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母のにぎる魔法のようなおにぎり。

母のおにぎりは日本一。
すなわち、母のおにぎりは世界一。

もう、何年も食べていない、母のおにぎり。

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私が中学生の頃、部活からお腹をすかせて帰宅すると、台所からご飯の炊きあがったいい匂いが漂っていました。

すぐに母はあつあつのご飯でおにぎりを握って、香ばしい焼き海苔を巻いて食べさせてくれました。

そのシンプルなおにぎりの美味しいことといったらもう!
適度なお塩がお米の甘みを引き立て、お米の熱で海苔はさらに香りを増し、相乗効果で口の中は幸せいっぱいになるのです。

その美味しさに、嫌なことも忘れ、笑顔になれる魔法のようなおにぎりを、育ち盛りの私は毎日のように食べていました。

おにぎりを口いっぱいに頬張りながら、母に今日あったことを話す、温かくてゆるやかな時間。

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あれから20年ほど年月が流れ、幾度となく自分でおにぎりを握ってきましたが、何度握っても母のおにぎりには敵わないのです。

あんなに美味しくて幸福感に包まれる、魔法のようなおにぎりは、いったいどうやったら作れるのでしょうか。
私はいつになったら、おにぎりに魔法をかけることができるのでしょうか。


そうだ、コロナの流行が落ち着いたら、母のおにぎりを食べに帰ろう。
そしておにぎりの作り方を教えてもらおう。

うんとお腹をすかせて、あの頃のように。

炊きたてのあつあつご飯に、海苔の香りをまとわせて。

私もいつか、おにぎりに魔法がかけられるように。