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市展の出品拒否とその経緯、先への希望

ただいま映画製作に取り組んでいる谷山龍さん(https://twitter.com/rudorufu227)。

彼がある市展に作品を出したところ、展示を拒否されるという出来事がありました。

そのことについてご本人の許可をいただき、私の見解と共に話をまとめます。

ことの顛末については彼の映画制作日記をご覧ください。

出品について報告する希望あふれる日記。
境港市展
https://ameblo.jp/kodokunoyouki/entry-12809886651.html


からの、
残念なお知らせ

表現の自由においてハーケンクロイツを掲げる姿勢は、個人的には100%共感しているわけではないのですが、これが谷山さんにとっての魂を賭けたプライドであることは知っているので、大変なことになるぞと思いました。

実際、谷山さんは計画を立てていました。

今回の展示、実は私も出品していたりしたのですが、センシンティブすぎるので全力で知らないふりをするつもりでした。

そして当日。

単独・表現の不自由展

話し合いによって平和的解決!!

~以下転載~
その後、審査員の方がおられたので直接、話を聞きに行きました。すると少し聞いていた話と違う部分が。

審査員の判断で取りやめになったと聞いていましたが、審査員個人ではなく全体での総合判断でとのこでした。

意見が割れたそうで、絵画審査の先生は方は非常に良い言葉をくださり、また応募してくださいという言っていただきました。

その後、職員の方や他の審査員の方もこられて意見交換。

ダメだった具体的な箇所はハーケンクロイツや軍服とのこと。

この市展に限らず公の美術展示で、こういう軍国主義的なモチーフの作品が受け入れられる場は、日本には無いとのこと。

あえて過激な表現をするアートの意図もお話したら理解はしていただきました。

その上で、ナチスなどのテーマへの扱いについて真剣に意見交換も。

意図はわかるし、作品も素晴らしいが公募展としては難しいとのお言葉。

直前に取り下げになったことについては、そういう選考はこれまでも行っていたらしいですが、応募要項に記載はされておらず、それに関しては謝罪いただきました。

美術業界の風潮にはおかしいと思う部分もありますが、審査員や職員の方の対応には誠意と真剣さを感じられ納得はできました。

とても良い話し合いができたのではと思います。

世の中の表現問題など、こうやって話し合って意見交換などしていけたら、もっと良い方向にいくのではと思います。

お騒がせしてしまいましたが境港市展、凄く良いイベントです。

「スパイア 蠱毒の妖姫」イメージイラストや、谷山龍監督がモデルをした肖像画も展示されています🐝🕷

5日までみなとテラスで開催。ぜひ足を運んでみてください。

~転載おわり~

今回の件で私も改めてハーケンクロイツと表現の自由について調べてみました。
そうしたらこのような記事がヒットしました。
「ドイツにてゲーム内でのナチス表現が解禁へ。業界団体は「ゲームが芸術作品であると認められた重要な一歩」と評価」
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20180813-74098/

~引用~
ドイツでは、ナチスは連邦憲法裁判所により違憲政党に認定されており、ナチスの旗や制服、敬礼など象徴となるものを頒布・宣伝することを刑法86条にて禁じている(刑法においては、ナチスを名指ししているわけではない)。違反すると3年以下の懲役、または罰金となる。ただし例外として、芸術や科学、あるいは過去に起きた実際の出来事を描くうえにおいては、それらを表現することを認めている
~引用おわり~

なんと、ドイツ本国でも芸術・科学・歴史分野においてはナチス表現が認められていた!!
私も初めて知りました。

2018年の記事なので、現在はもしかしたら法改正されていたりするかもしれませんが、そういう情報は見つけられませんでした。

今回の件でいろいろと勉強になることがありました。

会場では知らないふりを決め込んでいた私。

しかし結局絵の表現の話なのでつい加わり一緒にお話を聞かせていただきました。(出品料無料だし入選落選発表の記載ないからみんな展示してもらえそうだし出品するー→谷山さんもしてみよう、という流れだったので責任も感じていました)
(去年、展覧会を訪れ雰囲気の良さを直接確認できていたのもこの空間に自分の作品も並べられたいと思った理由の一つです)
私も納得できずにいたことに直接いろいろなお話をしていただき気持ちに折り合いをつけることができました。
ありがとうございました。

