最近のロードバイクの進化について考えてみた話(その4): チューブレスタイヤ
こんにちは
かつてロードバイクのパーツオタクだったけれども,最近10数年の進化を知らずに過ごしてきた浦島太郎です.
(詳しくは自己紹介を参照ください)
この3ヶ月間,必死に情報収集をしてきまして,ようやく自分の頭の中が整理できてきたところです.
第4回は.チューブレスタイヤのことについて書いてみたいと思います.
4.チューブレスタイヤについて
4-1.チューブレスとチューブラーの比較
ロードバイクのタイヤに関するこの10年間での最大の変化はチューブレスタイヤの普及であろう.
クリンチャータイヤ,チューブレスタイヤ,チューブラータイヤの特性の比較を下記にまとめる.
チューブレスタイヤのインプレでときどき見かける表現として
「魔法の絨毯のような乗り心地」
というのがあります (クリンチャータイヤとの比較として)
これって,高級チューブラー タイヤのインプレの際に,練習用チューブラー に対する比較として,昔から雑誌でよく使われてきた表現なんですよね.
いろんなインプレやblogから,チューブレスタイヤは高級チューブラー タイヤ並みの軽快さと振動吸収特性があるらしいことが読み取れた.
では,それ以外の点を比較してみよう.
(1)メンテナンス性
チューブレスは2~3ヶ月に一度シーラントの補充が必要らしい.
チューブラー もセメントの張り替えが必要… と言われるが,自分の経験では室内保管なら余裕で半年以上〜1年くらいはもつ.基本ノーメンテです.走るときに空気を入れるだけ.
チューブレスユーザーのいろんなblogや動画を見る限り,チューブレスの扱いはいろいろと面倒くさいことがよくわかった.ビードが上がるだの上がらないだの,石鹸水を塗るだの… 手がかかりすぎでしょう.
なのでチューブレスは △
(2)出先でのパンク修理・交換対応
いろんなサイトに書かれているから,敢えてここには書かないけど,チューブレスタイヤの修理やチューブ取り付け(クリンチャー化)は,出先では絶対にやりたくないと思った.
チューブラーならパンクに気がついてから交換して走り出すまで約10分.
チューブラー の圧勝
(3)入手のしやすさとコスパ
チューブラータイヤの最大の欠点は,もはや新品のチューブラー ホイールのラインナップが少なく,競技用の高価なホイールのみになってしまっていること.
チューブレスはチューブラー に比べれば選択肢は多いけれど,タイヤとホイールの相性問題がある.なので両方とも×
価格はどちらも高いので,コスパは両方とも×
4−2.チューブレスタイヤの空気圧について
チューブレスに関して一点気なることがあります.
いろいろなサイトやblogでよく主張されているのが
「チューブレスはチューブがないから,リム打ちパンクをしない.よって空気圧を減らせるから乗り心地が良くなる…」という説
それ自体は正しいのでしょうね.
でもね,一方で,空気圧を減らす → タイヤの接地面積が増える → パンクしやすくなるというデメリットがあるのですよ.
(詳しくは下記を参照ください)
この話 (タイヤの接地面積とパンクの関係) って,ワタクシ的には常識中の常識なのですが,なぜかインターネットのどこのサイトをみても,誰も言及していませんでした.なぜでしょうね?
blogを読んでいると,チューブレスタイヤで出先で派手にパンクして,修理対応に懲りて,クリンチャータイヤに戻した人も多いみたいだけど,それはあなたのタイヤの空気圧が低すぎだったのが原因では無いですか?
とワタクシは問いたいです.
あとですね,
「チューブレスはシーラントを入れるからパンクに強い」っていう説がありますけど,それってクリンチャーでもチューブラーでも同じことなんですよ.どんなタイヤでもシーラント入れれば小さなパンクは自己修復されます.そもそも,シーラント剤は「パンク予防剤」「パンクストッパー」等の名称で90年代から売られていました.チューブラータイヤにシーラントを入れて耐パンク性能を高めている人も多いです(私は入れませんけど).
だから「パンクに強い説」はチューブレスのメリットではないです.
4-3.プロのロードレーサーはなぜチューブレスタイヤを使うのか?
単純な話です
ホイールメーカーとタイヤメーカーがそれを売りたいから (笑)
ただし,プロとアマチュア(趣味のロードバイク)の大きな違いを理解しておく必要があるだろう.
プロ:タイヤの取り付けやメンテは全部メカニックがやってくれるし,パンクをしてもサポートカーが駆けつけてくれる.
趣味のロードバイク: タイヤの取り付け,メンテ,パンクしたときの対処の全てを自分でする必要がある.
(最近のblogやYouTubeとか見てると,タイヤ交換やメンテは全部ショップにお任せ,出先のパンクもグループライドの同行者に手助けしてもらってクリア… みたいなのも多いみたいだけどね )
クリンチャー,チューブレス,チューブラーの中で,
タイヤの取り付け,メンテ,パンクしたとき対処
この3つが最も大変なのが「チューブレスタイヤ」だ
ワタクシはそのように理解した.
つまり趣味のロードバイクには全く向いていないということ
2000年代前半だっただろうか,プロロードレースの世界でクリンチャータイヤのシェアが急拡大してチューブラーがほぼ絶滅し,「クリンチャーはチューブラーを凌駕した!」かのごとく散々セールスされていたのに,その後再びプロの世界でチューブラータイヤが見直されて,復活したことがあった.チューブラータイヤそのものは何も変わっていないにもかかわらずである.
上記のようなセールスの甲斐あってクリンチャーホイールが自転車界に広く普及することとなった訳だが,現在のプロロードレース界を見るとチューブラーは生き残っている一方でクリンチャーホイールはほとんど採用されていない.あのとき「クリンチャー最高!」と煽っていた奴ら(メーカーの宣伝)は一体何だったんだと,今になって思う(笑)
まあ,タイヤは最も重要な消耗品ですし,商業的にもいろんな思惑が渦巻く世界… ということで理解しておくのが良いのでしょうね.
(※ とくに卸売会社,メーカー,ショップ系のblog,○○編集部のような第三者を装ったステマサイトの宣伝blogには要注意.商売だからメリットは大きく,デメリットは控えめにしか書かれていないどころか,ウソも多い)
4−4.総合評価
「チューブレスタイヤ」と「チューブラー タイヤ」
走行時の使用感が同等であるとしても,チューブレスにはそれ以外の面で欠陥が多いと感じた.
チューブレスタイヤは本来シーラントは必要無いはずだけど,空気の漏れが多いので,シーラントを入れている人が多いらしい.
そのため,妥協の産物として「チューブレスレディ」なる規格も登場しているらしい.
ビードが上がるとか,上がらないとか…
相性のいいホイールなら簡単だけど,悪いホイールだと使えないとか…
基本的な部分で不確定要素があまりにも多すぎる.
これまで様々な新種パーツが登場しては消えていったが,
正直,ロードパーツでここまで酷い話は聞いたことがない (笑)
いや,これは製品としてあり得ないでしょう.
ワタクシの中では チューブレスタイヤ=未完成品 ってことで理解されました.
チューブレスタイヤが理想的な構造であることはよくわかります.
でも,ホイールの相性問題が全て解決されて,シーラント無しで普通に使えて,出先の修理対応が楽にできるようになるまでは使いたくない…
というのがワタクシの感想であります.
(まあ,チューブレスが上記の欠点をクリアしたところで,ようやくチューブラーと互角になるというだけなんだけどね)
(その5)に続く.
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