対生まれる

 しかし、折角そこまで頑張ってつかんだ自分が一生続けたい仕事をレイオフによって離れるのは残念過ぎる。自分は頑張ったとほめてあげたいが、今レイオフされてしまったら、中途半端でめっちゃ悔しいだろう。チャレンジしたけど、失敗したのであきらめるという選択もある。ああいやだ。絶対いやだ。日本に帰るときは自分の意志で帰りたい。自分が「人に自分はソフトウェアエンジニアです」と胸を張って言える実力になってから帰りたい。
 今まではちゃんとしたエンジニアになるのに必死で米国を全く楽しめていない自分もいる。音楽も素晴らしいし、いろんな面白そうなところがあるのに全然いけてないし、文化も満喫していない。

自分の考え方の変化を感じる

 このレイオフがどうなるかの未来は誰にもわからないのだが、この今まで味わったことのない体験から、日本にいてるときと絶対的な感覚や、自分がやるべきことへの考え方が大きく変わった。

 日本にいるときは、自分が「首になる」という感覚を持ったことは一度もなかった。「窓際になる」とか、「干される」とかはあるかもしれないが、ある日突然、自分以外の意志で会社を去ることになるとかの展開は基本ありえない感じだったと思う。

レイオフを前提としたキャリアの考え方

一方、米国の企業に勤めていると、レイオフは十分ありうることだ。だから、自分が中途半端になって後悔しないためには次のようなことが必要になってくるだろう。

  • 普段からレイオフになりにくいように、頑張ってアウトカムを出す

  • レイオフにあっても、次の良いポジションを見つけられるように、市場価値を高める

私は今の職場が最高に気に入っているのでレイオフされたくない。とするならば、まとめると、やることは「実力をつけて、会社に貢献できる人間になる」の1点だ。ただし、上記の2つは少々意味が異なる。

最初の「アウトカムを出す」ということに関しては、現在のポジションに特化した「アウトカム」だ。ソフトウェア開発者のポジションの場合、自分がかかわっているリポジトリのコードベースを理解すればするほど、速く開発したり、問題解決ができるようになる。だから、そういうことに力を入れていると、今のポジションで「アウトカム」を出しやすくなる。

一方、2点目は、異なっていて、今のポジションに最適化するだけでは、市場に出たときに、価値が少なくなるかもしれない。自分の使っている言語、ツーリング、リポジトリを深めれば深めるほど、現職には適応するが、市場価値的にはそれが市場価値を高めるかはわからない。

だからそのバランスをとる必要があるのだと思う。

経済的余裕

 また、実力だけではなく、レイオフされるかもしれないとなると経済的な余裕も必要となってくるだろう。私は基本的にお金に興味のない人間なのだが、今回の体験で、もう少し「お金」を増やすことを考えたほうが良いと感じた。私はグリーンカードを持っているので若干マシだが、もしL1ビザの時にこうなったら、私は仕事をすぐに、しかも同じ会社で見つけない限り、日本に強制送還だ。グリーンカードがある場合、強制送還ではないが、物価の高い外国で、今までは、所属会社のサポートがあったから海外生活を送れているのが、それが一切なくなることを意味する。日本にいたときに比べるとかなり恐ろしい。実際Uberに乗っていると、しょっちゅう元エンジニアとして米国に来たけど、今はUberの仕事をしている人を何人もみている。

レイオフがあるから米国企業は強いのかも

 これをストレスに感じる人もたくさんいると思うが、振り返ってみるとこういうレイオフがあるから、アメリカ企業は強くて、従業員も一生懸命働くしスキルアップに余念がないのだと思う。

 日本にいるときは、就職を一旦してしまったら、その後「勉強しない」人がとても多かったように感じる。日本でも、自分の市場価値が何歳でも通用するように技術やポートフォリオを磨き続ける人はいるにはいるが、米国に比べると圧倒的に少ないように感じる。会社側も危ないときには、レイオフをして、会社の状態を健全にするため、不況の時でも有利に感じる。

米国だと、こういった背景があるので、従業員の人は、だれでも「バリュー」を出すことに気を使うので、仕事しない人みたいなのを見かけないし、自分が使ってるシステムが変わったら不満や文句を言う人も見かけないので、自分の不安を除いては、とても健全な仕組みなのだと思う。よく考えたら、我々はお金をもらって会社にサービスをしているのだから、お金に見合うパフォーマンスが出来ていなければ切られるのが健全な姿なのだろう。

圧倒的な実力とアップデート

 自分に圧倒的な実力をつけてアップデートする。これが一番安定して、心も軽くなり、いろんなことをエンジョイできるためのコツだろう。だからこちらの人は一生懸命仕事している気がする。

 自分も、自分の価値を継続的に磨き上げて、一切後悔のない楽しい米国生活を送ってから日本に帰りたいと思う。がんばろう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?