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オンライン父さんのお買い物

今回、投稿させていただきました、「オンライン父さんのお買い物」は
脚本家 今井雅子先生の短編小説「膝枕」の世界観を、自分の日記とも小説ともつかないお話「オンラインお父さん」に取り入れてみました。
2021年5月31日からClubhouseで朗読リレー(#膝枕リレー)が続いている短編小説「膝枕」(通称「正調膝枕」)の派生作品となっております。

二次創作noteまとめは短編小説「膝枕」と派生作品を、朗読リレーの経緯膝番号Hizapedia(膝語辞典)などの舞台裏noteまとめは「膝枕リレー」楽屋をどうぞ。

※写真はイメージです本編とは関係ありません。

オンライン父さんのお買い物

~膝は突然やってきた~


男はアパートの部屋に戻ると、お風呂を入れる
お風呂が沸くまでの間、お弁当をレンジで温める
某スーパーのオリジナルブランドの酎ハイのプルトップを空け一口、口をつけると
今夜の夕食をテーブルに並べて、スマートフォンで撮影をする。

スマートフォンアプリを起動し、先ほど撮影した夕飯の写真を添付してコメントを入力する「ただいま、今日の夕飯は中華弁当です、ブロッコリーの炒め物にひかれて買っちゃいました。」送信

TVをつけてお弁当をつまみに酎ハイを飲む。
テーブルの上のスマートフォンが、ぶるぶる震えてメッセージの着信を知らせる。妻からの返信が来たようだ「お疲れ様、お帰りなさい。今、長男はバイト。次男は塾に行っているから、ユーチューブタイムです。膝枕男の動画が面白いよ」
即座に返信を返す。了解のスタンプと短いコメント「ご苦労様、ゆっくり楽しんでね」

これで、今夜のオンライン父さんのお勤め終わり。

TVの中では、最近人気のお笑いタレントがバラエティーの司会をしていた。
最近、同じような番組しかない、お気に入りのタレントもいないのでつまらなく感じていた。YouTube・・・
男は普段から、パケットの消費が気になるのであまり見てはいなかったが、今は月末。
残りのパケットにも余裕があるので、久しぶり見てみようと思った。

何の気なしに見ていると、膝枕という玩具との日常生活をさらしている男の動画が人気らしい。
生真面目な男が玩具とも寝具ともつかない、女性の腰から下の物体に語りかけたり、写真を撮ってTwitterに上げたり。

男性の日常生活なんて興味はないが、膝枕なる物は気になる・・・.
観ていると次第に面白くなってきて、自然とアルコールも進む。Twitterをフォローして「絶滅危惧種!」なんてコメントをいれたりしながら、酎ハイを口に運びつつも、スマートフォンで動画を見ながら、タブレットで膝枕なる物を検索してみる。
販売元の膝枕カンパニーのサイトには、多種多様なバージョンの膝枕が存在するようだ。予算と機能をじっくり考慮し、妄想に妄想を重ね見ていた。

「今だけ限定!頭を乗せるだけで、あなたの健康状態が判るオプション機能搭載、対話機能、健康アドバイス機能も充実、最新型でお試しセール中のナイチンゲール膝枕。今ならオプションで白とピンクのナース服を2枚付けてこのお値段。」
今、買わないとと言うフレーズのいっぱい付いた広告。今だけ限定に惹かれたのは言うまでもない。

男は良い感じに酔って、お風呂に入るのも忘れ寝てしまった。

休日の午後、趣味もなく遊び歩く甲斐性もない男の部屋のチャイムがなった。
ドアを空けると、見慣れた制服を着た宅配便の男が、オーブンレンジでも入っているのではと思われる大きな箱を持って立っていた。
箱に張られた伝票には、「枕」と書かれていた。

