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お蚕さんの試験飼育を始めた話

みなさん、こんにちは!
シルク村プロジェクトです。

今秋、ついに養蚕の試験飼育を開始しました。

お蚕さんの試験飼育を行う、ぎふ清流里山公園の『かいこの家』

養蚕を行うのは、岐阜県美濃加茂市のぎふ清流里山公園内にある『かいこの家』。
9月上旬に、ふ化して5~6日の小さなお蚕さん(3齢と言われる)を500頭引き取ってきました(お蚕さんは馬や牛と同じ家畜として大事にされていたので1頭、2頭…と数えます)。

岐阜県蚕糸協会様に指導いただきながら、始めのうちはおそるおそるお蚕さんのお世話をしていました。ちなみに養蚕の道具は、規模を縮小されたり、廃業されたりした養蚕農家さんから譲り受けたものです。道具を作るところもどんどん減っている中で、道具を受け継いでいけるのは本当に幸せなことだと感じます。

お蚕さんが繭を作る(営繭)ための道具「蔟(まぶし)」

お蚕さんは、ふ化したばかりの1齢から4回脱皮して繭をつくる5齢まで桑を食べ続けます。
お蚕さん1頭が一生に食べる桑の葉の量は約20g。小さいうちは1日2回、5齢になると1日3回、無農薬の新鮮な桑の葉を与えて育てていきます。

食べたら当然排泄もします。桑の葉しか食べないお蚕さんのフンはほぼ桑の葉。ということで、昔からお茶や漢方として活用されてきました(血糖値やコレステロール値を下げ、糖尿病の予防に効果があると言われています)。

「蚕は風で飼え」と言われるくらい、風通しの良いところでないとうまく育ちません。
幸いにも『かいこの家』は風通しがとても良く、残暑が厳しかった9月上旬~中旬でも涼しい風が吹き抜けて、お蚕さんもスクスクと育っていきました。

お蚕さんが桑の葉を食べる音はまるで雨が降っているみたい

お蚕さんを飼育する様子は『家』を訪れるお客様にも見ていただけるようにしました(飼育期間は春~秋)。
『家』の土間では、養蚕がいかに持続可能な産業であるか、それによってできたシルク(絹)がどんな可能性を秘めた素材であるかをパネルで紹介しています。

養蚕やお蚕さんを見るのが初めてのお客様、昔実家や近所で養蚕をやっていたとおっしゃるお客様、どの方も熱心にパネルや飼育の様子を見て行かれました。

『かいこの家』の土間に展示されたパネル

最初は「虫(お蚕さん)がいっぱいで気持ち悪い!」と遠巻きに見られていた方も、私たちの説明を聞いて、「なんだか可愛く思えてきた」とじっくり見られるようになると嬉しくて、私たちもついつい話に熱がこもります。

お蚕さんはふ化から20日前後で繭を作り始めます。
繭の中でお蚕さんが蛹になったら、繭を乾燥か冷凍して中の蛹を殺してしまいます。そして出荷し、糸にするなら製糸場へ、それぞれ用途に合わせて加工していきます。

繭を作り始めるお蚕さんたち

蛹はどうするか。もちろん捨てるなんてもったいないことはしません。
お蚕さんの蛹は貴重なたんぱく源。佃煮にして食べたり、鯉や鰻の養殖の餌として使ったり、油に加工したりします。

お蚕さんの命をいただくわけですから、一つも無駄にはできません。
昔からそう考えて、様々に活用されてきたのだと思います。

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この考え方はこれからの持続可能な社会・世界のためにとても大事なことです。

シルク村のイメージイラスト

私たちが取り組む村づくりプロジェクトは、そんな命の循環も生み出す村にしたいと思っています。
資源も、技術も、産業も、自然も、人の思いも、すべてが循環する村。

当然ながら村づくりは簡単ではありません。私たちだけでは実現できませんし、私たちが目指す循環は‟つながり”でもあるため、思いに共感してくださる皆様とつながって一緒につくり上げていきたいと思っています。

人も、自然も、生き物もみんなが元気な村にするために必要なことは何だろう?ぜひアイディアを聞かせてください。