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ロードバイク: 出先でのチューブラー タイヤの交換方法について

以前,noteにチューブラー タイヤとクリンチャー タイヤを乗り比べてみた話を書きました.

 その後も,「乗り比べ」を続けておりますが,やはり明らかにチューブラー ホイールの方が快適であることを実感しております.

 チューブラー タイヤの利用に関してよく心配されるのは,出先でパンクをしたときの対処方法についてです.
このnoteでは,そのことについて,私の経験を書いてみたいと思います.

スペアタイヤとポンプ

1.スペアタイヤの扱い方

 私は,スペアタイヤにはトレッドが薄くなった使い古しのチューブラー を使っています.
 スペアを折りたたむのは持って行く時だけで,通常保管時はすこし空気を入れて丸くしています.
 折ったまま保管をすると,折り目の部分が経年劣化して「スペアに交換しようと思ったら,スペアがパンクしていた...」 ということになりやすいからです(過去に何度か経験あり)

2.出先でパンクをしたときの交換方法

もしも出先でチューブラー タイヤがパンクをしたらどうするか?
ネット検索すると,よく出てくるのが次の3つの方法です.
(1) チューブラー テープを使って張り替える
(2) スペアタイヤにあらかじめリムセメントを薄く塗っておき,交換する
(3) 自己修復されるように,あらかじめシーラントを入れておく

私はいずれの方法もやりません.
(1)のチューブラー テープは接着力が強力すぎて,後で剥がすのが大変だからです.リムセメントは常に上から重ね塗りをしてタイヤを貼りますが,テープだとタイヤを張り替えるたびに古いテープを剥がさなければなりません.
ブログを見ていると,その大変さに辟易してチューブラー の使用を止めた人もいるようです.
 私は学生時代,VELOXのチューブラーテープ(今売っているのは違う,昔のやつです)を一度だけ使ったことがありますが,使用時に多少楽ができたとしても,使用後,次に張り替える時の作業が余りにも大変であることが分かったので,二度と使わないと誓いました

(2)のリムセメントを薄く塗っておく方法もやりません.
 結局パンクをしないことの方が圧倒的に多いので,セメントを薄く塗ったスペアを持っていったところで役に立たず,すぐに乾いて粘着力がなくなってしまい,セメントが勿体無い からです.

(3)のシーラントも使いません.
 私が使っているVittoria CORSA CXは耐パンク性能が高く,滅多にパンクをしないので,入れておく利点よりも,タイヤが重くなってしまう欠点の方が大きいと感ずるからです.
 なお,CBN BlogのGleenGould氏によると,練習用のチューブラー タイヤにシーラントを注入したところ,通勤時のパンクが劇的に減ったそうです.
そのような,耐パンク性能のあまり高く無い練習用タイヤを毎日の通勤に使うような場合であれば,シーラントを使う価値はあると思います.


私は出先でのパンク対応は次のようにしています.

1. タイヤをホイールから外す.パナセメントならタイヤのサイドを持ってグリグリやっていると,簡単に剥がれてきます.
2. スペアタイヤ側にリムセメントを塗る.このとき,指で塗り広げることはせず,チューブから出しながらフンドシ部分につけるだけです(そのため,手は汚れません).リムにはセメントは塗りません.
3. タイヤを取り付けて空気を入れる

 これでOK.すぐに走り出せます.
 メーカーの推奨は接着後24時間放置ですが,経験上,この方法でも15分も走っていれば実用強度になります.
 このことはショップ系の解説サイトやブログ等ではまず書かれません.
 明らかにメーカーの指示と違いますし,何かあったら責任問題になってしまうからです.

 でも,ロードレースのような高速のコーナリングを伴う走り方やダウンヒルなどではなく,平地の公道でのトレーニングやツーリング走行程度であれば,接着後にすぐに走りだしても事実上問題ないことは,古くからチューブラー に乗っている人なら,経験として皆,知っているはずです.

ちなみに,私が使っているリムセメントはパナセメントです.
下にAmazonのリンクを示しますが,チューブ入りが627円?
店頭なら350円くらいで買えます.

 チューブラー タイヤの取り外しと装着はクリンチャー タイヤやチューブレスタイヤよりもずっと簡単です.
 上の方法で交換する場合,パンクに気がついて交換し,再び走り出すまで,10分もあれば完了します.
 
