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水の安全保障

今回は、水の安全保障について。
水の安全保障:日常生活に必要な水を確保できるかどうか

地球の水は、97.5%が塩水。2.5%が淡水。
人が簡単に入手できるという条件を付け足すと、淡水は0.01%に。

すごく少なく感じるが、淡水は、雨で継続的に供給される。人間の需要量が、自然の供給量を過度に超えなければいい。

水需要が拡大していくと考えても、基本的に、自然の淡水供給量は、人間の淡水需要量を上回っているらしい。

それでも水不足が起こるのは
・地域ごとに淡水供給量が違うから
・時期により淡水供給量が変わるから
・一部地域では水を使いすぎだから
ざっくりとだが。


Gravity Recovery and Climate Experiment「GRACE」は、アメリカ航空宇宙局(NASA)とドイツ航空宇宙センターの共同ミッション。

2002年に打上げられた2機の衛星が
15年間にわたって活動した。

GRACE は、地球の重力場のごくわずかな変動を測定。大規模な河川や、地下水帯水層の変化を測定。

簡単に言うと
世界中の水が増えたり減ったりしている様子を測った。地下水に関しても測った。
※地下深くの水データはGRACEの特別な功績


「特に注目すべき場所」が明確になった。

水の量が急激に増加(濃い青色の場所)
水の量が急激に減少(濃い赤色の場所)

日本に赤い場所がある……

濃い赤色の場所のいくつかは、氷床や山岳氷河が、気温上昇によって溶けている場所だ。数十億トン/年の淡水が、海へ流れ出てしまっている。

主要な帯水層のいくつかでは、地下水が汲みあげられる速度が、自然から補給される速度を上まわっているといわれていた。そういった帯水層も、たしかに、濃い赤色で表示された。

濃い青色の場所は安泰かといえば、そうでもなく。こちらには、洪水の問題がある。


すでに、20億人以上の人々が、家庭で安全な飲料水を利用できない状況だという。2025年には、世界人口の3分の2が、水不足の地域に住むという予想も出ている。

その時、近隣諸国は、「水難民」を受け入れる用意があるだろうか。

切り取られた1シーンで実際にはよくわからないが
それでも生活は大変そうに見える。自分ならキツイ。

帯水層系は、主に、食糧生産地域へ水を供給するために採掘されている。地下水が足りなくなることは、食料が足りなくなることに通じる。

まさに、水と食料の問題だ。

自分の国は大丈夫だから、よその国がダメでも関係ない?道徳的な話だけではない。世界は、ありとあらゆる事情で関わりあっている。

話が大きすぎるなどと茶化している場合ではない。
国際的な機関は話のスケールが小さかったりビジョンに偏りがあったりする方がおかしい。こうでいい。

人口増加の著しいインドでは、水のインフラ整備が追いついていない。都市の大半で、水不足が起きている。飲み水の価格は高騰。清潔で安全な水は、高所得者の飲み物だ。

シリアでは、2006年から3年間、史上最悪と呼ばれた干ばつが続いた。社会的な混乱を招いた。水が理由で内戦まで勃発する。

中東やチュニジア、インドとパキスタンの国境などで、水に起因して紛争が起こるかもしれない。中国は、他5カ国にも流れるメコン川から、水を独占 (?) しようとするかもしれない。


「バーチャル・ウォーター」

バーチャル・ウォーターとは、輸入した食料を自国で生産すると想定した時に、必要な水の量のこと。

例)牛を育てるのには飼料がいる。飼料を育てるのには水がいる。少量の牛肉を得るには、膨大な量の水が必要。

食品や工業製品を輸入する時/輸出する時は、自国のために他国の水を大量に消費している/他国のために自国の水を大量に消費していることになる。

日本は食料自給率が低い。近年のカロリーベースの食料自給率は、約35%だ。60%以上の食品を輸入でまかなっている。かなりの割合、水を他国に肩代わりしてもらっているわけだ。

工業製品などで輸出量の方も考えれば、“とんとん” なのかもしれないが。楽観視していいとも思えない。

日本の美しい水。改めて、綺麗な水は財産だ。

はたして、技術革新で、地球規模の水問題を解決することはできるのだろうか。

アメリカでは、アラスカや五大湖やミシシッピ川から食糧生産地域へ、淡水パイプラインを建設する議論がある。逆に、食糧生産側が、水の利用がしやすい地域へ移動するか?とも話し合われている。

海水淡水化人工降雨などの技術が開発されているという。私の理解が足りておらず、詳しく書けないが。GRACE で行われたような、地下水の把握はしていくべきだと思う。

個人個人にも、意識から行動まで、できることはあると思う。

恵みの雨


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