日本の公募展は軍服とハーケンクロイツがアウトというのが、個人的には衝撃です(軍服というより軍服も含めた絵の総合的要素によって軍国主義を想起させたらアウトという感じでしょうか)。

これは境港市展がどうではなく、日本全体の問題なんですね。

今回、たまたま知る機会があったからよかったですが、こんな裏事情は公表されていないので、たとえば私のような軍服好きが軍服男子女子の絵を公募展にひたすら送り続けても理由を知ることもなく落とされ続ける可能性もあるということで、考えてみると恐ろしいです。
(戦争犯罪に罪はあっても軍服の機能美やデザイン性に罪はないです)

なぜ軍国主義の絵がいけないかについても丁寧に説明していただきました。
軍国主義がいけない理由については、当時の表現の自由への抑圧を許してはいけないというのが理由の一つにあるようです(意味を取り違えてたらすみません)。 勉強になります。

私個人としては美術団体や企業のものなどはともかく、市や県といった国に連なる「公」による公募展は、日本国憲法の認める範囲での表現については一切規制なく認めることを検討していただきたいなという気持ちです。そのほうが表現の自由への抑圧から解放されているのではと感じます。
(”地元の山”などそういう最初からテーマが決まっているものは別です。ただそれとは別に市展や県展など総合的な展示は各地域に一つはあると嬉しいです)
”公序良俗”や”公共の福祉”というのも尊重しなければなりません。しかしここで問題になるのは、「本物そっくりのお札を作った(偽札)」「キャプションに●●人差別したいと書いてる」「無断で知人のヌード絵を描いた」「その他誰か(何か)の権利を侵害したり損害を与えている」などでしょう。絵の中にインモラルなものを描いたからいけないとなったら、紅白で天城越え(不倫旅行の末の殺意を示唆)も歌えなくなります)

団体や企業による公募展は、主催の意志に沿った内容が選ばれ集められるとしてもそれは主催の自由です。
そういったものがなく、実力での選考はあるにせよテーマ性においては安心してどんなものでも展示と栄誉の機会をもらえる。それが「公」の行う公募展の役割の一つではないでしょうか。私はそう思っていました。

たとえ個人で展示ができたとしても公募がアウトとされると公には存在を許さないぞと言われているようなものなので、それは作品として悲しいです。

一意見として公募関係の方々が検討してくださることを期待して述べさせていただきます。

審査については理由を知る機会はない場合がほとんどなので、今回境港市展さんがお話してくださったのは幸いでした。知らないことを知ることができました。ありがとうございました。


また、長いお話の後にも関わらず、作品についての講評も快くしてくださり本当にありがとうございました。
今回は、独学で絵の向上をすることに行き詰っていたので、講評会を聞けるのであれば、他の方の作品についてでもいいので参考にできればと思っていたのでした。
何となく自分で気づいていながら気のせいにしていた部分への指摘もあれば、自分の中では発想がなかったアドバイスもあり、たいへん勉強になりました。

境港市の文化の発展に寄与できるような作家になれるよう努力します。

境港市美術展覧会、5日まで鳥取県境港市みなとテラス(境港市民交流センター)の2階で開催されています。10~6時(5日5時まで)
ぜひこの機会に観に行ってみてください。

みなとテラスは新しく建てられた建物でとても近未来的で綺麗です。展覧会のスタッフの皆様の雰囲気もとても良かったです。

追記
谷山さんご本人がこの件について書いたnoteがありますのでご紹介します。
https://note.com/taniyamaryou/n/nf4858dc5403f


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