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母短歌:老いていく

ひとつづつ忘れごと増え少しづつ小さくなってゆく母を見ている/銀猫
ひとつづつわすれごとふえすこしづつちいさくなってゆくははをみている

 猫短歌と同じように、自分の気持ちをどうにかしたくて書き留めてきたのが母短歌です。ただし、抱えている気持ちは真逆に近いと思います。

 最初に正直に告白します。
 母との関係はたいへん微妙です。既に認知症の域に足を踏み込んでいますが、娘の立場から言わせてもらうと、正気の頃から思考回路が独特の人でした。そんな母に、わたしの人生はかなり翻弄されてきました。

 支配欲が強く、なのに世間知らずでお花畑な母。彼女を介護する立場になって、自分の正気を維持することはなかなかの難行です。

 母をテーマにした短歌を外に出すことについて、ずっと躊躇いがありました。なぜなら、「お母さんありがとう。恩返しに最期までわたしが看るからね」などと、心の底から本心で言えることは決してないからです。
 ですから、わたしが詠む母の短歌は、好感を得ることは難しいでしょう。

 でも、わたしは自分の心の均衡を保つことを優先することにしました。苦しいときには、母を詠んだ短歌をここに載せます。わかってくれる人はいなくてもいい。ただ、わたしの苦しい心の内を吐き出したいだけなのです。

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