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短歌:君のやさしさ

傘を差し出したら君は僕の手の上から握る土砂降りなのに/銀猫
かさをさしだしたらきみはぼくのてのうえからにぎるどしゃぶりなのに

 雨に濡れることが嫌いではないせいか、相合い傘というラブラブいちゃいちゃした経験がありません。パートナーや若かりし頃のそういう人物とひとつ傘に入ったことはあると思うのですが、それを相合い傘の経験として思い出せない、という方が正確でしょうか。たぶん、ただの相傘だったのでしょう。相席や相乗りみたいなもので。

 楽しめないほどの降りの中、外を歩いて移動しなくてはならないときは、単純に、走ります。

 それでも、持っている傘の本数が多いことに気付きました。コンビニのビニール傘は一本もなく(というか、買ったことがない)、きちんとした傘ばかり。好きで買っていますね。そういう記憶があります。
 濡れてもいいと思っているくせに、どうしてかな。いま、人生ではじめてそのことに思い当っています。

 生きるって、たくさんの矛盾に出くわすことかも。

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