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短歌:君の手が好きだから

いつの日か君を忘れてしまってもその手でそっと触ってくれる?/銀猫
いつのひかきみをわすれてしまってもそのてでそっとさわってくれる?

 わたしは確実に認知症になる遺伝子を持っています。父方を見ても母方を見ても、最後は認知症に煩わされる家人がいました。ひとりは現在進行形です。

 自分がそうなるかもしれないことを想像するのは、恐ろしいものです。なまじ身近で進行の経過を見ていたりしますから。

 だから「絶対に自分は大丈夫」という正常バイアスが働く余裕などなく、世の中で認知症予防に良いといわれていることは、できるだけ実行しています。肉体改造中、なーんて言っていますが、筋肉つけることもそのひとつ(実家筋にはスポーツする人がいません。身体を鍛えることにまったく重きが置かれなかった家系です)。

 そして我がバディであるパートナーは、長寿で矍鑠の遺伝子を持っています。だいたい、見回すと彼の親戚一同、凛として自立としている老人の多いこと。寝たきりや認知症など皆無です。わたしの親族と何と違うことか。完全に遺伝子の勝利ですね。

 だから、彼が事故にでも遭わない限り、わたしが彼より長生きすることはほぼ無理で、脳が正常な状態でいられなくなる日もわたしの方が早くやってくるはず。

 もしも彼に対して「どなた?」と尋ねる日が来ても、背中や肩を触ってくれたらいいんだけど。そうしたら思い出せるかも。

 そんな思いを添わせた短歌です。


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