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「ナカイの窓」から見えた日本社会

私は普段からテレビは見ません、というよりも見なくなりました。
引っ越しをしてから長いこと家にテレビを置いていなかったということもありますが、5〜10分くらいで済むような内容をダラダラと先延ばしにしたり、身内同士で騒いだりしている様子がただうるさいと感じ、いつの間にかつけなくなってしまったという方が正しいかもしれません。

先日、放送されていた『ナカイの窓』という番組についても、タイムリーに見ていたのではなく、ツイートされていたものを見て知りました。

イチ視聴者、イチ日本人として、率直に感じたことを私もTwitter上に書きましたが、未だにそれが拡散され、日々通知が届きます。
共感してくれた方がほとんどでしたが、中には自分の好きな人、好きな番組が傷付けられたとばかりに、私の人格や人生をも否定するような暴言が向けられ、今回の件を改めて考えてみました。

■ 外国人への差別だと騒いでいるのではない

擁護している方の多くが、差別だと騒ぎすぎ!これくらいのことで差別だなんておかしい!といった発言をしていましたが、番組や出演者たちの言動に不快感を抱いた人のほとんどが ただ「差別」として問題視しているのではありません。
誰かの失敗を必要以上に笑い、イジるといった幼稚で低俗な行為が、見ず知らずの一般の外国人に向けられていたからです。コンビニで働く外国人スタッフは芸人やタレントではありません。

また、外国語を学ぶ最中や異国での生活では、つい笑ってしまうような間違いや失敗が付き物で、私が日本語教師として働いてきた中でも内心失礼だなぁと感じるような発言を見聞きしてきました。
時と場合に応じ、どこが間違っているのか促したり、失礼だと指摘したりすれば済むことですが、それをあの番組のように嘲笑の的にして、公共放送したことが問題視されるべきです。

ところで出演者たちは、外国語や日本語を学ぶことの大変さを知っていたのでしょうか?
留学生たちがどんな生活しているか現状を知った上で話していたのでしょうか?

彼らにそんな経験や予備知識があったのなら、テレビの演出のためとはいえ、あのような言動には至らなかったと思います。
一生懸命 言葉を勉強し、慣れない異国で必死に生活している彼らを笑わないでください。

■ 言い間違いはただのネタ?

中には、下ネタを連呼されて恥ずかしい思いをしたってネタなのに、それがなぜわからない?といった発言も目にしました。
私自身 何が下ネタなのかわからず、後々になって「ずりせん」が「マスターベーション」を意味言葉だと知りました。
日本人の私ですら知らない言葉を外国人スタッフが知っているでしょうか?

下ネタを連呼されて内心恥ずかしいという人の気持ちもわからなくはないですが、間違った言い方、知らない言葉を言わされて笑われる本人は真剣なんですよ。

もし仮にあなたの大切な人、お子さんや恋人が「恥ずかしい言葉」だと知らずに言わされ、ニヤニヤ笑われていたらどう思いますか?
私だったら居た堪れない気持ちと言わせた本人への嫌悪感で 殴り飛ばすかもしれません。

恥ずかしい言葉を教え合いたいのなら、公共の電波は使わず、友だち同士の飲み会ででも話してください。

また、普段から日本語を使う日本人同士ででも、言い間違いや聞き間違いはよくあることで、日本語が母語ではない外国の方が相手なら尚の事です。
それを防ぐためにも別の言葉に言いかえる、わかりやすく伝える親切心を持つことが大切なのではないでしょうか?

外国人スタッフに限らず、コンビニやスーパー、飲食店などでも、お店の方に横柄な態度をとったり、些細なことで怒鳴ったり、喚いたりしている人を時折見かけます。
そんな彼らはどれだけ偉いのでしょうか?
「お客様は神様」とでも思っているのでしょうか?

■ 「外国人なのに」ではなく「外国人だからこそ」

「コンビニの世直し」と題して、外国人スタッフの日本語をあざ笑ったり、外国人なのにバイトリーダーをしていると非難したりしていましたが、なぜコンビニで働く外国人が多いのか、出演者たちは疑問に思い、その現状を知ろうとしたことがありますか?

以前 ニチイのフィリピン人スタッフによる家事代行サービスの広告内容・表現があまりにも失礼だと話題になった際にも、イチ日本語教師として個人的な思いを書きましたが (参照:「外国人労働者は ニンゲンじゃない?」)、今後益々外国人在住者、労働者が増えることが予想される中で、そのような外国の方とどのように接していくべきかが今後の日本社会の課題だと思っています。

もちろん外国人スタッフを雇う側にも、教育する義務、生活を監視する責任があり、移住してくる外国の方自身も日本語を習得し、日本とはどんな国なのか学び、家族や親戚に教える必要があると思いますが、以前から日本に暮らす私たち一人ひとりも意識すべきです。

こちらの番組が終了しようが、出演していた方たちが今後世間からどう思われようが個人的には興味ありません。
謝罪したとしても、テレビというメディアが未だに大きな影響力をもっていること、出演者の言動が良くも悪くも視聴者へ伝わるということをこの機に自覚していただきたいと強く願います。


書ききれなかった内容を別の記事にまとめました。
▷嘲笑というネタとモノマネは同じか?
https://note.mu/silkyblossom/n/n4aed9f34414e

#徒然なるまま日本語教師 #日本語教育 #日本語教師 #外国語 #外国人労働者 #移民問題 #コンビニ外国人 #コラム

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