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短歌:耳鳴り

静かな夜Aが耳の奥で鳴り思い出すのは音合わせのA/銀猫
しずかなよあーがみみのおくでなりおもいだすのはおとあわせのあー

 わたしの悩みのひとつは、耳鳴りです。何も手に付かないようなひどいものではありませんが、眠れない夜、静かな夜は、自分の耳の奥で鳴る音が気になります。

 その音はラなのです。

 むかしむかし、マンドリンクラブにいたことがありました。練習前に必ずあるのは音合わせ。「音屋さん」と呼ばれるメンバーが、ピアニカでラの音、つまりAの音を出し、他のメンバーは自分の楽器の弦を調整しました。なつかしい。

 Aはもちろんエーと呼んでもいいのですが、わたしがいたクラブでは、ドイツ語でアーと呼んでいました。

 耳鳴りに悩みつつも、なつかしい思い出の音にも聞こえるなんて、自分はなんて楽観的に生きられるのだろうと自画自賛しています。

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