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設定/構造に関する考察

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ワールドトリガーの「設定」「構造」について考察した記事をまとめています。
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記事一覧

読者が漫画を評価する方法(「加点方式」と「減点方式」)とワールドトリガーの構成上の工夫ついて

読者が漫画を評価する方法(「加点方式」と「減点方式」)とワールドトリガーの構成上の工夫ついて

◯はじめに

我々は物事を評価(採点)する時に「加点方式」や「減点方式」を使う場合があります。

Google検索で調べてみるとAIの概要では

となっています。

これは漫画を評価する場合も当てはまり、具体的に点数化はしないまでも「面白い」の基準として使っている可能性があります。

今回はこの「加点方式」と「減点方式」が漫画の評価にどう関係しているかを考察し、それを踏まえた上でワールドトリガーで

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ワールドトリガーにおける「近界民大規模侵攻編」の細分化

ワールドトリガーにおける「近界民大規模侵攻編」の細分化

◯はじめに

この考察は

の続きになりますので、まだ上記の考察を読んで方はご注意ください。

「近界民大規模侵攻編」を私は次のように細分化しました。

■⑥〜⑩ 近界民大規模侵攻編

●第44話〜第53話 トリオン兵迎撃編

「近界民大規模侵攻編」と言えばアフトクラトルの人型近界民のイメージがありますが、序盤はトリオン兵との戦闘がメインであり、人型近界民はまだ様子見の段階です。

トリオン兵は新

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ワールドトリガーにおける「ボーダー入隊編」の細分化

ワールドトリガーにおける「ボーダー入隊編」の細分化

◯はじめに

ワールドトリガーにはいくつかのエピソード(◯◯編)に分かれていますが、ジャンプSQにはこのように記載されています。

これがいわゆる「公式」のエピソード分けだと思いますが、私の中では時系列を分かりやすくするために「ボーダー入隊編」と「近界民大規模侵攻編」をさらに細分化して整理しています。