「まくら?」

男には覚えが無いようである。
「受け取ってもらって良いすか?」
宅配の男は、荷物の重さに耐えかねて、少し不機嫌に言った。

訳も判らず、大きな荷物を受け取ると部屋に持ち込んだ。間違いだったらすぐに返品できるように、丁寧にガムテープをはがして梱包をといた。

なかには、女性の腰から下の形をした、肌の触感も生々しい、等身大フィギアのBパーツのような物が入っていた。肉付きが留守中の自宅を守る妻の膝にも似ていた。

「なんじゃらほい」
男は、箱から取り出して興味深げに触っている、パンフレットに印字されていたQRコードを読み取り、アプリをインストールすると…それは、起動した。

どこかで聞いたことのある起動音と共に、膝のおもちゃが喋りだしたのである。
「OS起動、音声ソフト起動、ロードします…システム起動しました。私は製造番号4113。ナイチンゲール膝枕です。どぞよろしくお願いいたします。」
人間で言う下腹部辺りに、スピーカーがあると思われる。

「膝・まくら」
男は思い出した、数日前に酔ってYoutubeを見て思わずポチってしまったことを。
「マジか、夢じゃなかったんだ」
「私は、ナイチンゲール膝枕。初期設定スタートします。ユーザー設定に入ります。マスターの名前を教えて下さい」
「え、名前?」思わず口から飛び出す。
「エナマエ様でよろしいでしょうか?」
「いやいや、違う、違う」
「エナマエ様で登録いたします」
「おい、修正は聞かんのかい」おもちゃに対してむきになってしまった。
「次に私に名前を付けて下さい。」
「ヤバい、ヤバい。気を付けないと…」
「私の名前はヤバイヤですか?もっとセンスの良い名前にしてもらって良いですか?」
「おい、自分の名前は修正出来るんかい」
思わず突っ込みを入れる。

箱に同封されていた、パンフレットの表紙を見て
「ナイチンゲールだから、ナイチンは?」
「チンは嫌です、チンは」
「頭が良いのか、悪いのかよく判らん」男は呟く
「早く決めてください」
「じゃあ、ナイチンゲールの膝だから、膝って英語でなんだっけ?
プロレス技であったな、ニードロップとかニーパッドとか言ったっけ?
ニーで良いのかな?ニーとナイチンゲールで
ニーナでどうでしょうか?。」
「判りました、仕方がありません。センスは悪いですが、ニーナで確定します」
「AIの癖に口が悪いな…」
「エナマエ様…何か?」鋭い突っ込み
「いやいや、何も」

休日の昼下がり、下半身のおもちゃに何を遊ばれているのだろうか。
「おもちゃではありません、ニーナです。」
聞こえてるんかい?

「仕方がありません、パーソナルデータを取得します、頭を膝においてください」
「仕方がないって、本当に口悪いな」
とは言え早速、膝枕をしてもらえるらしい。
「ご自慢の膝を試させてもらいますか」
男は膝枕に頭を預けようとした、体勢で止められた
「待ってください、頭は洗いましたか?」
「毎日、洗ってるよ」
「仕方がありません、どうぞ」

男は怪訝な表情で、膝枕に頭を預ける。
「ニーナとお呼びください」
男は怪訝な表情で、ニーナに頭を預けた。

ほのかに暖かく、弾力のある膝はまるで本物の膝枕を彷彿とさせる、いや、本物以上の沈み心地に溶けてしまいそうな感覚を覚えた。
目を閉じて、寝てしまいそうなそんな時、声が聞こえた。

「エナマエ様のパーソナルデータを取得いたしました」
「え?」
「体脂肪29.8% 男性としては肥満です。筋肉量59kg正常値
体内水分量48%不足してます。内臓脂肪17.0危険です、危険です」
「何なのいきなり?」
急にニーナは正座のままつま先立ちになって、男を振り落とした
「エナマエ様は太りすぎです、運動をしてください。
エナマエ様は太りすぎです、運動をしてください。
大事なことなので、2回言いました」
「だから何?」男はあっけにとられている
「エナマエ様のスマートフォンにトレーニングメニューを転送いたします」
「え、いつスマホ登録した?」