CBN BlogのGleenGould氏はリアの交換なら7分,フロントは5分でできると主張しています (笑)(上のリンクサイトを参照)


3.リムセメントもチューブラー テープもないときはどうするか?


 実はリムセメントをつけなくても,チューブラー タイヤはホイールに取り付けて空気圧を高くすれば,外れにくいです

この場合,ダウンヒルでコーナーを攻めるような走り方はできませんが,30km/h以下の速度で公道をまっすぐ走るのであれば普通に走行できます.
その日のサイクリングは中断して,そのまま自宅に帰ります.


4.スペアタイヤが無いとき,スペアタイヤがパンクしたときはどうするか?


 パンクしたままゆっくりと,自宅か近くのショップまで走ります.このとき,ホイールに影響が出ないようにパンクしたのがリアならフロント荷重で,フロントならリア荷重にして走ります.
 私は過去に何度かこの経験があります.最高で20kmほどの距離をパンク状態のホイールで走ったことがありますが,それでもホイールはまったく振れませんでした.

 空気が抜けたチューブラータイヤが意外と走れることは,ケルビムのフレームビルダーである今野真一氏も最近のサイスポのコラムで書いています.
このコラムではチューブラー タイヤの特性について,とても的を得た解説がなされています.チューブラー タイヤに興味のある方は一読することをお勧めします.


5.まとめ

出先でのチューブラー タイヤの交換時には,タイヤ側にセメントを塗る.この方法ですぐに走っても,実用強度は保たれる.

チューブラー テープの使用はやめた方がよい
(なんでこんな使いづらいものが普及しているのか? 私には理解できない)

・チューブラー ,クリンチャー ,チューブレス,チューブレスレディの中で,出先でのパンク時の修理対応が最も簡単なのはチューブラー タイヤである


終わり


2023年6月12日 追記: 

チューブラータイヤ全盛期の頃の思い出

 その昔,ロードレーサーにおけるチューブラー タイヤのシェアが100%であった全盛期には,ロードに乗るときは皆リムセメントを持参するか,あらかじめスペアに塗っていた.
 チューブラーテープは,当時も外国製のものがいくつかあったが,出先で楽に交換するための「緊急用」という位置付けの商品であり,常用している人は少なかった.日本でユーザーが多い宮田のチューブラーテープが売り出されたのは比較的最近のことである.

 昔のタイヤは今よりもずっとパンクしやすくて,タイヤ交換の頻度が多かった.トライアスリートも競技中にパンクをしたら5分程度で交換して全力疾走していたし,すぐに走り出しても,誰も何も不具合は起きていなかった

 ネットが普及した今では,メーカーが主張する「セメントを塗ったら24時間放置」が強調され過ぎてしまっているように思う.
チューブラー テープの普及はそれが理由のひとつだろう.



2023年11月21日追記:

新興ショップ系のサイトの情報ってホントいい加減だなぁ…
と気がついた一例です:
間違った知識に基づいて,それがチューブラーの欠点であるかのように論っているショップ系のブログ(しかも有名店)があったから,ここで指摘をしておく.

リムに残ったリムセメントをきれいに落としてから、リムにリムセメントを塗って24時間乾かし、翌日、タイヤ側にもリムセメントを塗り、タイヤとリムを接着します。
最大気圧まで空気を入れて24時間放置します。

すぐに乗ってしまうと接着しきれておらず、最悪タイヤが外れます。

https://ysroad.co.jp/kyoto/2023/07/05/113749

貴殿のやり方,間違っておりますぞ!


せっかく作ったベッドをクリーニングしてはいけません.
タイヤ張替え時はリムにセメントを上塗りしてそのまま貼り付けるのが正しいやり方です.
つまり,チューブラーの張替えはとても簡単なのです.
(私の経験では,クリンチャータイヤの交換よりも簡単)

新品のリムやクリーニングされたリムに最初のセメントベッドを作ってタイヤを貼る方法は多くのサイトで解説されているけど,一旦タイヤを貼ったリムでタイヤ交換をする際のセメントの塗り方について,ちゃんと説明しているサイトや情報って意外と少ないみたいですね.

詳しくは下記のnoteを参照ください.↓


チューブラータイヤはチューブレスに比べて取り扱いもずっと楽です.
チューブラーとチューブレスの比較記事はこちら↓


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