今回は「ボーダー入隊編」の細分化を紹介しながら、各エピソードで何が描かれているかをまとめていき

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一条雪丸の改造トリガー、「スラスター(改)」の仮説

一条雪丸の改造トリガー、「スラスター(改)」の仮説

◯はじめに

この考察を書いている2024年9月時点で、ワールドトリガーには名前だけは判明しているものの、作品内でまだ登場していないトリガーが複数あります。

その中でも今回は片桐隊の攻撃手、一条雪丸の「スラスター(改)」に注目しました。

他の改造トリガーについて調べることで「スラスター(改)」についての仮説を思い付いたので、考察してみようと思いました。

◯汎用オプションと専用オプション

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「行動経済学」で振り返るB級ランク戦

「行動経済学」で振り返るB級ランク戦

○はじめに

行動経済学の観点からB級ランク戦を振り返ってみました。

【登場する行動経済学用語】

●確率加重関数

第106話で修は師匠の烏丸に

とお願いをします。

それに対して烏丸は

と修に言いますが、修は引き下がりません。

この時の修は明らかに「自分自身で点を取る戦い方の勝率の低さ」を過大評価しています。

また「状況を動かして味方に点を取らせる戦い方の勝率の高さ」を過小評価してい

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ワールドトリガーに学ぶパワーインフレ抑制法

ワールドトリガーに学ぶパワーインフレ抑制法

○はじめに

ワールドトリガーはバトル漫画でありながらバトル漫画に起こりがちな「パワーインフレ」が起こりにくい作品として知られています。

ただ「なぜパワーインフレが起こりにくいのか?」を今まで私は言語化したことがありませんでした。

自分の中でいくつか仮説が生まれたので、それを言語化して考察してみようと思いました。

○戦闘の要素

考察するにあたり、まずはワールドトリガーの戦闘にどのような要素

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「経営学」で読み解くワールドトリガーの設定

「経営学」で読み解くワールドトリガーの設定

○はじめに

経済学の観点からワールドトリガーを考察してみました。

【登場する経営学者】

●フレデリック・テイラー

フレデリック・テイラーは1856年にアメリカで生まれた経営学者です。

テイラーはショベル作業を研究し、効率的に作業するためには作業者に合ったショベルが必要だということを発見します。

そして会社に生産性向上のために8種類のショベルを用意するように提言しました。

会社側はショ

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物語における主人公の「表裏二重構造」について

物語における主人公の「表裏二重構造」について

◯はじめに

ワールドトリガーでよく話題になるのが「主人公は誰なのか?」ということです。

単行本8巻の質問コーナー⑦を見ると

という質問があり、葦原先生は

と解答しています。

私も基本的には「修・遊真・千佳・迅」の4人が主人公だと思っています。

しかし主人公としての性質を見ると、「修・遊真・千佳」と「迅」でその性質が異なるように思います。

修・遊真・千佳を「表の主人公」とするならば、迅

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オペレーターが活躍できる「設定上の工夫」について

オペレーターが活躍できる「設定上の工夫」について

◯はじめに

ワールドトリガーには戦闘員をサポートする「オペレーター」という役職があります。

オペレーターという役職自体は珍しくありませんが、ワールドトリガーのオペレーターの活躍振りは他作品ではあまり見られないような気がします。

その理由として、ワールドトリガーの「設定上の工夫」があると考え、3つに分けて考察してみました。

◯「狙撃手」の存在

1つ目の設定上の工夫は「狙撃手」の存在です。

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「ワールドトリガーは緊張感がない」に対するささやかな反論

「ワールドトリガーは緊張感がない」に対するささやかな反論

◯はじめに

ワールドトリガーについて考察していると、意識しなくてもよく耳に入ってくるフレーズがあります。

皆さんも一度はこのフレーズを聞いたことがありませんか?

確かにワールドトリガーには生身とは別の戦闘体である「トリオン体」や、トリオン体が破壊されると自動的に基地に送還される「緊急脱出(ベイルアウト」という設定があり、他のバトル漫画に比べて圧倒的にキャラクターが死から遠ざかっています。

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大規模侵攻編に見る「強敵との長期戦闘を読者に飽きさせない工夫」について

大規模侵攻編に見る「強敵との長期戦闘を読者に飽きさせない工夫」について

◯はじめに

バトル漫画の醍醐味と言えばやはり「強敵との戦闘」は欠かせません。

しかし敵が強ければ強いほど「戦闘の長期化」が発生します。

魅力的な強敵との戦闘も、長過ぎると読者は飽きてしまいます。

ワールドトリガーにおける強敵と言えば、大規模侵攻編の「アフトクラトルのトリガー使い」は外せません。

BBFの能力パラメーターを見ても

と、ボーダー隊員とは桁違いの能力を持っています。

このよ

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なぜワールドトリガーは「フレンドリーファイア」が「戦術」として成立しているのか?

なぜワールドトリガーは「フレンドリーファイア」が「戦術」として成立しているのか?

◯はじめに

「フレンドリーファイア」という言葉があります。

意味は「味方からの誤射」で、戦場において後方に位置する味方の銃撃を食らうことを指します。

本来なら絶対に避けるべきことですが、ワールドトリガーではその「フレンドリーファイア」を「戦術」としている描写が複数あります。

代表的なのはガロプラ侵攻編で小南が太刀川ごとガトリンを真っ二つにした場面です。

この戦術についてガトリンがこのよう

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ワールドトリガーは「人が死なない物語」なのか?

ワールドトリガーは「人が死なない物語」なのか?

◯はじめに

最近、他社の営業の方とプライベートで飲みに行く機会があり、「お互いの履修した漫画・アニメ」について語り合いました。

相手の方はまだワールドトリガーを履修してなかったので布教してみたのですが、その際にこんな質問をされました。

「ワールドトリガーって人が死ぬ作品ですか?」

この質問に何て返答したかはよく覚えてないのですが、ふと、この質問に何て答えるのが「最適解」だったのか気になるよ

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