その時テーブルの上に置いてあるスマートフォンが振動して着信を伝える。画面にはびっしりとトレーニングメニューが記されていた。

「30秒後にプランクからスタートします、運動しやすい服装に着替えて下さい」
「何?何いきなり」と言いつつも、男はジャージに着替える
「60秒プランクスタート、まで10、9、8・・・」
「ちょ、ちょっとまって」
男は言われるがまま、プランク3セット、腕立て伏せ3セット、腹筋3セットをこなした。

「このあと10kmのランニングとスイミングがありますが、どうしますか?」
「いやいや、勘弁してよ」
「仕方がありません、初日ですからこれくらいで。ちっ」
「あれ?今、舌打ちしなかった?AIなのに」
「まもなく夕食の時間ですが?自炊メニューを表示しますか?」
「軽くスルーされた」
「自炊メニューを表示しますか?」
「自炊はしません」
「自炊した方がいいと思いますよ、カロリー管理を・・・」

男はしゃべりまくるニーナを横目に、外出の支度をして家を出た。
お弁当を買って、自宅で食べるとニーナに何を言われるか分かったものではない、男は近所のラーメン屋に入ってラーメンとチャーハンセットを注文する。

いつもの癖で、チャーハンセットの写真を撮って妻に送った。
「今日はお休みなので、ちょっと贅沢をして、ラーメンとチャーハンのセットです」いつもの通り、妻へのコメントも忘れない。
送信をするとすぐに返信が来た。いつになく早い返信である。

画面を確認すると、妻ではなくニーナからの返信だった。
「ラーメンとチャーハンのセットは1,000kcalオーバーです危険です。1,000kcalオーバーです危険です。
大事なことなので二回言いました。」
男は泣く泣く、ラーメンの完食をあきらめて、半分残して店を出た。
再びスマートフォンが返信を告げる。今度は妻からだ、
「ラーメン美味しそうだね、いーなー。」
「良くない」男は心の中で呟いた。

なんだか物足りないお腹を抱えて自宅へ戻ると、玄関先まで膝をに焦らせて、ニーナが迎えに来ていた、こういう姿はいじらしい。
男は膝枕に「ただいま」を伝える。
「お帰りなさい」ニーナは応える。
お帰りなさいを言ってもらえるのは嬉しい、謎の伝染病の流行で、越県帰宅ができず、しばらく自宅へ帰ることが許されなかった男の胸に、じんわり熱いものが込み上げるのを感じた。
そのあとにニーナは続けた、
「GPSの解析が終了いたしました、歩行距離1313m、
歩行時間1時間30分 カロリーの消費量が不足しております。」
「おい、おい感動を返してくれ」
「カウントダウンを開始します、動きやすい服装に着替えて下さい。」
「ちょっと休ませてよ」
「スクワット開始まで30秒・・・」

自宅の妻のスマートフォンには、旦那の健康状態と運動量、GPSの情報などが送られていた。
「先行投資。これを機に、出会った頃のスリムなダンナに戻って貰わないと。」

その頃、スクワット、シットアップ等のメニュをこなした男は・・・
「ニーナちゃん、膝枕してもらっても良いかな?」
「汗臭いです、まずはお風呂に入って下さい。」
「なぜ嫁と同じ反応…?」

続く・・・かも。

~~~~~~ 雑記 ~~~~~~
ヤバい、また着地点が見えなくなってます。

落書きは描くけど、文章を書いたことのない親父が
文章の真似事を書こうとしております、
温かいめで見てください。

本文の原案は、SNS クラブハウスの中で展開されている
朗読リレー 膝枕❬今井雅子作❭をもとに書かせていただいております。
作風にそぐわないと思われましたら、すぐに削除させていただきます。
今後の展開、着地点等のヒントをお待ちしております。
完結のために皆様のお力添えを、お待ちしております。



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